新規・既存の石炭火力発電のCO2排出へ早急な対応を

~新規建設で1億トン超のCO2排出、既存排出も大~

2015年4月9日

特定非営利活動法人 気候ネットワーク

 

1.石炭火力発電所の新規建設で1億2700万トンのCO2排出増加

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故以降、石炭火力発電所の新規計画が2012年以来続出している。本日更新した情報では、新規計画は43基、設備容量2120万kWに上る。これらの発電所が全て建設され、稼働すれば、約1億2700万トンに上るCO2が排出されると推計される。この量は、京都議定書の基準年である1990年の日本全体の排出量(12億6000万トン)の10%に相当する。

 政府目標2050年80%削減のためには、温室効果ガス排出量を2億5200万トン(90年比)程度にまで抑えることが求められる。新規建設による排出はその半分を占め、それらは2050年まで運転し続ける可能性がある。このような計画は、日本の気候変動対策の取り組みへ逆行するものである。早急に計画の見直し・停止を図るべきである。

国内石炭火力発電所 建設・入札・廃止予定リスト(2015年4月9日更新)

2.既存の石炭火力発電からも大量のCO2排出。SOx・NOxの排出も

 本日、既存の石炭火力発電所について、公表情報及び入手情報を用い、2005年度についてデータ分析を行い、レポート『石炭火力発電所のデータ分析結果』を公表した。全68ユニットを対象に、ユニット(一号機)あたりの排出実態把握を行ったところ、次のことが明らかになった。

・CO2排出原単位(発電端)は、932g-CO2/kWhから759 g-CO2/kWh まで分布し、「ワースト10」のユニットからの排出が、全68ユニットの排出量の約3割を占めている。

・1991年以降に運転開始された石炭火力発電所の設備利用率が高く、発電電力量が多い。

・高効率の発電ユニット(熱効率約42%)でもCO2を大量に排出している。100万kW級のユニットは約600万トン/年のCO2を排出する。

・少ない量であるが全ての発電所からSOx・NOxが排出されている。また、一部ユニットでは、排出が多く、対策が取られていないところもある。

 以上を踏まえ、レポートでは、既存の石炭火力発電の対策の必要性、ユニットごとの運転実績の把握・公表の必要性、大気汚染物質の健康影響の再調査の必要性を提起している。

※レポート『石炭火力発電所のデータ分析結果』

プレスリリース(印刷用)

新規・既存の石炭火力発電のCO2排出へ早急な対応を~新規建設で1億トン超のCO2排出、既存排出も大~(2015/4/9)

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