2006年8月23日

環境NGOがG8サミットに向けて共同声明を発表
先進8カ国首脳会議(G8サミット)直前
小泉首相への最後のお願い

 

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

今週、7月6~8日にかけ、イギリスのグレンイーグルスにおいて、G8サミットが開かれますが、その2大主要テーマの一つとして「気候変動」があげられています。

その「気候変動」に関するコミュニケが、アメリカの主張によって、大幅に変更を余儀なくされ、意味のないものになりつつある、と聞いております。よって、小泉首相には、ぜひ以下の点をご発言していただくよう、直前ではありますが、緊急にお願い申し上げます。

1.温暖化の科学の部分
 温暖化がすでに起こっている事は、世界の科学者が認めるところであります。よって、 「温暖化はすでにおきている、緊急性のある、深刻で長期的な問題である。これは人間の活動によってもたらされている」という、第一パラグラフを支持し、削除することに反対してください。英語で言うとUrgency,Scale,Human-inducedであります。この3語は削除されないよう、小泉首相のほうからご発言お願いいたします。EU以外の国の代表からこうした発言が出ることは、ブレア英国首相の立場を強いものにします。

2.解決策について
 第2パラグラフの「経済的にも、環境的にも、安全保障上も深刻な影響を及ぼす温室効果ガス排出の増大を、減少方向にもたらさなければならないことを、私たちは知っている」という文章もまだ、アメリカの反対で[](ブラケット)に入っていますが、これは私たちが脱温暖化社会に向かうことを示すために、今回のコミュニケには欠かせない文章です。これを入れるよう、強く主張してください。

3.「京都議定書批准国はその発効を歓迎し、その目標達成に努力する」という文章も、支持し、削除されないよう、お願いいたします。

4.カーボン市場が続くということ(つまり、京都議定書の枠組みが継続されるということ)が、コミュニケに入れられることにより、カーボン市場に対し、削減への政策が継続されるシグナルを発することになります。この点もどうか、支持をするご発言をしていただくよう、お願いいたします。

5.クリーンな再生可能エネルギーとエネルギーの効率利用の推進に、G8が率先して取り組むこと、が書かれていますが、「排出量の少ないエネルギーシステム」という言葉に置き換えられておりますので、これを明確に「再生可能エネルギー(renewableenergy)」と言う言葉が入るよう、お願いいたします。

6.ダイアログについて
 ダイアログを行う提案がなされておりますが、その中身が、当初の案に比べ、著しくあいまいで、意味のない文言に変わってきております。
 ダイアログ自体は、重要なことで、これからの気候変動対策を前進させることにつながると思いますので、ぜひ、これが内容のある、意味あるものにするよう、もっと具体的に「2050年のビジョン、」「既存の技術をどう普及させるか」「どのようにしてクリーンなエネルギーを開発・普及させるために民間セクターを動かし、キャパシティ・ビルディングにつなげていくか」など、元のテキスト案に戻していただけるよう、ご発言お願いいたします。

以上ですが、どうか心よりよろしくお願い申し上げます。

気候ネットワーク
グリーンピース・ジャパン
WWF(世界自然保護基金)ジャパン
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)
環境エネルギー政策研究所(ISEP)

特定非営利活動法人 気候ネットワーク
URL:https://www.kikonet.org/