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【意見】「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しに向けた課題」への意見 (2004/07/19)


2004年7月19日

「地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しに向けた課題」
への意見

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

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2.地球温暖化対策推進大綱の現時点での評価 
〔需要部門における動向と見通し〕 
(1)産業部門、エネルギー起源CO2(P3) 
意見:産業部門はおおむね順調、とは根拠が不十分ではないか。 
理由:産業部門対策の中心である経団連自主行動計画は、現在の削減が景気後退による生産減のためとの懸念があり、生産量あたりのCO2排出量が90年レベルより悪化しているところも多い。また自主取組では生産量が増加した際などに予想される排出増加を抑えることは出来ず、政策措置としても不十分である。このような甘い判断に基づき「順調」として追加対策・政策措置の導入を不要と結論付けるのは誤っており、政府としても責任を問われる問題である。 

(2)産業部門、代替フロン等3ガス(P4) 
意見:2010年の排出見通しの6110~7330万t-CO2は、根拠が全く不十分であり、これほどまで排出量が増えるとは考えられない。また、現行の大綱目標の達成可能性が高いのは、もともと根拠不明のまま大幅増加を前提とした目標を設定したことに起因しているためである。目標そのものの問題があることを確認した上で、自主計画へ全てを委ねる方針から、適切な政策措置を導入する方針へ転換を図るべきである。 
理由:産構審化学バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会の見通しでは、根拠が不十分で判断できないものも多いが、判断できるものにおいては現実的に起こりえないような過大見積りが多く、特に高位推計ケースほどに排出量が増加することは考えられない。まずは、最大の問題である根拠のない2%増の目標を実質的で妥当な目標へ引き下げる必要がある。 

(3)民生部門(家庭/業務)(P4) 
意見:家庭の排出増加の要因は、効率の悪い機器や住宅が購入・使用されていることであり、責任の多くは、そのような機器・住宅を提供する企業と、その対策強化を図るための政策措置をとってこなかった政府にある。 
理由:需給部会の報告からCO2排出量を計算すると、家庭部門においては、むしろ機器・住宅の効率改善と普及の遅れが全体の対策の遅れの大半(9割近く)を占めている。これから判断されるのは、機器・住宅の効率の改善が遅れたことが主要要因だということである。業務についても同様のことが言える。 

(4)運輸部門(P4) 
意見:自動車燃費の大幅改善は、モード燃費においてだけであり、実燃費の改善にはつながっていない。また、自家用乗用車には、家庭用利用のみならず業務用の利用が多く含まれその増加率が多いことに注意しなければならない。 

(5)国民各界各層による温暖化防止活動(P5) 
意見:この分野は、もともと定量的に削減量を見込むこと自体に妥当性がないため、今後、大綱に対策に掲げるとしてもこの分野の削減量を積み上げるべきではない。 

〔供給部門の評価〕 
(1)新エネルギー(P5) 
意見:発電分野については、新エネ利用特措法により、目標がそもそも低いという問題に加え、新規の自然エネルギーの開発がおさえられ行き詰まりが出ている。同法により自然エネルギーが普及すると見込むのは誤りである。また、熱に関しては促進する政策がなく、太陽熱利用の現状維持すら厳しい状況である。 

(2)原子力・電力(P6) 
意見:電力においては、90年以降の石炭火力発電の大幅増加がCO2排出増加に大きく寄与しており、それについても記述すべきである。 
理由:石炭火発は、90年から2002年までに約3倍に増加し、CO2排出を約10%押し上げている。この動きを容認、あるいは推進してきたエネルギー政策そのものに根本的な問題があると見る必要がある。 

3.国内温室効果ガス抑制・削減対策 
(1)基本的考え方 2.(P8) 
意見:中長期的視点、イノベーションの促進という考え方は、短期的な対策の着実な進展と、早期の適切な政策措置の導入を否定するものとして捉えられるべきではない。また、地球温暖化問題の性格上、予防原則に基づいて早期に対策を取っていくことの重要性も記されるべきである。 
理由:イノベーションの促進は、市場競争における環境制約の制度の中から生まれるものである。中期的に取り組めばよいから今拙速に取り組みを急ぐべきではないとの考え・議論を採用してはならない。 

