<声明>

京都議定書採択20周年によせて
~京都議定書に誇りをもち、パリ協定を我がものとして行動を~

2017年12月9日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

 

来る12月11日、地球温暖化防止京都会議(COP3)での京都議定書採択から20周年を迎える。2020年までの京都議定書第2約束期間終了後は、世界の気候変動に関する国際枠組みは、歴史的合意「パリ協定」に収斂される。

この間に、気候変動は世界各地で現実のものとなり、生態系に深刻な侵襲を与え、数知れぬ人々の生命や尊厳を奪い、住居や財産を破壊してきた。地球平均気温は工業化前と比して1℃以上上昇しており、「1.5~2℃未満」に止める国際社会の挑戦に一刻の猶予も許されない。

しかし、希望はある。京都議定書に盛り込まれた、確実に削減を担保する枠組みのもとで、先進国全体では第1約束期間の削減目標5.2%を3倍以上も上回る削減を実現した。また、21ヶ国でCO2排出量を削減しながら経済成長させるというCO2とGDPのデカップリング(切り離し)が達成された。京都議定書を生み出し、米国ブッシュ政権による離脱という激震を乗り越えてきた先見性のある国・企業・市民が、低炭素経済への道を切り拓いてきた成果だ。20年の間に再生可能エネルギーのコストは急減し、その経済性は飛躍的に高まった。経済の主軸は低炭素からさらに脱炭素へ、化石燃料・原発から再生可能エネルギーへ向かう流れが、実現可能性のある道筋と受け止められるまでになり、脱炭素を目指すパリ協定を生み出した。京都議定書とともに国際社会が築き上げてきたものは、大方の予想を超えて大きかったといえよう。

今年、米国トランプ政権がパリ協定から離脱する意向を表明したが、もはや追随する国はない。米国内では石炭産業が衰退する一方で再生可能エネルギーが急拡大しており、米国の人口や排出量でも過半を占める州や企業や市民が連邦政府に代わってパリ協定を実施すると宣言している。今年11月のCOP23でも確認できたことは、トランプ政権がどうであろうと、脱炭素経済への挑戦が続くということである。その先に、1.5℃未満を目指すという挑戦も現実性を高めていくのではないかと期待がふくらんでいる。

残念なのは、世界の野心的挑戦のなかに、ほとんど日本の姿を見ることができないことだ。日本政府の石炭・原発推進政策はトランプ政権と重なる。日本では、再生可能エネルギーを送電系統から排除し、気候変動対策を理由に原発FITを導入してでも原発を新増設させ、石炭火力をも進めようというエネルギー基本計画の改定議論の最中にある。日本の時代錯誤は深刻である。

しかし、日本にも希望の光を放つ人々が増えている。京都議定書に誇りをもち、パリ協定を我がものとして行動する人々が増えることこそが、気候変動に立ち向かう力だ。パリ協定という新たな希望を、根気強く、私たちの暮らしや事業に活かしていく、そんな人々が新たな希望を拓くだろう。

以上

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【声明】京都議定書採択20周年によせて~京都議定書に誇りをもち、パリ協定を我がものとして行動を~(2017/12/9)

 

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