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【プレスリリース】~地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しへNGO提案~ 政策不十分なため温暖化対策に遅れ 炭素税や規制強化をはじめ、政策の抜本的強化が不可欠(2004/07/12)


2004年7月12日

~地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しへNGO提案~
政策不十分なため温暖化対策に遅れ
炭素税や規制強化をはじめ、政策の抜本的強化が不可欠

 

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

【概要】

  • 気候ネットワークの「大綱見直しプロジェクト(約30名が参加・協力)」において、大綱の評価・見直しに際し、現行の大綱の評価分析を行うとともに、第2ステップに向けた政策提案を発表。
  • 日本の温暖化対策は破綻状態にあり、原因は政策先送りと逆行する政策・産業活動の放置である。
  • 今後先進国は7~8割といった大幅削減が求められる。そのためにはエネルギー多消費の従来型経済の延長は不可能だ。しかし政府はいまだに小手先対応方針を変えていない。
  • 大綱の対策の大半は政策の裏付けがない。6%目標達成には、対策抜本強化と政策強化で達成を担保する必要がある。このため炭素税導入と共に、各部門で効果的な削減担保政策導入が必要である。
  • 現在の対策は根拠が示されず基本的部分が明らかでない。気候ネットワークの情報開示請求にも旧運輸省と環境省はそれなりに情報を出したが、経産省と旧建設省はほとんど情報を出さなかった。
  • 対策強化は官僚の密室協議でなく、開かれた場で利害関係のない市民の知恵を得て政策を話し合い、合理的で効果があってしかも温暖化対策で努力する国民や企業が報われる政策に転換すべき。

1.どこが排出しているのか-日本の排出の特徴

  • 日本のCO2排出は企業が8割、家庭が2割を占める。
  • 電力、鉄鋼、石油、セメントなどの大口のわずか200事業所が日本の排出量の約半分を占める。残り半分を家庭の5000万世帯、50万の中小製造業、数百万の農林水産業や第三次産業が占める。
  • 欧州と比較すると、民生・運輸部門のエネルギー消費(GDP比)ははるかに小さい。

2.排出推移について

    2002年までに温室効果ガス排出量は90年比7.6%増加(特にエネルギー起源のCO2は12%増加)

  • 排出傾向の特徴
     産業は生産量は大幅減少だが、効率悪化でほとんど減らず(排出2%減、生産は8%減)
     民生部門、運輸部門も、活動量増加と効率悪化で排出が増加した。
  • 原因の特徴
     日本の1990年以降の排出増加量はほぼ石炭火発増加分に一致(石炭火発以外だけなら1.6%増)
  • 効率悪化の特徴
     産業の効率悪化は民生業務、運輸旅客と同様。1990~2002年のエネルギーで比較すると
      運輸旅客 21%悪化(旅客輸送量あたり)、    産業 17%悪化(生産指数あたり)
      業務   17%悪化(第三次産業活動指数あたり)、家庭 7%悪化(世帯数あたり)
  • 民生(家庭・中小企業(第三次産業))の対策の87%は製品・建物の効率改善(総合資源エネルギー調査会需給部会評価より試算)だが、その対策が遅れた。
  • 運輸は、道路整備ネットワークによる「渋滞緩和のCO2削減」の破綻

3.排出増の原因~政策自体に問題

こうした現状を招いた原因は
(1)対策不十分、 (2)政策先送り、 (3)逆行する経済活動や、それを助長する政策を放置 であり、政府の政策そのものが原因である。政策の問題点を整理すれば以下の通り

  • (A)政策が弱すぎる:
    対策がすすまないのは当たり前
    政策で達成が担保できている対策は全体の17%(特に産業関係は担保分ゼロ)
    啓発やまだ完成していない技術に依存する分も20%
  • (B)政策先送り:
    産業は自主計画にその多くを丸投げ
    民生部門で、機器の効率改善(適用除外が多い)、建築物の効率改善が不十分(規制にしない)
    省エネ効率強化を十分せず浪費商品の製造販売を放置したままテレビ1時間削減等をよびかけ
  • (C)逆行する政策の放置:石炭火発増設、大量道路建設など

4.削減目標見直しで本気で削減を(6%の割り振りの見直し)

  • エネルギー起源CO2は0%→-2%削減へ(政策裏付けのない革新的技術、国民の行動組入)
      うち、生産の減っている産業部門は-7%→-13%へ
  • 非エネルギーCO2などは-0.5%→-1.7%へ強化
  • 代替フロンは+2%→-2%へ強化
  • 森林吸収と京都メカニズム(排出量取引など)は大幅縮小、国内排出削減中心に

5.効果の疑問な従来型縦割対策から、本気で減らす削減対策と政策措置の導入

  • 大量消費の社会経済を維持しながら対症療法でしのぐのではなく、環境構造改革へ
  • 削減に努力する市民や企業がむくわれる政策を(炭素税、効率規制強化、環境ラベルなど)
  • 石炭火発増加容認や道路の大量建設など、逆行する政策は廃止

分野横断

  • 政策:炭素税(努力する企業、市民がむくわれる税制)
  • ポリシーミックス(省エネ規制で市場に商品を出し、炭素税や環境ラベルでその普及を後押しなど)

産業

  • 対策:効率改善への本格対策の導入
  • 政策:削減協定など6つの政策

運輸

  • 対策:クルマ依存からの脱却
  • 政策:公共交通利用促進法など9つの政策

業務・家庭

  • 対策:建物と機器の確実な効率改善(市場には効率のいいものしか置かない)
  • 政策:建築物の断熱基準の規制化、機器の効率規制強化など10の政策

エネルギー転換

  • 対策:石炭火発を減らして天然ガス火発や自然エネルギーへ
  • 政策:石炭税や発電所の原単位規制など9つの政策

代替フロン

  • 対策:脱フロン化
  • 政策:大気にすぐ放出される用途の禁止(スプレーと断熱材など)など8の政策

発表資料

地球温暖化対策推進大綱の第2ステップへ向けたNGO提案(1.3MB)

 

問合せ

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