本日3月7日、気候ネットワークでは、宮城県仙台市で計画されている仙台パワーステーション石炭火力発電所が建設着工に入ったことを受けて、住民への説明がないままに進めようとする事業者(関電エネルギーソリューション、伊藤忠エネクス、仙台パワーステーション)に対しての抗議声明を発表いたしました。

 この計画については、昨年の8月に仙台市に在住者の連名で、地元説明会開催の申し入れを行っていましたが、理由の説明もなく「その必要はない」と拒否されています。

 本抗議声明は、こうした経過をふまえて、事業者に対してあらためて説明責任を果たすよう求めるものです。

抗議声明の内容

2016 年3 月7 日

株式会社関電エネルギーソリューション 代表取締役社長 白井良平様
伊藤忠エネクス株式会社 代表取締役社長 岡田賢二様
仙台パワーステーション株式会社 代表取締役社長 松村幹雄様

仙台パワーステーション石炭火力発電所
住民説明なしの着工に対する抗議声明

NPO 法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 去る3 月2 日、伊藤忠エネクス様のウェブサイトにて「仙台港における石炭火力発電所建設開始のお知らせ」とのプレスリリースが発表されていました。環境アセスメント対象外となる事業を、住民への説明がないまま環境影響が甚大な石炭火力発電所の建設が始まったことは大変遺憾であり、厳重に抗議します。

 私たちは、昨春にこの計画が報道されたことを受け、昨年8 月20 日に地域住民を含む複数の市民から御社に対して住民説明会の開催を求める手紙をお送りしました。しかし、この手紙にはお返事がなく、電話による問合せに対しては「説明会を開催する必要はない」と一方的な回答をされるのみで、今日に至るまで説明は一切行われませんでした。

 今回発表されたプレスリリースでは「皆さまのご理解・ご協力を賜りながら」、「今後とも地域社会と共生を図りながら」と記載されています。しかし、度重なる要請にもかかわらず住民とのコミュニケーションを拒否し続ける一方で、住民の理解と協力を求めるとする姿勢は、説明不足であるというのみならず、不誠実であると言わざるを得ません。

 また、プレスリリースでは仙塩地域七自治体公害防止協議会と公害防止協定を締結したことについても触れられています。しかし、この協定では地域の環境を守るには不十分です。地域住民の健康を損なう硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の排出基準は高く、PM2.5 や水銀についても全く触れられていません。本発電所が稼働して大気汚染物質の排出が増えた後、当該地域の大気環境基準が守られる保証はありません。

 地球温暖化への影響も深刻です。本発電所が建設され稼働した場合、67.2 万トンものCO2 排出が追加的に増えると推計されます(一般家庭約13 万世帯のCO2 排出量と同等)。ところが、本事業に係るCO2 排出データや対策についての説明はありません。

 今回の石炭火力発電所の建設着工に厳重に抗議するとともに、ただちに工事を中断すること、住民説明会を開催して本計画の環境影響について明らかにし、住民とコミュニケーションをとることによって、地域社会における企業としての責任を果たすことを求めます。

本文

【抗議声明】仙台パワーステーション石炭火力発電所 住民説明なしの着工に対する抗議声明

参考

【申し入れ】仙台パワーステーション石炭火力発電所建設計画について 地元説明会開催のお願いについて(2015/8/20)

 

関連リンク

公害防止協定(宮城県WEBサイト)

仙台港における石炭火力発電所建設開始のお知らせ(2016年3月2日)

 

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