(1)基本的考え方 4.(P9) 
意見:京都議定書の6%削減目標は、議定書の発効如何にかかわらず日本として達成すべき目標ではあるが、現大綱の目標の内訳は、必ずしも適切な目標として設定されたものではないため、今回の大綱の評価・見直しを踏まえ、特にエネルギー起源CO2・代替フロンにおいて目標以上の削減を進めることが必要である。また革新的技術開発・国民各界各層の更なる地球温暖化防止活動による2%分を見込むのは止めるべきである。 

(1)基本的考え方 5(2).(P9~10) 
意見:「CO2排出がより少ないエネルギー」に原子力発電を含めてはならない。また、温暖化対策を取るのに様々な条件をつけ、具体的な対策実施を制約するべきではない。特に、温室効果ガスの排出総量を削減することが求められている中で、「経済活動量を制限したり、国民生活水準を抑制するような対策は選択すべきではない」との記述は、エネルギー多消費の産業構造を支える経済活動量を今後も維持し、ムダが多い国民生活のエネルギー消費をも抑制しないとの意味にもとられ、これから必要な経済社会の転換を進める政策措置の導入を制約するものとなりかねないので、削除すべきである。 

(1)基本的考え方 5(3).(P10) 
意見:「持続可能性のない行動を短期的に強いるような対策」が、具体的にどのようなものを指すのか明記し、必要だと考えられる生産技術の導入の義務付け等などを含むと拡大解釈されることのないようにすべきである。 

(1)基本的考え方 5(4).(P10) 
意見:不確実性があるから京都メカニズムを利用するというのは、適当な理由といえない。共通だが差異ある責任に基づく先進国の責任を果たすために、先進国は国内の排出削減を主に総量削減目標を達成すべきであり、そのための政策措置を導入することが必要である。 

(1)基本的考え方 6.(P10~11) 
意見:京都議定書も大綱も総量目標であり、温暖化対策は総量で評価していくことが基本である。その上で、規制をはじめ経済的手法や環境ラベル、協定などでトップランナーを前提とした原単位指標を用いることは奨励する。ただし、原単位については、自己申告で操作できたり、恣意的になることのないよう、客観的透明性を持って定めることが不可欠である。また、活動量指標は第三者が点検できることが必要である。 

(3)国民各界各主体の挑戦 
産業界の挑戦(P14) 
意見:次の内容を追加すべきである。「企業の社会的責任として、自社・事業所ごとの温室効果ガスの排出量を把握・公表し、温暖化防止への取り組みの透明を高めることに貢献する」 

電力分野のCO2排出原単位目標達成に向けて(P14~15) 
意見:電力事業者が、自己の原単位目標を守ることは電力事業者の責任として実現すべきであるが、その方策には、原子力設備利用率の向上、京都メカニズムの利用によって実施されるべきではない。方策は、ベース電源を石炭から天然ガスにシフトすることで実現すべきであり、そのための政策措置が必要である。 
理由:2010年までに4基増設を前提として、原子力設備利用率の向上によって原単位目標を達成しようとすれば、これまでに例のない異常に高い設備利用率になる。これは安全性の面からも適切とは言えず不可能な数字である。もはや温暖化対策名目で原子力にこれ以上依存する方針は止めるべきである。また、京都メカニズムを利用することは、今後の日本に必要な燃料転換を遅らせるだけでなく、原単位目標の埋め合わせすることに無理があると言える。 

業務部門における事業者の挑戦(P15~16) 
意見:次の内容を追加すべきである。「企業の社会的責任として、自社・事業所ごとの温室効果ガスの排出量を把握・公表し、温暖化防止への取り組みの透明を高めることに貢献する」。また、この中に政府・地方自治体等の公的部門についての記述があるが、公的部門の率先行動は極めて重要であるため、別項目「政府・地方自治体等の公的部門」として分け、「具体的な削減目標と対策を設定し、あらゆる部門に対して率先して削減を実施し、見本となるよう貢献する」と明記すべきである。 

運輸部門における事業者の挑戦(P16) 
意見:業務用の自家用車の利用についても、事業者の取り組みを促す必要がある。具体的には業務用自動車(社用車・営業車)についても効率的な利用、利用削減、公共交通への転換等を図ることを求めるべきである。 

