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国連気候サミット(United Nations Climate Summit)は、潘基文国連事務総長の主催で、各国首脳、金融、企業、市民社会、地方自治体のリーダーが招待され、2014年9月23日にニューヨークで開催されました。

 

国連気候サミット開催~気候変動が国際政治の最重要課題の一つに~

国連気候サミットがめざすもの

国連気候サミットは、2015年にパリで温暖化対策の国際合意を実現するための政治的気運を高めること、すべての国で温室効果ガス削減と気候変動の悪影響の対処を進めるための行動の変革をもたらすことをめざして開催されました。

国連気候サミットでは、潘基文国連事務総長が各国首脳や各界のリーダーに対し、大胆かつ具体的な行動計画をサミットの場で示すよう求めました。このサミットは野心的な行動計画を実現につなげるための、大きなきっかけづくりの場でした。

なお、このサミット自体は国連気候変動枠組条約に基づく交渉プロセスとは別物であり、今後の交渉を予断するような性格のものではありません。国連交渉の成果をすばらしいものにするために、政治的な意思を高めることを目的として行われたものでした。

国連気候サミット2014公式ウェブサイト(英語)

国連気候サミットの結果~100ヶ国以上の首脳が参加~

国連気候サミットの議長総括によれば、国首脳の演説で一致した点として、気候変動が極めて重要な課題であり、大胆な行動が必要であること、世界平均気温上昇を工業化前から2℃未満に抑えるべきであることなどが挙げられています。

また、国連気候変動枠組条約交渉のプロセスに関連して、2015年パリ会議(COP21)において、有意義で普遍的な新しい合意をまとめることをリーダーが約束したとしています。そのために、2014年リマ会議(COP20)では、2015年合意の最初の案をつくることをめざすとされています。さらに、2020年以降の温室効果ガス排出削減の国別目標案(INDCs)について、多くのリーダーは2015年3月までに提出することを表明した、とまとめられています。

国連気候サミットに各国首脳や各界リーダーが参加し、気候変動問題への取り組みの決意を表明したことで、この問題の解決に取り組もうという国際的な気運が大きく高まりました。

国連気候サミット議長総括(英語)

安倍首相の演説には失望~化石燃料と原発に依存しないエネルギーシステムへの転換が必要~

直前まで出欠を明らかにしていなかった安倍首相も、国連気候サミットに参加し、演説を行いました。

ところが、安倍晋三首相の演説は、すでにとってきた行動のPRと、具体性に欠ける途上国支援を打ち出すことにとどまりました。温暖化対策の中期目標に関しては提出時期を示せず、途上国支援のための緑の気候基金(Green Climate Fund)への資金拠出についても具体策を表明しませんでした。

安倍首相は、気候サミットで世界中の市民と他国の首脳から示された政治的意思と日本とのギャップを受け止め、政治が解決すべき課題であるとの認識をもつべきです。そして、新たな方針に基づき、2015年3月の提出に間に合うように意欲的な中期目標の策定作業へ速やかに取りかかり、化石燃料や原発依存から、再生可能エネルギーと省エネを中心としたシステムに転換するための大きな仕事に取り組まなければなりません。

国連気候サミットにおける安倍首相の演説の動画・スピーチ原稿はこちら

レオナルド・ディカプリオさんも国連気候サミットで演説

俳優のレオナルド・ディカプリオさんが国連の気候変動に関連するグローバルな活動を宣伝・支援する目的で、潘基文国連事務総長から国連平和大使に任命され、素晴らしい演説を行なっています。ディカプリオさんの演説はYouTube動画でも視聴することができます。

 

 

国連事務総長から招待を受け、気候ネットワーク理事も参加

気候ネットワーク理事の平田仁子さんが日本の市民セクターでは唯一、国連事務総長からの招待を受けて、ニューヨークでの国連気候サミットに参加しました。

京都・気候ネットワーク理事、国連サミット参加へ(2014年9月23日付京都新聞)

 

国連気候サミットにあわせ、50万人規模の気候マーチも開催

ニューヨークでは史上最大規模の「気候マーチ」~40万人が集結~

今回の国連気候サミットの2日前となる9月21日、気候変動問題の解決をめざす市民が、世界各地で「気候マーチ(People's Climate March)」が開催されました。ニューヨークでは40万人にも及ぶ市民が通りを埋め尽くし、各国リーダーに向けて、温暖化対策の強化や、温暖化の科学の信頼性、原発のない温暖化対策などを訴えるデモ行進を行いました。このマーチには、潘基文国連事務総長やレオナルド・ディカプリオさんら著名人も参加しました。

 

 

世界各地で連動した「気候マーチ」

気候マーチが行われたのはニューヨークだけではありません。合計166カ国2808カ所で気候マーチが行なわれ、将来に危機感を持つ若者たちが中心となって様々なアピールが華やかに繰り広げられました。それぞれのアクションの様子は各地のメディアにも取り上げられ、社会全体の気候変動問題への気運を高めることにつながっています。

People's Climate March - East Asia

東アジアで行われた気候マーチの様子

 

NGOによる、国連気候サミット関連の声明・プレスリリース

NGO11団体による共同声明「国連気候サミットに向けて-原発も気候変動危機もない世界へ」

日本では9月19日に、NGO11団体が連名で共同声明「国連気候サミットに向けて-原発も気候変動危機もない世界へ」を発表しています。またこれと同日、霞ヶ関から永田町まで経済産業省前や首相官邸、国会正門前までをパレードし、気候変動対策で野心的な目標を持つべきであることや、原子力発電は気候変動対策にならないことをアピールしました。

【Nuclear Free Carbon Freeパレード~原発は気候変動対策にならない!~(2014年9月19日)

【共同声明】国連気候サミットに向けて-原発も気候変動危機もない世界へ(2014年9月19日)

気候ネットワークによる声明・プレスリリースも

国連気候サミットの前日である9月22日には、気候ネットワークとしても、声明「気候サミット開催に向けて 安倍首相と全ての国のリーダーたちは覚悟と決意を示せ」を発表し、世界のリーダーに向けてその責任の重さを言及しています。

さらに、安倍首相の声明を受けて、プレスリリース「国連気候サミット閉会にあたって~日本は、政治の重要課題として、中期目標の議論をすみやかに始めるべき~」も24日に発表しました。

 

【声明】気候サミット開催に向けて 安倍首相と全ての国のリーダーたちは覚悟と決意を示せ(2014年9月22日)

【プレスリリース】国連気候サミット閉会にあたって~日本は、政治の重要課題として、中期目標の議論をすみやかに始めるべき~(2014年9月24日)

 

参考リンク

国連気候サミット2014公式ウェブサイト

国連のウェブ中継・動画

国連気候サミットにおける安倍首相のスピーチ

市民の気候マーチ(People’s Climate March)