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【意見書】「常陸那珂共同火力発電所1号機建設計画 環境影響評価準備書」に対する意見書(2015/12/14)


 12月14日、気候ネットワークは「常陸那珂共同火力発電所1号機建設計画 環境影響評価準備書」に対する意見書を提出しました。

「常陸那珂共同火力発電所1号機建設計画 環境影響評価準備書」に対する意見書

1. 気候変動対策のための「パリ協定」をふまえた対応

今年12月12日、気候変動枠組条約締約国会合第21回締約国会合(COP21)がフランスパリで開催され、気候変動問題解決に向けた歴史的合意とも言える「パリ協定」が採択された。「パリ協定」では、地球の気温上昇を産業革命前に比べて1.5℃から2℃未満で抑えるような目標が明記され、今世紀末までにはCO2排出量を実質ゼロにするという長期目標も示されている。IPCC第5次評価報告書によれば、地球の平均気温の上昇を2℃にとどめるためには、大気中の二酸化炭素の濃度を450ppmに安定化させることで達成できる可能性が高いとされており、すでに400ppmを超えている現状においては、化石燃料の利用を抑えることが急務の課題となる。つまり、日本も合意した「パリ協定」の採択は、化石燃料時代の終焉を意味している。実際この数ヶ月の間に石炭火力発電からの融資撤退を表明する自治体や企業は増え、イギリス政府に至っては石炭火力発電所を2025年までに撤廃する方針を打ち出すなど、世界の潮流は脱石炭に向かいつつある。そのような状況の中、世界の潮流に反し、石炭火力を新設することは、将来の気候変動へ甚大な環境影響を及ぼすことになる。よって、そのことを無視した本事業の実施には反対する。

2.温室効果ガス排出について

①環境影響の回避・提言に関する評価について
本準備書では環境保全措置として、利用可能な最新の発電技術である超々臨界圧(USC)発電技術を導入するとともに、発電設備の適切な維持管理及び運転管理を行うことによる、発電効率の維持につとめ、また炭化汚泥等によるバイオマス混焼を実証するなどとしている。しかし、CO2排出量は最新のLNG火力の約2倍にも及ぶCO2排出量であり、当該設備における年間で約368万t- CO2もあることは問題であり、バイオマス混焼とした場合にどの程度の削減になるのかを具体的に明示すべきである。

②国の目標・計画との整合性について
 自主的枠組みの構築が求められている中で平成27年7月17日に電気事業連合会加盟10社や新電力23社による新たな自主的枠組みや「電気事業における低炭素社会実行計画(実行計画)」が策定されたものの、その実行性は何ら担保されていない。本準備書では、この自主的枠組みと「実行計画」がなぞられているだけで、何ら国の目標や計画との整合がとられているわけでもない。そればかりか、実行計画で示された「2030年度に排出係数0.37kg-CO2」とする目標や、削減ポテンシャルを約1100万tCO2を見込むとしている計画にすら、本事業は適合できていない。しかも、自主的枠組みに参加する事業者に対して売電するように努めるなどとその責任を小売事業者側に完全にゆだねており、なんらそのことが担保されているわけでもない。
また、二酸化炭素回収・貯留(CCS)については、約2~3割の発電効率の低下が想定され、敷地面積が2倍程度必要になることで発電コストの大幅上昇につながることや、技術的に目標とするレベル達成に向けた道筋と実現可能性は十分に見いだせていない状況にあることなどを理由として技術オプションとして選択することは不可能であるとしており、導入が全く検討されていない。環境影響評価とその対策として全く不十分な本事業は直ちに撤回すべきである。

3. 情報公開について

 環境アセスメントにおいて公開される準備書などの資料は、本来住民市民とのコミュニケーションのツールでもあり、情報アクセスをしやすくするべきものである。WEBにアップされたPDFも印刷ができないことや、縦覧期間の終了と共に全て白紙の状態になってしまうようなものは情報公開として不適切であり、継続的に閲覧できるよう にするべきである。また、期間中においても、印刷が可能にするなど利便性を高めるよう求める。

 

意見書(ダウンロードはこちらから)

「常陸那珂共同火力発電所1号機建設計画 環境影響評価準備書」に対する意見書(PDF)

 

関連文書

常陸那珂共同火力発電所1号機建設計画 環境影響評価準備書の届出について 平成27年10月28日 (リンク

 


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