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【プレスリリース】「パリ協定の実施を担保し、気候・エネルギー政策を統合する気候変動防止のための国内法の整備を」(2016/01/20)


<プレスリリース>

パリ協定の実施を担保し、気候・エネルギー政策を統合する

気候変動防止のための国内法の整備を

2016年1月20日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 

 昨年末のCOP21では、全ての国が参加する法的拘束力のある合意、パリ協定が採択された。パリ協定は、世界経済と人類の繁栄の基盤となる地球環境を守るための持続的かつ包括的な仕組みであり、地球規模での低炭素経済社会への移行、とりわけ再生可能エネルギーの拡大等を図るものである。この新たな国際協定は、各国の批准等の手続きを経て発効する。

 パリ協定は、気候変動枠組条約や京都議定書とは異なり、長期的な気温目標と排出削減の中長期ビジョンを明確に定め、各国の目標と行動を科学的評価に基づき5年毎に確認しながら引き上げていくシステムや、適応計画等を組み入れ、締約国には目標の策定と削減の国内措置を義務付けている。

 日本では、98年に「地球温暖化対策推進法」が制定されたが、京都議定書の採択を受け、国は排出抑制等に取組に配意するというに止まるものである。また、同法の目的は、92年の気候変動枠組条約の目的を規定するのみであり、2050年に温室効果ガス80%削減の政府目標も盛り込まれていない。我が国がパリ協定に参加し、その実施を担保するためには、パリ協定に準じ、それと整合的な法目的と仕組みを盛り込んだ法の整備が必要であり、以下の点を明記した地球温暖化対策基本法の策定(又は地球温暖化対策推進法の名称変更も含む抜本改正)が必要である。

  • 法の目的として、パリ協定に定める世界全体の1.5~2℃未満の気温目標と、中長期排出削減ビジョンの(早期の頭打ちと21世紀下半期に人為的排出・吸収の均衡)の明記
  • 我が国の中・長期目標(2050年までに80%削減、21世紀下半期に人為的排出・吸収を均衡(人為的排出を実質ゼロ))を明記する
  • パリ協定に定める5年毎の定期的な提出にあわせ、削減目標の引き上げと政策措置の策定(2030年目標の正式提出と、それ以降5年毎の目標引き上げ)
  • 気候政策とエネルギー政策を統合し、目標達成のための排出削減対策、再生可能エネルギー拡大計画の策定と更新
  • 「適応計画」を法定計画とし、更新する仕組み
  • パリ協定の規定に準じた最新の科学的な知見の反映と、市民参加と第三者レビュー

 

パリ協定の実施を担保する国内法に盛り込むべき要点

国内でパリ協定を実施することを担保する法には以下を盛り込むことが必要である。

 1. 法の目的に、パリ協定に定める世界全体の気温目標及び排出削減ビジョンを明記する

      パリ協定で合意された、以下の3つの目標を法目的に位置づけることが必要である。

  • 気温上昇を産業革命前の水準から2℃未満とし、1.5℃に抑制するよう努力すること
  • 可能な限り早期に温室効果ガス排出を頭打ちにし、その後すみやかに減少させていくこと
  • 21世紀下半期のうちに人為的な排出と人為的な吸収を均衡(人為的排出ゼロ)させること

 2. 我が国の中・長期目標を明記する

  • 2050年までに温室効果ガスの排出を90年比80%削減
  • 21世紀下半期内に人為的な排出と人為的な吸収を均衡させ、温室効果ガスの排出を実質ゼロに
  • 長期低炭素発展戦略の策定

 3. パリ協定に基づく5年毎の提出にあわせ、削減目標の引き上げと政策措置の策定

     5年毎に国別約束の策定・提出を定めたパリ協定のスケジュールに沿った体制整備をする。

  • 2030年目標及び計画:2018年度中に最終決定(2019年3月までに事前提出が求められる)
  • 2035年目標及び計画:2023年度中に最終決定(2024年3月までに事前提出が求められる)

     以下5年ごとの目標・計画の策定とする。

 ※現在策定検討中の「地球温暖化対策計画」は、パリ協定に2030年目標を正式に提出する2018年度中に、削減目標の引き上げを含めて見直すことが必要である。

 4. 目標達成のための排出削減対策、再生可能エネルギー拡大計画の策定と更新

  • 炭素の価格付け
  • 再生可能エネルギー導入目標の策定、電力システム改革を含む促進対策
  • 建築物、運輸、吸収源等、各方面の対策

 5. 「適応計画」の法定計画化

パリ協定では、適応の実施を各国に求め、排出削減と同様5年毎に進捗を評価することとなっている。これに対応させるため、先に閣議決定された「適応計画」を法定計画とし、2)の見直し、4)のレビューの対象とする。

 6. パリ協定の規定に沿い、最新の科学的知見の反映と、市民参加と第三者評価の確保

 パリ協定では、長期目標の達成に向けた進捗を確認し、第三者の専門家レビューの仕組みがある。国内でもそれに準じた仕組みの策定が必要である。

  • 最新の科学的知見を踏まえ、「地球温暖化対策計画」の毎年の進捗と達成状況の評価を行う。
  • 「地球温暖化対策計画」は国会の承認を得た上で決定・実施する。
  • 策定・評価では、情報公開・市民参加、独立した第三者の専門家レビューを確保する。

プレスリリース(印刷用)

【プレスリリース】「パリ協定の実施を担保し、気候・エネルギー政策を統合する 気候変動防止のための国内法の整備を」(2016/01/20) 

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