NPO・労働組合・マスメディアの挑戦(P16) 
意見:NPOの役割は、国民意識の向上・情報提供のみならず、効果的な温暖化対策に関する政策提言などにおいてもこれからの日本社会において重要な役割を担っている。政策決定プロセスにおいたNPO等の参加などを保証しつつ、そのような役割についても一層力を発揮することも期待されたい。 

(4)政府の役割(P17) 
1ポツ(6行目) 
意見:このままでは2010年の国内温室効果ガスの排出が目標を上回る趨勢にあるのは、やむをえない事情のためなのではなく、政府が適切な対策・政策措置を取ってこなかったツケに他ならないため、国民に対して現状を伝える場合には、どのような対策が問題で、政府の何が悪かったのかの反省も含めた情報を伝えるべきである。 

2ポツ(12行目) 
意見:京都議定書の目標達成のために効果的な政策手法を取ることは極めて重要だが、「副作用」の小さい政策手法を選択すべきという意味が明確でない。今後は努力をする企業が報われ、逆に努力を怠る企業が負担を重くされるような措置が必要であり、努力を怠った企業が負担を強いられることまで「副作用」と解釈されることのない明確な記述が必要である。 

3ポツ(21行目) 
意見:「これまで重点的に実施してきた対策は製造業・エネルギー転換産業の取り組みに着目したもの」とは、事実と異なるのではないか。これらの取り組みは自主的取り組みに委ねられていたものであり、政府として重点的に実施したものとは言えない。また前述の通り、産業界の排出量が横ばいであるのは、生産減であることが主因であり、原単位はむしろ悪化しているところが多く、実態は、一定の成果を上げたと言えるものではない。 

4ポツ(27行目) 
意見:民生・運輸の排出増加に対する取り組み強化が必要であることは言うまでもないが、各家庭、オフィスビル、官公庁、小売店、学校、病院などの需要側が出来る対策と、それらの主体へ建物や機器を提供する産業側で出来る対策とがあり、後者によって民生部門の排出は相当程度規定されてしまうため、機器や建物を提供する側の取り組みの強化もあわせて不可欠である。 

9ポツ(P18、21行目) 
意見:政府の役割は、具体的な対策の検討だけでなく、その対策を進めていくための、規制や経済的手法、環境ラベル等の政策措置を適切に導入・実現していくことである。 

政府の追加対策の具体的な視点 
全体についての意見:追加対策には、民生・運輸部門の削減対策が重点化されているが、京都議定書の目標達成、さらにはその先の一層の削減のためには、全ての部門において対策を強化していく必要がある。その中で、産業部門対策・代替フロン等対策の追加対策が一切書かれていないことは、全体としてもその分野にだけ甘い視点になっており問題である。これらの部門においては下記のような追加対策を書き加えるべきである。 
・産業部門の追加対策…経団連自主計画における取り組みは、現状において目標の指標がバラバラ等様々な問題があり、また目標達成の担保性もない。また-7%削減の目標目安に比べて低い目標設定していることから大綱の目標達成も危ういのが現状である。今後、努力した企業が報われ得をするような経済社会を実現するために、炭素税の導入を柱とした産業界の取り組み強化を図るべきである。炭素税はそれだけで削減を担保するには不十分なところがあるため、協定や排出量取引制度との組み合わせで、企業が確実に削減を実現でき、また努力した企業が評価される透明性の高い仕組みとして第2ステップで導入すべきである。 
・自然エネルギーの導入促進…日本における自然エネルギーの導入目標は極めて低く、またその政策措置である新エネルギー利用特別措置法は、インセンティブとしては弱いばかりか、逆に阻害要因となっている。追加対策として、自然エネルギーを促進するための、新エネ利用特措法の目標の大幅引き上げ、また中長期の導入目標を掲げた上での、経済的なインセンティブ(固定価格買い取り制度)の導入をすべきである。 
・代替フロンの追加対策…代替フロン等3ガスは、使用用途によって他のガスや技術へ代替可能なものもある。このような用途に対しては、確実に早期に脱フロンへ誘導していくために自主取り組みではなく、具体的な用途の制限や誘導措置が有効である。また、フロン回収破壊法においては、廃棄時の回収のみしか対応できておらず、フロンの製造時、機器の製造時、機器の使用時の漏洩について全く対応できていないが、これらの排出量は膨大である。同法の改正により、機器のトップランナー規制に漏洩基準を設けることが有効である。また、回収を確実に進めていくために回収に対して具体的なインセンティブ付与も再検討が必要である。なお、本質的には、脱フロンを一刻も早く実現することが対策の最短方法であり、脱フロン化への支援、フロン税等の税制措置等による誘導が必要である。 

