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【意見】中環審答申のとりまとめにあたって(2002/01/24)


2002年1月24日

中環審答申のとりまとめにあたって

気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

●中環審答申;答申内容は京都議定書目標達成には極めて不十分

本日、中央環境審議会地球環境部会において、「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方に関する答申」(pdf文書87kbyte)がとりまとめられた。気候ネットワークを始めとする環境NGOは、中環審の議論やパブリックコメント、公聴会などの機会を通じて、本答申内容が地球温暖化防止のための国内対策として極めて不十分であることを繰り返し指摘してきた。しかしながら、本日の答申ではそれらの意見がほとんど反映されず、おおよそそのままの形で合意された。

中環審答申とりまとめを受け、以下の点での改善を要求する。

(1) 現在の排出増加の傾向からして対策の必要性が急務であるにもかかわらず、ここで示されている「ステップ・バイ・ステップのアプローチ」における第1ステップ(2002~2004年)の対策が極めて不十分である。また第2ステップ以降の在り方が明確にされていないため、全容の見えない極めてあいまいなアプローチでしかない。京都議定書の目標達成には具体的な施策・対策が早期に必要であり、第1ステップから具体的な国内政策に取り組むべきである。

(2) 地球温暖化問題は、全てのセクターが取り組まねばならない課題であるにもかかわらず、今後の政策決定のプロセスにおける市民の参加があいまいにしか位置付けられていない。今後の政策導入議論や評価・見直しは、各省庁の縦割り行政の中でバラバラに行うのではなく、政府の中で一体的に行い、計画の中で十分な市民参加を保証すべきである。

(※)上記以外の詳細意見は、気候ネットワークが提出したパブリックコメントをホームページ上でご覧下さい。

●政府;政府は市民参加のもとで計画を決定し、批准手続きを進めること

今日の中環審の答申が出されたことで、先にまとめられた産業構造審議会環境部会地球環境小委員会の中間とりまとめとあわせて、環境省・経済産業省両省の審議会の批准のための方針が出揃った。これから先の批准準備は、省庁間の調整の中に埋もれ、市民の目の届かぬ所で進められることが懸念される。 批准に向けた法整備と国内政策整備については、以下の点を確実に実行すべきである。

(1) 地球温暖化対策推進大綱を見直し、新たな「京都議定書目標達成計画」を策定するプロセスにおいては、情報を公開し、市民参加のもとで進め、市民の意見を反映させること。98年の大綱策定時のように、官僚によって密室ですべて準備され、国会にはかられることもなく、地球温暖化推進本部で決定してしまうという不透明なプロセスを繰り返してはならない。

(2) 「京都議定書目標達成計画」は改正地球温暖化対策推進法に基づく計画として明確に位置付け、計画には本答申に含まれている以下の項目は少なくとも全て盛り込むこと。

  • 2010年の温室効果ガス別・分野別の排出削減目標量・吸収源対策の目標量
  • 国民各層一体となった取組を推進するための国、地方公共団体、事業者及び国民がそれぞれ果たすべき役割
  • 個々の対策の我が国全体での2010年における導入目標量、それによる2010年における削減・吸収見込み量
  • 個々の対策の導入促進のための国等の具体的施策
  • 国等の施策の導入時期などを時間軸で可能な限り明らかにした工程表

なお、工程表は、第1ステップから早め早めに政策・措置を実施するスケジュールとすること。

(3) 政府は、批准のための準備を迅速に進め、3月中旬の法案提出期限に間に合うよう国会に提出すること。

●国会;国会は5月末までの批准承認を確実に

22日に開催された自民党温暖化対策特命委員会では、環境NGOからのヒアリングを行い、気候ネットワークも発表の機会を得た。この特命委員会において、「京都議定書は正しいのか」など、日本が批准しない選択肢があるかのような発言もみられたのは驚きである。万一、仮に今国会で批准が承認されず、手続きを終えられないような事態になったとすれば、国際世論から大きな批判を受け、日本の国際的信用を深刻なまでに失ってしまうことは避けられない。

京都議定書は、長い年月をかけて交渉されてきた世界唯一の包括的な温暖化防止の仕組みであり、これを一刻も早く実行に移すことは地球温暖化防止のために極めて重要である。これは世界の常識であり、議定書発効は世界全体の流れとなっている。また、早期の温暖化対策が新たなビジネスチャンスを創出し、経済を活性化させるということも、多くの研究で示されている。各国は、今年8月末に始まるヨハネスブルグ・サミットでは京都議定書を発効することを目指し、それに間に合うように、期限の6月7日より前に国内での批准を済ませる方針である。

このような世界の動きの中で、日本も5月末までに批准を済ませ、議定書発効を実現することが、日本にとっての国際的な責任である。

国会は2001年4月に衆議院・参議院両院で京都議定書の早期批准を求めた国会決議を全会一致で採択しているところであり、政府は小泉首相が本部長である地球温暖化対策推進本部が同年11月に今通常国会での批准(締結)方針を決定している。

これらの方針の通り、国会では、世界の動きと協調して、5月末までに批准(締結)を承認することを最優先に取り組むべきである。

日本の京都議定書の批准は、外交面においてリーダーシップを発揮する機会であり、日本が経済を活性化させつつ、新たな環境配慮型社会へ転換していくチャンスを生み出すものである。

 

問合せ

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