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【意見】総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会中間とりまとめ「-今後の省エネルギー対策のあり方について-(案)」への意見(2004/06/10)


 2004年6月10日

総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会中間とりまとめ「-今後の省エネルギー対策のあり方について-(案)」への意見

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

[意見提出様式]

  • 氏名 浅岡美恵
  • 連絡先 
     ・ 住所:〒604-8142 京都市中京区高倉通四条上ル 高倉ビル305 
     ・ TEL:075-254-1011 
     ・ FAX:075-254-1012 
     ・ E-mail:kyoto@kikonet.org
  • 職業 気候ネットワーク 代表
  • 意見

<該当箇所> 
2.今後の省エネルギー対策の検討に当たっての基本的考え方(P.1)

<意見内容・理由>

  • 「省エネルギー国家」を目指す場合、単にGDP当たりのCO2排出量を用いて言うのではなく(それでは民生や運輸が他国に比べて小さいことが寄与し、適切でない)、製造設備や製品における世界のトップランナー効率を目指すべきである。また、平均値を上回った等で安心するのではなく、常に効率向上を目指していくことが必要である。
  • 「エネルギー消費の伸びが著しい民生・運輸部門の対策強化が必要」とあるが、その排出増を促している主体はどこかを明確にし、とりわけ、エネルギー多消費の製品・機器を製造・販売している製造業の責任や、そのような状況に対応せずに消費者が選ぶに任せている状況の問題も指摘する必要がある。責任の中心が「国民」にあるかのように取られる記述は改めるべきである。
  • 上記の理由により、「省エネ政策の推進にあたり重要なこと」に、国民への情報提供と技術開発の促進だけでなく、「エネルギー消費に寄与している製造業・事業者の社会的責任としての省エネの取り組み(省エネ規制の強化や著しく不適合品の販売規制、省エネラベルの表示義務等)を進めること」を加えるべきである。

<該当箇所> 
「3.2010年に向けた今後の省エネルギー対策のあり方について」(P.2)

<意見内容・理由>

  • すべての部門に対して、価格インセンティブを働かせて省エネを推進するために、炭素税導入を掲げるべきである。

<該当箇所>
(1)民生部門(P.2~4)

<意見内容・理由>

  • 別表の2010年予測で見る限り、民生の対策は現状では不十分である。そのほとんどは、企業からの省エネ製品・省エネ建築物が十分提供されていないことに起因している。この部分の徹底強化が不可欠である。
  • 省エネ法に基づく業務部門対策では、定期報告等の義務対象を広げ(例えば現在の2000㎡を1000㎡へ)、より多くの事業者の省エネの取り組みを推進すべきである。また、定期報告等の提出情報の結果は、一律に公開する制度とし、社会全体で評価できる仕組みとすべきである。これは事業者の努力を促すものとして重要であり、省エネ法で出来ない場合は、温暖化対策推進法等に位置づけて実現すべきである。
  • トップランナー基準の対象拡大・強化は、新製品でエネルギー多消費型の製品が出回った後で取りかかるのではなく、初期の段階で実施すべきである。またプラズマTVや液晶TVなど、今後技術開発が期待される製品を新しく対象を拡大する場合は、現在商品化されている商品のトップに基準を合わせるのではなく、今後の技術開発を見込んだ高い基準に設定するべきである。
  • 家庭の給湯として最も適切であるのは太陽熱温水器である。高効率給湯器の普及促進対策自体は問題なくとも、太陽熱の普及を妨げていないか検討が必要ではないか。(太陽熱温水器は新エネルギー対策ではあるが)、家庭の省エネとして太陽熱温水器の普及促進政策(購入補助など)を緊急に講じる必要がある。
  • 建築物は、新築時の省エネ措置の届出が義務化されているが、省エネ基準の遵守自体に義務があるわけではなく、また住宅にはそのような届出もない。今後、新築時点の省エネ措置の徹底を図るには、最新基準遵守の義務化を図り、省エネ住宅・建築物のストックの増加を可能な限り急速に進めるべきである。「将来規制的措置の強化等を含め更なる対策を検討していく」とは、現状認識が甘く、今回の見直しにおいて必ず実現すべきである。
  • エネルギー供給事業者は、省エネ情報を提供することだけでなく、消費者の省エネを推進することへの一定の責任を負うべきである。具体的に目標を設定してそれを実施する政策が必要である。
  • 家電機器や自動車等の販売者からの情報提供の仕組みとしては、現在、東京都や京都等で実施している相対評価による省エネラベルの店頭表示の取り組みが極めて効果的であると考える。現在の省エネ性能マークでは消費者への情報伝達には限界があり、また販売事業者への自主的な表示の取り組みに止まれば、各店舗においてバラバラの情報伝達となりかねず、消費者に対してはかえって適切な情報提供を阻害し、混同を招く恐れもある。もし実現するのなら、中途半端な制度はやめ、自治体主導の動きを尊重し、また参考にし、今後、消費者にわかりやすい全国統一基準の相対表示のラベル表示義務化として徹底すべきである。

<該当箇所> 
(2)運輸部門(P6~9)