①民生・運輸部門の排出削減に向けた産業界による努力の促進(P18) 
意見:省エネの建物や機器の提供を徹底させるためには、トップランナー規制の強化等、省エネ基準の徹底が必要である。また同時に、浪費型の製品の製造を抑制することの徹底もあわせて必要である。トップランナー機器と同様に安い浪費型製品が出回っていれば、トップランナー機器の普及は十分促進されない。産業側への具体的な効率規制強化や、浪費型製品へのディスインセンティブの導入、炭素税の導入などによる省エネ製品の普及を後押しする政策措置を伴わせる必要がある。 

②エネルギーやエネルギー消費機器を提供する事業者を通じた生活者への情報提供の促進(P18) 
意見:生活者に対する情報提供は、効率の悪い製品に対しても正確な情報を与えること、使用時のエネルギーコストも含むコスト情報を提供することなどが必要であり、店頭における相対評価における比較が可能であると消費者にはわかりやすくなる。その制度化を図る必要がある。また、当然のことながら、省エネ製品の選択を促すために必要な、炭素税による経済的手法の導入が不可欠である。 

③業務部門等におけるエネルギー管理の徹底(P19) 
意見:具体的にこれを実現するためには、省エネ法の指定管理工場の対象を一定規模以上の業務ビルが対象になるレベル(熱50kl、電気25万kWh程度)へ引き下げ、省エネ法の下でエネルギー管理を行う仕組みにすることが効果的である。 

⑤交通対策(P19) 
意見:公共交通機関の利便性の向上などは、市場に任せておいては進まない。公的資金を投入し、バスや鉄道などの利便性を高めると同時に、路面電車等の新しい公共交通機関の整備も含めて進めていく必要がある。また同時に、自動車利用を抑制することが求められていることから、自動車利用の利便性を低める政策措置もあわせて必要である。具体的には都市部ではロードプライシングや乗り入れ規制などの需要側マネジメントの導入、中規模都市では市街地の開発制限などによる環境負荷の小さい都市構造の構築などが必要である。またこれを誘導するための炭素税の導入が必要である。 

⑥住宅・建築物対策(P19~20) 
意見:民生部門の削減においては、住宅・建築物のストックを向上させることが極めて重要であり、一度建築されると数十年にわたって影響を及ぼすものであるため、早急な対策強化が必要不可欠である。ここでは、新築においては、省エネ基準の義務化を図ること、また既築については、リフォームの際の省エネ基準や維持基準の導入などが必要である。 

⑦公的部門における率先的取組(P20) 
意見:これまで公的部門の取り組みはとても「率先」と言えるレベルにない。今後は具体的な削減の数量目標を設置し、公共事業における資材の購入や機器の購入などにおいてはトップランナー機器、ノンフロン製品の購入を、代替品がない場合を除き、義務として実践すべきである。 

⑨原子力の推進(P20) 
意見:これまで原子力への過度な依存が大綱の破綻を招いていることからも明らかな通り、今後も原子力に依存することによっても温暖化防止の解決はないといえる。また多大な環境負荷を残す原子力発電はいずれにせよ進めていくべきではなく、方針の抜本転換を図るべきである。 

⑫長期的視点から見て抜本的な排出削減をもたらし得る技術・システムの実用化、あるいはインフラ整備を含めた都市構造の変革(P21) 
意見:中長期的視点から見て重要な対策・システムの実用化に際して、CO2固定化のように地中・海中の生態系の影響、エネルギー収支、大気中への漏れなどによる環境影響等、問題が多い技術は進めるべきではない。また、水素関連技術においても、それが原子力において進められることは問題であり、運輸用の普及については課題も多い。これらの将来の技術の促進は、国民的合意の下、適切だと判断されるものについてのみ進めるべきであり、それよりもまず、既存の確実な技術や対策を着実に進めることを優先して進めるべきである。 

