【プレスリリース】

大船渡市の計画がパリ協定を踏まえて石炭混焼から計画変更
~国内石炭火力発電所建設計画1基中止で全43基に~

2017年6 月21日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク

 6月15日、岩手県大船渡市で建設が計画されていた 「(仮称)大船渡港バイオマス混焼石炭火力発電所」について、事業主体である前田建設工業株式会社が、岩手県環境影響評価条例に基づき公表した環境影響評価方法書の中で、当初バイオマス混焼石炭火力発電所として石炭を燃料とする計画であったものを、木質バイオマス専焼に切り替えると公表した。これにより、日本で2012年以降の国内石炭火力発電所建設計画は49基中、4基が計画中止・変更となったため、2017年6月現在で全43基になった(2基はすでに稼働中)。

 方法書において、前田建設工業株式会社は、燃料を石炭からバイオマスに変更した理由として、パリ協定が発効したこと、日本のCO2排出量が世界5位であり2050年に80%削減目標をかかげていること、石炭火力発電所の急増、CO2排出量の多さや環境負荷の大きさなどをあげている。このような状況を鑑み、「日本が直面しているエネルギー事情をふまえ、計画を環境負荷が大きく低減する方向に見直した」としている点は高く評価する。
 しかし一方で、木質バイオマス燃料については、海外から燃料調達する事例も多く、持続可能性の観点から様々な課題もある。今回の計画についても、バイオマスの調達先などが明らかにされていないこと、バイオマス火力発電として大規模なこと、計画の詳細が石炭混焼時のCO2排出量のまま更新されていないこと、SOx、NOxの排出量も石炭火力バイオマス混焼発電時と同様に大きいこと、などいくつかの懸念点が残る。今後、事業者のさらなる対応として環境影響評価の情報を積極的に開示し、地元住民や環境NGOを含む市民との環境コミュニケーションを図ることに期待したい。

 今回の計画変更は、兵庫県赤穂市の2基の計画変更、千葉県市原市の1基の計画中止に続くものであるが、その理由として初めてパリ協定に言及している。現在、石炭火力発電所建設計画をしている事業者は、最新鋭の技術を採用していることや電力業界の自主的枠組みにおいて取り組むことなどを逃げ口上としてCO2削減に反する石炭火力発電所の建設計画を堅持しようとし、パリ協定との整合を?明できていない。パリ協定をふまえた対応として、事業の中止の判断をし、石炭燃料から脱却することを改めて求める。

以 上

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