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【意見】「京都議定書目標達成計画」の閣議決定にあたって(コメント) 目標達成にほど遠い「計画」の早急な見直しを見据えて(2005/04/28)


2005年4月28日

「京都議定書目標達成計画」の閣議決定にあたって(コメント)
目標達成にほど遠い「計画」の早急な見直しを見据えて

 

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

‘達成計画’とは言えない計画

京都議定書発効を受けて、本日4月28日、政府の京都議定書目標達成計画が閣議決定された。
 計画は、第1約束期間が始まる2008年を目前に控え、エネルギー起源CO2の目標を90年比で0.6%増加に緩和したにもかかわらず、目標の確実な達成を担保する政策措置を欠いているため、達成が極めて危ういことは衆目の一致するところである。個別の対策をみると、削減量が法的に担保されているものはわずか15%、基準が掲げられているものに過ぎないものが13%、経団連自主行動計画に委ねられたものが25%であり、それ以外は基準もなく促進策のみや数字合わせという他ないものであって(注)、‘京都議定書目標達成計画’と呼ぶにはほど遠い。
 しかも、計画はすべての事業者・市民の取組みが必要とされる温暖化対策についての緊急の計画であり、国民的関心と削減行動が不可欠であると強調されているにもかかわらず、計画案のパブリックコメントを求めた期間がわずか2週間であったことにも示されているように、行政内部による計画づくりにとどまって、国民の理解や協力のための土壌づくりにもほど遠いといわざるをえない。

(注:達成計画において排出削減見込量が示されている対策について、気候ネットワークで評価を行ったもの。)

中長期目標が不可欠

このような計画づくりに終わったのは、一部産業界が抵抗を続けるなか、京都議定書の第1約束期間の目標達成の意義について、政府にその重大さ・緊急性の認識が欠けているからである。いうまでもなく、第1約束期間の目標は気候の安定のための取組みのほんの小さな一歩であり、第1約束期間の目標についての数字合わせをすれば足りるというものではない。脱温暖化に向けて日本の中長期目標を明確にし、社会・経済構造を大きく転換していく過程としての第1約束期間の目標をどう達成していくのかが問われている。「国民運動」とは、そうした中長期的方向性を国民に提起し、共有してはじめて実現できるものである。数字合わせに終始するような「計画」によって国民的行動のうねりを期待できないことはいうまでもない。

早急な政策強化が必須

排出量の大半を占める事業者からの排出削減はまずもって重要である。全体の5割をカバーするとされる大口排出事業者についての排出量の把握・報告・公表制度は、これまでのように、経団連自主行動計画に委ねるのではなく、取組みの進捗を透明性をもって的確に判断できるものとして十分機能するものでなければならず、その運用において事業者の要請のままに企業秘密として非開示とすることがあってはならない。これらは、排出枠を設けた国内排出量取引制度の基盤ともなるものである。
 また、排出増加が顕著であるとして経済界から指摘されているオフィスや家庭からの排出は、床面積や世帯数の増加など排出増加要因による側面が大きく、その削減には、任意の取組みに委ねるのではなく、確実な省エネ・省資源型消費行動につながる抜本的な政策強化が必要である。とりわけ、住宅・建築物の耐用期間に照らせば、住宅・建築物の省エネ性能の強制基準化や取組みへのインセンティブの付与は急務である。
 さらに石炭火力発電抑制策や代替フロン使用規制などの政策も求められる。
 何よりも、温室効果ガスの排出削減の努力が報われ、誰もが確実に継続的に取組む経済的仕組みとして、炭素税(環境税・温暖化対策税)の早急な導入に向けて直ちに国民的議論を高めながら制度設計を具体化する必要がある。

私たちは、「計画」策定を機に、市民の立場で、地域で率先して実行していくことはもとより、これらの政策の重要性を提示し、あるべき目標達成計画への早急な見直しを求めていきたい。

 

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