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【意見書】神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に対する意見(環境影響評価方法書への意見)(2015/08/17)


 8月17日(月)、気候ネットワークは神戸製鋼所が計画している神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画石炭ロゴ(兵庫県神戸市)に対して意見書(環境影響評価方法書への意見)を提出しました。

 意見書では、石炭火力発電はCO2を大量に排出し気候変動対策の観点から看過できるものではないこと、さらに将来的な電力需要の減少や再生可能エネルギーの普及を考慮すれば大幅な設備増加は不要であることを指摘しています。また、CO2削減対策やCO2排出量の予測・評価手法を具体的に示すことを求めています。

 意見書の主なポイントは以下の通りです。

1.石炭火力発電所の建設の問題について
  • 2015年6月にドイツで開催されたG7サミットでも、気候変動が最重要課題の一つと位置づけられ、「脱炭素化(decarbonization)」をめざすことが首脳宣言に盛り込まれた。そのような状況の中、天然ガス(LNG)発電の約2倍の CO2を排出する石炭火力を新設することは、将来の気候変動へ甚大な環境影響を及ぼすことになる。よって、そのことを無視した本事業の実施には反対する。
  • 従来からの効率を向上しても、最新のLNG火力の約2倍にも及ぶCO2排出量であり、拡大によって追加的に排出される膨大なCO2による影響への配慮が全く見られないことは問題である。
2.CO2排出に関する取り扱いと「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」との整合性について
  • 2015年7月17日には電力業界の自主的枠組みが構築されたが、その実効性は疑問が持たれている。事業者は、取りまとめを踏まえて具体的にいつまでにどのような対応を行うのか、スケジュール を含めて明確にする責任がある。
3.CO2排出による環境影響に関する具体的情報について
  • CO2排出原単位や総排出量、設備利用率は記されているが、石炭種など、算出の前提となる情報を明示するべきである。また発電端効率、送電端効率も環境保全の見地から検討するにあたって重要な情報である。そのほか、使用石炭種を変える場合、あるいは、その可能性があるのであれば、主要産炭地毎の評価を実施すべきである。
4.CO2排出量の予測、評価手法について
  • 「二酸化炭素に係る環境影響が、実行可能な範囲内で回避又は低減されているかを検討し、環境保全についての配慮が適正になされているかを検討する」とされている。CO2を大量に排出する石炭火力を選択すること自体が、環境負荷を回避・低減できていないといわざるを得ないが、「実行可能な範囲」で環境負荷が「回避又は低減」されているかをどのように判断するのか、基準を示すべきである。
  • 予測対象時期とされている「発電所の運転が定常状態となり、二酸化炭素に係る環境影響が最大になる時期」とは、具体的にどのような時期を想定しているのか明示するべきである。
5.大気への影響について
  • 浮遊粒子状物質は一般局30局中1局で短期的評価・長期的評価ともに適合していない。また自排局の短期的評価では18局中4局、長期的評価では18局中1局の長期的評価が適合しない。
  • 微小粒子状物質(PM2.5)は一般局13局中12局で短期的評価に適合せず、13局中7局で長期的評価に適合しない。また自排局は年間有効測定日数未満の1局を除く全ての局で環境基準の評価に適合しない。光化学オキシダントはそれぞれの物質を測定しているすべての測定局で環境基準の評価に適合していない。
  • 本事業による追加的な汚染物質の排出によってさらなる影響が懸念される。発電施設を建設し、道路など他の施設の環境対策を実施し、環境基準を下回る具体的対策の評価を実施すべきである。
6.水質汚濁
  • 底質は建設機械稼働だけでなく、稼働時の汚染も、主要重金属それぞれについて評価すべき。
7.騒音振動その他
  • 低周波音は発生可能性のある機種ごとに、その施設内の配置と近隣住宅への影響を複数案で調査を実施するべき。
8.廃棄物
  • 廃棄物に含まれる有害物質、重金属の運搬時の飛散、利用後の追跡調査(セメントに使用した場合、埋め立てに使用した場合に、その後数十年間に当該物質が外に出て環境影響をもたらす可能性など)も評価する必要がある。
9.情報公開について
  • 環境アセスメントにおいて公開される方法書などの資料は、縦覧期間が終了しても閲覧できるようにするべきである。また、期間中においても、印刷が可能にするなど利便性を高めるよう求める。
  • 事業者は、CO2排出などに対する住民の懸念を受けてパンフレットを作成することが報じられているが、完成時期は本方法書の意見募集期間後である可能性が高く、さらにウェブサイトにも掲載しないとされている。これでは住民に対する情報提供及び意見聴取の方法として不十分であり、改善が必須である。
  • 本計画事業者による工場の環境データ改ざん事件が2006年に明らかになったことを踏まえ、事業者が公開したデータに不正がないかどうかを、発電所が稼働する数十年間にわたって第三者がチェックし続けるための体制をどのように構築し、その運用に責任をもつのかを示すべきである。

神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に対する意見(環境影響評価方法書への意見)

事業者が公表した環境影響評価方法書

各団体が提出した意見について

なお、同様に本計画に対する意見書を提出した団体があります。
いずれの団体も、地球環境への影響や大気汚染への懸念から、計画の取りやめ、大幅な見直しを求めています。


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