排出ゼロをめざすパリ協定、日本も批准を急げ
~国連気候リーダーズイベントを経て60ヶ国がパリ協定に正式参加~

2016年9月22日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

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9月21日、ニューヨークの国連本部にて、潘基文国連事務総長主催の気候リーダーズイベントが開催された。このイベントは、今世紀下半期に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることをめざすパリ協定の早期発効*をめざし、国連事務総長が各国に参加を呼びかけたものである。

今回のイベントの結果、これまでの29ヶ国に加えて、新たにブラジル、メキシコ等の31ヶ国がパリ協定に正式に参加した。これによって、世界の温室効果ガス総排出量の約48%を占める60ヶ国がパリ協定に正式に参加したことになる。また、国連の発表によれば、年内発効を視野に、EU、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、韓国など、世界全体の12.58%を排出する14もの国・地域が今年中に締結を済ませることを約束している(この中に日本は含まれていない)。日本の批准を待たずしても2016年中にパリ協定が発効する見通しとなり、11月のCOP22マラケシュ会議までに発効するかどうかが国際的な焦点となった。

昨年12月にパリ協定が採択された後、今月3日、世界の約4割を排出する米国と中国の両国政府が正式に締結し、パリ協定の年内発効に向けたリーダーシップを発揮した。さらに、各国が先を争ってパリ協定の締結を進めているのは、この間に頻発している極端な気候災害への危機感が共有され、化石燃料の時代を終わらせ、再生可能エネルギー100%の時代に向けて経済の脱炭素化をいち早く進めるために、国際社会が連帯して気候の危機に対処すべく動き出していることを示すものである。

このような中にあって、G7伊勢志摩サミットの議長国であり、環境対策先進国を自任する日本は、早期批准を目指しているとし、批准案を今月26日召集の臨時国会に提出する方針と伝えられるものの、現時点においても批准のスケジュールについて明言できていない。

政府は、今月26日から始まる臨時国会に直ちに批准案を提出し、国会はこれを速やかに承認し、パリ協定の年内発効に貢献すべきである。また、パリ協定を実施するため、原子力に依存しない脱炭素に向けた長期戦略を策定し、野心的な排出削減目標に見直し、再生可能エネルギーを拡大し、脱炭素化を進めるための炭素の価格付けなどの政策措置の導入を急ぐ必要がある。

 

*パリ協定は、世界の温室効果ガス排出量の55%以上を占める55ヶ国以上が締結(批准・受諾・承認)してから30日後に発効(法的に効力を生ずる)する。国連気候変動枠組条約事務局がまとめた目録では、日本の排出割合は3.79%である。

以上

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【プレスリリース】排出ゼロをめざすパリ協定、日本も批准を急げ~国連気候リーダーズイベントを経て60ヶ国がパリ協定に正式参加~(2016/9/22)

 

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