<意見内容・理由>

  • 自動車は、モード燃費は改善しても実燃費は進んでいない。実燃費でも改善が達成されるようにモード燃費規制をさらに強化すべきである。
  • 燃費の優れた自動車を選択できるよう、自動車諸税のグリーン化の強化も進めるべきである。その際には、重量別を廃し全車を対象とする唯一の燃費基準を設定し、減税だけでなく重課も徹底すべきである。過去のグリーン化の際には、経産省が反対して重課が限定された経過があるが、これは不適切な対応であり、今回はこうしたことを繰り返さず、真のグリーン化を実現すべきである。
  • 自動車交通の抑制が不可欠な中、公共交通機関の利用促進・モーダルシフトに全く触れられていないことは極めて不自然である。省庁の縦割の壁を超え、公共交通の利用促進、モーダルシフトのための具体的な政策措置の提案を行うべきである。

<該当箇所>
(3)産業部門(P.9~10)

<意見内容・理由>

  • 生産減にもかかわらず、現在もバブル経済期並みのエネルギー消費が続いている問題を重視し、効率改善が急務であることを総括すべきである。
  • 産業部門の省エネは、無駄な建設を抑制し、寿命を伸ばして素材生産を無理なくスリム化することでも実現すべきという方向性を打ち出すべきである。
  • 自主行動計画について、業界の中には、効率が悪化している業界、効率指標が恣意的な業界(たとえば石油連盟や鉄鋼連盟)があるにもかかわらず、「着実に省エネルギー対策が進展」と総括するのは問題ではないか。
  • 省エネ法に基づく措置について、工場原単位の努力目標を守っていない企業が多いにもかかわらず、「自主管理の強化が図られてきた」という総括は問題ではないか。
  • 省エネ法に基づく措置の定期報告等の結果は、一律に公開する制度とし、社会全体で評価できる仕組みとすべきである。これは事業者の努力を促すものとして重要であり、省エネ法で出来ない場合は、温暖化対策推進法等に位置づけて実現すべきである。(前述)
  • ボイラーなど汎用的な機器の効率規制を実施すべきである。
  • 温度の高い廃熱を次の工程に使用する熱のカスケード利用を徹底する対策をもっと本格的に進め、省エネ・熱回収を進めるべきである。
  • エネルギー起源CO2の0%安定化目標を担う産業界の取り組みは、京都メカニズムに頼ることなく、国内で確実に達成することを明示すべきである。

<該当箇所>
(4)分野横断(P.10~11)

<意見内容・理由>

  • 全ての分野において省エネを推進し、中・長期的には一層の省エネ型社会を実現するためには、価格メカニズムを利用して、経済の仕組み自体を、省エネをする人・企業が得をするものに変えていく必要がある。それを実現する仕組みとして、炭素税の導入は不可欠である。分野横断的な政策として、筆頭に位置づけるべきである。
  • 公的部門の率先行動は、決して「率先」と言えるほど進んでいないことを認識し、具体的目標を確実に達成するような義務的な位置づけとすることが必要である。
  • 非営利組織の役割は、単に国民の理解を広げることだけにあるわけではなく、政策転換を促すことや、既存の開発路線とは違う価値観を共有することなど多様であり、単に普及啓発を担う役割に限定されるべきではない。
  • 省エネ教育の充実の際に、あわせて原子力教育などが行われるようなことがあれば、国民の不信のあおりで省エネ普及を著しく阻害する。省エネ教育のあり方を押し付けることのないよう検討が必要である。

<該当箇所>
(5)省エネ対策の位置づけ及び更なる省エネ対策の検討(P.11)

<意見内容・理由>

  • 別表に示された対策の効果が十分に出なかった場合には、「京都メカニズムや国際情勢等を勘案した上で、さらなる措置の導入を検討する」とあるが、既にこれまでで対策の効果が十分上がっていないことは明らかであり、必要な政策措置の導入をさらに遅らせることは、京都議定書目標達成をより危うくし、極めて問題である。これ以上、対策量を裏付けのない期待値として掲げることはせず、確実に目標達成が可能となるよう政策措置を実現しなくてはならない。
  • 省エネの推進は、京都メカニズムの動向や国際情勢等と関係なく進めるべきものであり、省エネが進まなかった場合に、京都メカニズムに頼ろうとすることや、京都議定書が発効していない等の国際情勢の動向によって対策強化を見合わせるような趣旨のことは、多くの省エネに備える主体に対して誤解を与えるため、削除するべきである。
  • エネルギー起源CO2の0%安定化目標は、京都メカニズムに頼ることなく、国内で確実に実現することを明示すべきである。

<該当箇所>
4.2030年に向けた省エネルギー社会の展望(P.11~13)

<意見内容・理由>

  • 現在の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会構造を継続して、各業界が単純生産拡大を続けるという路線は、資源制約・環境制約の両面からなりたたず、また環境重視に傾く市場からも取り残されることを、まず確認すべきである。
  • 将来のいつ出来るかわからない技術に依存するのではなく、既存の技術の確実な普及を図り、改良を進めることが重点であることを明記すべきである。

以上

問合せ

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