<プレスリリース>

赤穂に続き、市原でも石炭火力発電所計画中止

新規建設の計画では全国初の中止決定

2017年3月23日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡 美惠

 本日3月23日、東燃ゼネラル石油株式会社と株式会社関電エネルギーソリューションは、千葉県市原市に新規建設を計画していた石炭火力発電所(約100万kW)の事業化を中止することを発表した。公表したリリースでは「本プロジェクトの事業性および事業環境の変化等」を理由に「事業化に向けた検討を継続しない」としている。今回の中止判断は、2012年以降の新規案件49基の中で、今年1月に関西電力が発表した赤穂発電所の燃料転換の2基のリプレース計画に続いて2件目となり、新設案件の中では初めての計画中止となる。本計画に対しては、一昨年、環境影響評価配慮書の段階で環境大臣が「是認できない」との意見書を提出していた。また、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が昨年発表した供給計画では、原発利用に依存しない状態でも全国の発電事業者の供給力増強が過大であることが明らかになっていた。地元での反対も大きくなっており、経済合理性の観点からも、CO2や大気汚染物質の排出による社会的・環境的な問題からも、本計画は中止すべきものだった。今回の事業者の極めて良識的かつ真っ当な判断を歓迎する。

 環境省では、本年3月21日にも「電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価」の中で、石炭火力発電所の新設・増設計画が急増していることを背景に、「2030年度の削減目標や電源構成と整合する排出量を7000万トン程度超過」するとの懸念を表明しており、石炭火力発電所建設計画への警鐘を鳴らしていた。

 パリ協定の「1.5~2℃目標」に照らせば、石炭火力発電所の新規建設はおろか、既存の石炭火力発電設備についても閉鎖していくほかない。また、世界では「脱石炭」への勢いが加速化している中で、石炭産業に対する投融資撤退運動(ダイベストメント)の輪も広がり、座礁資産化している。こうした情勢をふまえれば、他の石炭火力発電所建設を計画している事業者も同様に中止の判断をすべきである。

 また、今回中止となった千葉県では全国最大規模の計画集中地域であり、気候ネットワークでも問題を重大視するとともに、大きな懸念を持った地元住民が市民グループを結成するなどの動きも拡大していた。今回、市原での100万kWの大規模発電所が中止されたことは私たちにとっても地元住民にとっても大きな活動の成果となった。石炭火力を巡る情勢の潮目は明らかに変ってきている。私たちは、引き続き、まだ残る45の計画に同様により力を入れてその動向をウォッチし、地元住民と連携し、活動を大きくしていく決意である。

プレスリリース(本文)

赤穂に続き、市原でも石炭火力発電所計画中止 新規建設の計画では全国初の中止決定

参考

東燃ゼネラル石油株式会社
千葉県市原市での石炭火力発電所建設プロジェクトの解消について

関電エネルギーソリューション
千葉県市原市での石炭火力発電所建設プロジェクトの解消について