2011年4月18日

「温室効果ガス25%削減目標」堅持を
原子力に頼らない温暖化対策は可能
~本日、ペーパー「“3つの25”は達成可能だ」(概要版)を発表~

気候ネットワーク 代表 浅岡美恵

 福島第一原子力発電所の事故を機に安全とされてきた原子力発電の前提が崩れ、日本の原子力政策は大きな岐路に立っている。原子力に頼らない社会を作り上げていくことは日本の命題である。  これまで政府は、民間団体と一体となって、“CO2を出さないクリーンなエネルギー”として、原子力を温暖化対策の柱に据えてきた。しかし、原発に想定通り頼れなくなった今、不足する電力を化石燃料で賄う必要があるとして、温室効果ガス25%削減目標を見直すべきとの声が官民から聞かれ始めた。

 政府はCO2排出削減を理由として原子力発電を推進してきたが、リーマンショックまで日本の排出量は増加傾向を続けてきた。原発増設を口実に、他の削減対策が先延ばしされてきたためである。  今回の大震災と未曾有の原発事故によって、新たな原子力発電の増設の道は絶たれたというほかなく、停止中の原発の再稼動にも根本的な安全対策の見直しが不可欠である。しかし、ここで原発に代わって枯渇性資源である化石燃料依存を高めれば、ピークオイルによる原油価格高騰や、資源獲得競争などによる国際リスクを高めることとなるだけでなく、地球温暖化を加速させ、環境リスクを高める方向へと舵を切ることになる。

温暖化対策の柱は、今、行われている節電行動とともに、これを工場や事業所、家庭における省エネ設備への投資によって恒久的な省エネにつなげ、燃料転換を実行するとともに、再生可能エネルギーを大幅に拡大することである。危険な原子力に頼らず、自然資源を活用したエネルギー消費の少ない持続可能な社会をつくることにある。 エネルギー供給の重大なリスクに直面した今、エネルギーの需給構造を見直し、被災地域の復興とこうした地球温暖化対策と重ねて実現していくことは、世界に対する責任でもある。あいまいな空気で25%削減を見直そうとするのではなく、今後のCO2・エネルギー削減可能性を丁寧に掘り起こしながら、省エネと再生可能エネルギーを大胆に推進する政策措置を講じることで、震災復興と温暖化対策の共通課題を解決していくべきである。  気候ネットワークは、こうした視点から急きょ試算検討を行い、「節電25%」「温室効果ガス25%削減」「再生可能エネルギー電力25%」の同時達成は可能であることを確認し、本日、「“3つの25”は達成可能だ」と題する報告(概要版)を発表した。詳細版は近日、発表予定である。

日本と世界の安全な環境を守るための確かな足取りをとるためにも、25%削減目標は必須であり、当然のこととして、これを堅持すべきである。

以上

発表資料

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