「地球温暖化vs寒冷化」のゆくえ


京都事務所の伊与田です。

2月は各地に寒波が押し寄せました。これだけ寒いと、「ほんまに温暖化してるんかいな?」と思われる方もおられるかもしれません。中には、インターネットなどで、「地球は今後寒冷化する」という主張をご覧になったことのある方もおられるかもしれません。

実際、どうなんでしょう?

地球は温暖化?それとも寒冷化?

「地球は寒冷化する。5年で決着がつく」という主張

たとえば、いわゆる温暖化懐疑論で知る人ぞ知る丸山茂徳先生(昨年は朝日カルチャーセンターで講座をされていたようですね)。丸山先生は、2008年9月22日に毎日新聞の紙上にて、このように話しておられます。

「地球温暖化の大きな原因が本当に二酸化炭素(CO2)なのかもう少し冷静に議論する必要がある」

「これからは寒冷化に向かいます。私が正しいかどうかは、5年後に決着がつくでしょう」

2008年9月22日付毎日新聞

地質学の分野で業績をあげられた研究者ということですが、ご本人も認めておられるように、気候科学を専門とされているわけではありません。

さて、当時から5年以上がたちました。実際はどうなっているのでしょうか?

実際の観測データを見る限り、地球は温暖化している

最新の観測データを眺めながら再考したいと思います。このグラフは、米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙科学研究所(GISS)によるものです(引用元はこちら:GISS Surface Temperature Analysis: Analysis Graphs and Plots)。縦軸は温度の偏差、横軸は年を表します。

画像クリックで元データのウェブサイト(NASA GISS)へ

丸山先生が「今後は寒冷化だ」と発言されていた2008年以降、単年で見れば気温が上がったり下がったりということはありますが、ならした赤線を見ると、温暖化の傾向は続いているように見えます。少なくとも、このグラフを見て「2008年以降、寒冷化の傾向が現れている」、「もう『寒冷化が正しい』と決着はついた」と思う方はいらっしゃらないのではないでしょうか。

気候科学の専門家は、地球温暖化の確信をますます強めている

2013~14年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書は、2007年に発表された第4次評価報告書と同様、「温暖化していることは疑いの余地がない」と指摘しています。また、第5次報告書は第4次報告書よりも、より一層強い表現で、「20世紀後半の温暖化は人間活動に起因する可能性が極めて高い(95%以上)」と述べています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト
画像出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

地球平均気温の観測データに加えて、気候科学の専門家のコンセンサスという意味でも、2008年以降の5年間で丸山先生の主張の正しさが証明されるような状況にはなりませんでした。むしろ、地球温暖化の確信はますます強まっているといえるのではないでしょうか。

2015年に出版された新しい書籍を開くと…

さて、2008年の新聞紙上で「5年後に決着がつく」とおっしゃっていた丸山先生ですが、当時の主張について、現在どのように説明されているのでしょうか?

丸山先生は、書籍『21世紀地球寒冷化と国際変動予測』を2015年4月に出版されています(京都府立図書館で借りて読んでみました)。この書籍でも、今後地球は温暖化ではなく寒冷化するという趣旨の議論を展開されています。

そんな中、私の目にとまったのは次の一文です。

温暖化問題の決着は10年以内につくであろう。

丸山茂徳著『21世紀地球寒冷化と国際変動予測』(2015年4月11日発行、東信堂)、プロローグ、viページ

エピローグにも同様の一文がありました。

21世紀が温暖化であるのか寒冷化であるのかの答えは、5年から10年のうちに自然が明確にする。

丸山茂徳著『21世紀地球寒冷化と国際変動予測』(2015年4月11日発行、東信堂)、エピローグ、140ページ

2008年に「あと5年で決着する」。

2015年に「あと5~10年で決着する」。

果たして、あなたは、丸山先生の「地球は寒冷化する」という主張について、どう思われるでしょうか。

非専門家が専門家の言説をどう受け止めるか

私自身は気候科学の専門家ではありません。ですから、自ら観測データを集めたり、分析を行ったり、シミュレーションを行ったり、気候変動のメカニズムを解明することはできません。

専門家ではない私たち市民が、「専門家」の発言の信ぴょう性を科学的に検証するのはとうてい不可能です。しかし、様々な異なる見解がある中、どの議論がどれくらい正しそうなのかについて、「公平に」比べて、自分なりに考える態度は必要なのではないでしょうか。

 

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