こんにちは。東京オフィスの鈴木です。

春分の日を通過し、少しずつですが日が延びてきているのが実感できるようになってきました。そして、「電力自由化」が始まる4月は、もうすぐそこまで来ています。

電力自由化 2016年4月1日解禁

TV広告や車内ポスターなどで「電力売ります」の文字を良く見かけるようになりました。今年4月1日からの電力自由化に向けて、電力小売り業者の宣伝合戦が繰り広げられており、「電力自由化」の認知度が一気に高まっています。しかし、いきなり「電力会社を自由に選べますよ」と言われても、何をどう選んだら良いのか分からないですよね。まして、昨今の宣伝は、“今より安い”や“こんなにお得”などの安売り合戦の様相を呈しており、価格+付帯サービス以外に何を基準に選べというの?と悩んでしまいます。

そもそも電気って何で作られているの?

ほとんどの原発が停止している今、日本の電源構成比は約30%が石炭、LNGが43%、石油・LPGが13%で占められています(資源エネルギー省資料より2013年度確定値)。ここに、その他のガスを加えた88%の化石燃料のほぼ全てを海外からの輸入に依存しているのが現状です。この中で、石炭は低価格で安定した燃料とされているため、他社より少しでも安い電気を売りたい電気事業者が、日本全国で大型石炭火力発電所の新設を進めています。東京ガスと九州電力が千葉に石炭火力発電所(袖ヶ浦石炭火力発電所)を建てようとしているように、ガス会社が売る電気がガスで作られているとも、今までのように自分の居住エリアを管轄する電気事業者力が配電しているとも限らないのです。

本当に石炭発電って安いの?

震災前の2010年度には原発が動いていたので、海外からの化石燃料依存度は62%でした。それが2013年度には88%まで増加してしまいました。このままで良いのでしょうか。近年の世界情勢を考えれば燃料を海外に依存し続けるのは危険ですし、原発に安全対策費が含まれていないのと同様、石炭には温暖化対策などの環境対策費が含まれていないため一見安く見えますが、いつまでも安く入手できると思うのは幻想にすぎません。石炭の“安さ”だけで電気を選んでしまうと化石燃料輸入⇒火力発電所増加⇒CO2排出量増大⇒温暖化加速 から脱却できません。その結果は、輸入赤字⇒環境問題+健康被害増加⇒次世代への負の遺産となってしまいます。

消費者は何をチェックすべき?

「よし、じゃあ売電事業者を検討してみよう」と思ったところで、最初の障害が見えてきます。事業者を賢く選ぶためには、電源構成など価格以外の情報も必要なのに、事業者に情報開示が義務付けられていないのです。電力小売り業者には、発電方法やエネルギー源などを明確にするように求めていく必要があります。次に何とか電源を選んで変更先を決めたとしても「小規模業者に変更して停電したりしない?」など不安材料は尽きません。価格だけに惑わされることなく、きちんとサービスの内容も確認することが重要です。

電気を選ぶ意思を表明しよう!

現状、ほとんどの一般消費者は様々な電力事業者の出してくる情報を受け取るしかできず、悩みは深まる一方です。しかも、石炭も原発も嫌だから再エネ電力を使いたいと思っても、今はまだ再エネを主体とする電力を小売りする業者を選択できる状況が整っていないのです。しかし、どんな電源をどんな理由で選ぶのかは、将来どんな社会にしたいかに関わってきます。
「デンキエラベル2016」では、消費者が電力会社を選ぶことで社会を変える力にしようという<パワーシフト・キャンペーン>を展開しおり、このサイトでは電源構成開示などの情報を開示しています。化石燃料に依存しない、自然エネルギーの供給を中心とする電力会社の紹介もしていますが、大手の電力会社や売電に参入してくる大企業に比べて資金力や宣伝力が不足しているのが現状です。このような企業を応援することで、原発や化石燃料からの脱却を図る手助けをすることができます。逆に、消費者の意思表明や応援がなければ自然エネルギーの普及は進みません。消費者が電気を選ぶ意思を表明しましょう!

電気の購入先変更を手助けするサイトも出て来ました。せっかく消費者に選択する権利が与えられたこの機会を活かして<パワーシフト宣言>し、目先の利益や安さだけではなく、将来を見て電気を選ぶことを考えてみませんか。

参考:

パワーシフト「自然エネルギー買いたい宣言」はこちらから
経済産業省資源エネルギー庁 日本のエネルギー2014
価格.com 電気料金比較

報道:

「電力自由化」で、一般家庭も非原発電力会社と契約できる!?(ハーバー・ビジネス・オンライン1/31)