ダイキン、コロナ及びリンナイのR32ヒートポンプ給湯器の発表について
~温室効果ガス排出増加に加担へ~【抗議声明】

?2015年1月30日
気候ネットワーク

 昨年、冷凍空調設備からのフロン回収破壊を義務づける「フロン回収破壊法」の大改正が行なわれ、今年4月から「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑止法)」が全面施行されることになった。この法律では、地球温暖化係数(GWP)の高いフロン製造段階の生産規制、使用時漏洩防止管理、廃棄時回収破壊などを制度化したもので、将来的にフロンの廃絶を目指している。気候変動問題が極めて深刻化する中、温室効果ガスを大幅に削減し、フロンについては全廃を目指すという方向性が日本でも初めてうちだされた。

 しかし今年1月26日、ダイキン工業とコロナの2社は、R32ヒートポンプ給湯器を「ネオキュート」との名称で発売すると発表した。またこれに先がけてリンナイもR32給湯器を発売すると発表している。今回発表されたR32冷媒はGWPが20年値で2430、100年値で677とGWPが非常に高い温室効果ガスである。また、もともとヒートポンプ給湯器については、CO2冷媒の方がフロンよりも効率が高いことから採用されていたものであり、省エネ効果が高いわけでもない。現在、「2℃目標」を達成するために温室効果ガスを大幅かつ大胆に減らすことが求められ、フロン類については将来的に廃絶が目指されている。R32冷媒をヒートポンプ給湯器で使用することは、明らかに時代に逆行するものである。

ヒートポンプ給湯器はこれまで、国内30近くのメーカーが自然冷媒であるCO2を冷媒とした「エコキュート」を発売しており、自然冷媒の分野で日本が世界の中でも先行しているため、国際的にも注目を集めている技術である。昨年1月にダイキン工業とコロナの二社がR32ヒートポンプ給湯器を展示会で発表した後に、気候ネットワークをはじめ環境NGOや消費者団体が共同で発売を止めるよう求めてきた。こうした市民の声を無視し、発売に踏み切る発表をしたことは大変遺憾である。

また、ダイキン工業はフロンメーカーとして「HFCの責任ある使用」のために冷媒管理の徹底を図るとしてR32の利用拡大を進めているが、現状では様々なフロン使用機器で回収は進んでいない。その上、これまでフロン類を使っておらず、機器のリサイクルや冷媒回収のしくみすらない給湯器でもフロン類の利用を拡大させることは、「HFCの責任ある使用」からはほど遠い。

なお、「フロン排出抑止法」が全面施行される直前にこのような事態が起きていることは、法律においてフロンの廃絶を目指しながらも、政省令でフロン利用の拡大を止めることができない法律上の不備があることも指摘しておきたい。

 

各社のR32ヒートポンプ給湯器発表資料

ダイキン工業
コロナ
リンナイ

 

声明・ダウンロード版(PDF)

R32ヒートポンプ給湯器への抗議声明(2015/1/30)

 

関連:気候ネットワーク等のこれまでの声明など