映画「日本と再生 光と風のギガワット作戦」


東京事務所の桃井です。

昨日(2017年2月16日)、映画「日本と再生ー光と風のギガワット作戦ー」の完成披露試写会にお声かけいただき、参加してきました。

華やかなプレミア試写会会場

会場には、上映後の記者会見に登壇した小泉純一郎元首相をはじめ、細川護煕氏、鳩山由紀夫氏と歴代首相たちの姿も見られたほか、メディアの人も50人くらいはいたのではないでしょうか、全国各地で自然エネルギーの取り組みをしている人たちもたくさん集まる華やかなプレミア試写会でした。

記者会見の登壇者。左から、司会の木村結さん、河合監督、小泉元首相、飯田哲也さん。

映画の魅力は「チャーミングな河合監督」!?

映画は、河合弘之監督と自然エネルギー専門家の飯田哲也さんがドイツ、デンマーク、アメリカ、中国、インド、南アフリカといった世界各地や北海道から九州まで日本国内の自然エネルギーの現場に足を運んで紹介するシーンがたくさん出てきます。

廃炉になった原発をとりまくように並ぶ風車や、地平線の向こうまで風車が立ち並ぶ絶景、各国の産業界や政府の人の話や現場の人たちの話も非常に面白いのですが、壮大な光景を目にし、話を聞いている河合監督のうきうきした表情がなんともチャーミングで、映画を見ている人自身も「自然エネルギー100%でいけるじゃないか」という確信を積み重ねていくことができるのです。

「再生可能エネルギーは頼りにならない」と思っている人に見て欲しい

映画の中でところどころに織り交ぜられている河合監督と飯田さんの自然エネルギー講座も面白いです。「ドイツはフランスから原発の電気をたくさん輸入しているのか」とか、「自然エネルギーは不安定で当てにならないのか」とか、日本の中で流布している自然エネルギーに対する偏見を一つ一つ覆えしてくれます。

また、日本ではなぜ自然エネルギーが普及しないのか、その制度的構造についてもわかりやすく紹介されています。いずれにしても、その根源には「原子力ムラ」の構造が深く根付いているということも改めてこの映画の中で解説されています。

ただ、気候変動の視点からは…

河合弘之監督は、言うまでもなく「脱原発」を訴えてきた弁護士ですが、今回この映画をつくったきっかけが「原発ゼロ」の先にある答えを示したかったからだそうです。なので、映画の構成としては「原発」から「再生可能エネルギー」の社会へとシフトすることを目指すという点で、非常にシンプルにわかりやすく仕上がっていると思います。

ただし、気候変動問題を扱う私たちからすると、やや物足りなさも感じるのです。

石炭火力発電がベースロード電源であるという問題

たとえば、「ベースロード電源」という考え方があるために、再生可能エネルギーに接続可能量という制限が設けられていることも映画で紹介されています。今の日本政府の考え方は、石炭と原発とを両輪のように動かしてベースロードにしようというものです。しかし、映画では「石炭」がベースロードにされていることが伝えられていないので、火力発電の一部で調整電源として使われるような印象を与えてしまっています。

繰り返しこのブログでも触れているように、石炭火力発電所は最大のCO2排出源ですし、他にもたくさんの汚染物質を出します。石炭火力が増えることは、自然エネルギー普及の足を引っ張る、悪い影響もあります。

パリ協定の成立の背景には気候変動の問題も

また、気候変動の新しい国際条約「パリ協定」が成立したことも少しだけ触れられているのですが、その理由が「再エネのコストが下がっているから」とされていました。パリ協定成立は、もちろんそういう経済的背景があったと思いますが、それだけではなく、気候変動問題の緊急性や甚大さは世界では原発事故と同等、あるいはそれ以上にとらえられているからということがあります。

むしろ、世界が再生可能エネルギー100%に向かっているのは、「脱化石燃料」を実現し、危険な気候変動を防ぐためだと言っても過言ではないでしょう。再エネのコスト低下だけでなく、気候変動の問題についても説明があればもっと良かったのでは、と思います。

再生可能エネルギーの可能性を考えることのできる素晴らしい映画

映画の中での気候変動問題の位置づけはどうあれ、再生可能エネルギーの普及の現状や将来の可能性をいろいろな人に伝えていくためには、本当に素晴らしい映画だと思います。ぜひいろいろな人に見ていただきたい映画です。

自主上映会は3月11日から

日本と再生 光と風のギガワット作戦」は、2月25日から渋谷ユーロスペースと横浜シネマリンで公開となりますが、東日本大震災の被災日である3月11日からは自主上映会が解禁となります。みなさんも自主上映会を開催してはいかがでしょうか。

自主上映会の企画についての情報は映画の公式サイトをご覧ください。

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