その他の論点(P22) 
意見:環境税はここで小さく位置づけられているのみだが、炭素税は、あらゆる分野・主体において前述の個々の追加対策を進めるための政策措置として効果を発揮する有効なものであり、本来は中心に位置付けられるべきものである。特に、この中間とりまとめにおいて力点を置いている民生・運輸部門に対しては、主体が複数にまたがっており、規制措置等が難しい主体に対しては、省エネ製品の購入などを後押しする手法となる。また、産業部門に対しても、更なる省エネ技術の開発へのインセンティブとして有効である。省エネ製品や技術は、世界が求めている技術であり、それを促進する炭素税の導入は、日本企業の国際競争力を高めるものともなる。大綱の第2ステップからの措置として、炭素税を正面から取り上げ、議論し、早期に導入することが必要である。 
 排出量取引制度は、産業部門における削減を確実に実現する手法として有効であり、それぞれの企業・事業所が取引を通じて費用効果的に温暖化対策を取ることのできる市場原理に基づく政策手法である。これは炭素税との組み合わせも可能であり、主要先進国の中心的な政策手法になりつつある。積極的に位置づけ、炭素税同様に導入議論を具体化すべきではないか。 

4.京都メカニズムの活用 
基本的考え方(P23) 
意見:京都議定書に記されている通り、基本的考え方としてはまず、目標達成は国内の排出削減対策が主であり、京都メカニズムの利用は補完的と位置づけることが必要である。また、京都メカニズムは、市場メカニズムを利用した民間による費用効果的な対策として導入された経緯から、民間が行うものと位置づけるべきである。さらに、京都メカニズムのうち、国際排出量取引制度は、他の先進国の排出余剰分を購入してくるだけで温暖化対策に資するものではないため利用しないことを基本原則として明記すべきである。 

活用規模(P23) 
意見:政府のステップバイステップのアプローチは、確実な目標達成を実現するために導入されたものであるはずであり、対策が不十分な場合に、対策・政策措置を適宜見直し、確実に目標達成をしていくことが目指されているはずである。不確実性を理由に京都メカニズムを利用する方針は適切ではなく、まずは確実な達成へ向けた国内対策の強化が図られるべきである。 
 また、「経済活動量・国民生活水準を抑制するような対策は講じるべきではない」とは、今後の適切な政策措置の導入を妨げるような表現であるため、ここでも繰り返すべきはない。また、今求められていることは、経済発展をしながら温室効果ガスの排出の抑制を目指すことであり、それは、化石燃料利用を前提としたエネルギー消費量の増加はもはや継続すべきではないことを意味している。よって、経済発展を理由にエネルギー消費量やCO2の増大を当然かのように位置づけ、京都メカニズム利用を正当化しようとすることは、国内の排出削減対策を放棄しているに近いと言わざるを得ない。 

政府による活用の具体的あり方(P24) 
意見:政府は、京都議定書のルールに基づいて、国家登録簿の整備や割当のルール作りなどの基盤整備をすることは必要だが、政府自身が公的資金を投じて京都メカニズムを利用する必要は基本的にないと考える。またODA利用については、「流用となってはならない」とのマラケシュ合意の記述より、多くの途上国においてODA利用そのものに反対がある中、ODAを利用しない基本方針を定めるべきである。 

民間事業者による活用(P24) 
意見:民間事業者が行う京都メカニズムは、国内のエネルギー起源CO2の排出削減に充当されるために使われるべきではなく、現行の大綱における1.6%分に該当する京都メカニズム利用としてカウントされるべきである。 

国際ルール策定へのイニシアチブ(P24) 
意見:これまで日本政府は、国際ルールについて、国際社会全体において必要な方向性を協調的に作り上げるという立場ではなく、日本の国益だけを考えた無理な主張を強いることを繰り返してきたため、数多くの批判を受けてきた。今後においては、例えばODA利用ルールの緩和等において他国に日本の主張を強要するようなことはせず、世界の考え・立場へ耳を傾け、世界の中で適当なルールへ合意する柔軟性を持ち合わせるべきである。 

以上

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