2008年7月8日

洞爺湖サミット 昨年のサミットから進展なし
福田首相、気候変動問題でのリーダーシップ発揮に失敗

 

気候ネットワーク 代表 浅岡美恵

7日から北海道洞爺湖町で開催されているG8洞爺湖サミットは2日目の8日、気候変動問題について議論を行った。「世界の環境みんなで守ろう」と題して福田首相が白クマと並んで立っているポスターが貼り出されているように、今回のサミットは、気候変動問題を主要議題として取り上げる会合となった。この、極めて深刻で緊急な対応が必要な問題に対して、G8諸国という経済大国がどのような責任を果たすことができるのか、そして日本の福田首相がどのようなリーダーシップを図るのかに注目が集まった。

しかし、本日午後発表されたサミット文書は、私たちの期待に応えるものには程遠い。 長期目標については、少なくとも2050年に半減との目標をUNFCCCの交渉で検討し採択することを求めるとし、半減目標をG8の共通認識としたようだが、これは米国以外の国にとって昨年からの進展はないに等しい。また今回のサミットは、中期目標について、特に先進国の責任として、1990年比25~40%というIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示す削減を踏まえたバリ合意に沿った数値を掲げるべきであった。しかし、中期目標について具体的なレベルも示せず、「各国の事情の違いを考慮し」、「野心的な国別総量目標を実施する」と言うにとどまり、これも何も言わなかったに等しい。そもそもが、「気候変動の最も深刻な結果を避ける」ことへのコミットとされており、本来最も低いレベルに影響を抑えるべきというバリ合意を反映した先進国の中期目標の設定を決意したものとはいいがたい。

また、ブッシュ米政権が主導していた主要経済国会合(MEM)についても、今後、「向こう何ヶ月かにわたり、議論を続けることを期待している」と、今後もプロセスを継続する意向が見受けられ、ブッシュ米大統領のMEMを福田首相が引き継ぐのではとの懸念を抱いている。
 私たちは、G8サミットにおいて、日本が真にリーダーシップを発揮することを期待していたが、多くのメディアが参集して議論がにぎわう以上の結果は何も出せずに終わったことに心から失望している。これを「成功」と呼ぶのにはあまりにもほど遠い。日本は、今求められているのは、気温上昇を2度未満に抑えていくための道筋づくりであり、それを実現するための目標設定であることを改めて再認識して出直す必要がある。

明日にはG8諸国に主要途上国を含むMEM会合が開催される。洞爺湖で同時開催されるものの、これはG8とは別物である。MEMはMEMとして慎重に注視したい。

プレスリリースのPDF版は以下のファイルをご覧ください。

以上

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