2017年の気候変動10大ニュース

Pocket

京都の伊与田です。独断と偏見で、2017年の気候変動関連ニュースを振り返ってみたいと思います(順不同)。

1.記録的高温。世界中で激甚な気候関連災害が発生

12月に発表された気象庁の速報によれば、2017年の世界平均気温は観測史上第3位になる見込みです。2014、15、16年は3年連続で記録を更新。17年は記録更新は免れましたが、それでも高温であることは間違いありません。

気候関連災害も深刻です。日本では、7月に九州北部豪雨が発生 。8月から9月にかけて、大西洋では極めて強いハリケーンのハーヴィ、イルマ、マリアが猛威をふるいました。秋には米国カリフォルニアの激しい山火事が話題に。12月には台風27号がフィリピンを襲い、 5万人を超える人々が避難所生活を送りました。

 

2.米国のパリ協定離脱表明と「WE ARE STILL IN」

6月、米国トランプ大統領は、米国はパリ協定から将来離脱すると表明し、国際的に厳しい批判を浴びました。米国内では、同国のGDPの半分以上に相当する約2500もの地方政府や企業などが「WE ARE STILL IN(それでも我々はパリ協定にとどまる)」というムーブメントで、米国の対策を前に進めています。

なお、パリ協定の規定により、実際に米国が正式にパリ協定から脱退できるのは、早くとも、次の米国大統領選が行われる2020年11月になる見通しです。

 

3.中国、国内で温室効果ガス排出量取引制度を導入

12月、中国政府は、国内で電力部門を対象に、温室効果ガスの排出量取引制度を導入すると発表しました。排出量取引制度は、対象主体の排出量に上限を設け、ある主体が目標未達の見込みの場合に超過達成した他の主体からの排出枠の購入を認める制度です。

欧米先進国を中心に導入されており、韓国など途上国にも広がっていますが、世界最大の排出国である中国の影響は大きく、今後の展開が注目されます。

 

4.「脱石炭に向けたグローバル連盟」発足

11月、COP23において、英国とカナダの両政府の主導で「脱石炭に向けたグローバル連盟(PPCA)」が発足。これは、最大のCO2排出源である石炭火力発電の段階的廃止を進める国・地域・企業による連合です。この連合に参加するには、高効率とされる石炭発電であってもやめていくことが必要です(高効率技術でもCO2排出量が膨大なため)。当初は25カ国・地域の参加でしたが、現在そのパートナー数は58にまで増えています(日本は参加していません)。

 

5.COP23、「タラノア対話」に合意。2018年は「目標引き上げの1年」に

国連気候変動会議・COP23は、「タラノア対話」のあり方に合意しました。これは、2018年の1年をかけて、温暖化対策の国際条約・パリ協定がめざす「地球平均気温上昇1.5〜2℃未満」という目標に照らして、世界全体の温暖化対策の進み具合をチェックし、その後の対策強化につなげるプロセスです。

現時点で各国の目標がすべて達成されたとしても3℃程度の気温上昇になってしまうとされています。世界第5位の排出国である日本にも目標・対策強化の議論が求められます。

 

6.エネルギー基本計画の見直し議論が始まる

日本のエネルギー政策の基本である「エネルギー基本計画」の見直しの検討が政府内の審議会で始まりました。現行の計画で重視されている原子力発電や石炭火力発電の扱い、省エネや自然エネルギー普及の見通しをどう考えるのかが議論されています。

現在、資源エネルギー庁ウェブサイトにて、「エネルギー政策に関する意見箱」というコーナーが設けられ、誰でも意見を提出できるようになっています。また、エネルギー政策の転換を求める市民団体は、意見箱への意見提出と、脱原発・脱石炭を求める署名を呼びかけています

 

7.石炭火力発電所 計画、近年で初めての中止

2017年は、近年(2012年以降)浮上した日本国内の石炭火力発電所新増設計画50基のうち、初めて「中止」がでました。電力需要の減少、ビジネス環境の変化、パリ協定などがその背景にあります。

  • 1月:関西電力が兵庫県赤穂市での重油から石炭への燃料転換計画を断念
  • 3月:東燃ゼネラル石油が千葉県市原市の計画を中止
  • 4月:電源開発(J-POWER)が兵庫県高砂市の新設計画を当面延期に
  • 6月:前田建設工業がパリ協定を踏まえ、岩手県大船渡市のバイオマス混焼石炭火力発電所計画を、木質バイオマス専焼へと変更

もしもこれらが中止せず稼働していたら、合計約1400万トンのCO2が何十年間も放出されることになりました。この量は、日本の一般家庭約280万世帯の排出量に等しい量。排出増加を防ぐことができたのは良いニュースですが、まだ国内には42基の計画が残っています。

 

8.日本企業が初めて再エネ100%をめざす「RE100」に参加

4月、日本企業として初めてリコーが「RE100」に参加し、再エネ100%目標を宣言。その後、10月に積水ハウス、11月にアスクルが続きました。

「RE100」は、The Climate GroupとCDPによって運営される大企業の自然エネルギー100%を推進する国際的なビジネスイニシアティブです。1月15日現在、RE100には、Google、Microsoft、Apple、Facebook、スターバックス、BMW、IKEA、Nike、ゴールドマン・サックス、H&M、P&Gなど119社が参加しています。

 

9.仙台市、石炭火力発電所の新規建設を抑制する指導方針を策定

12月、宮城県仙台市は、市域における石炭火力発電所の立地について、強く自粛を求める指導方針を国内で初めて策定しました。仙台市は、「低炭素型で自然と共生する良好な都市環境を後世に向けて守り抜いていく」としています

この背景には、仙台市内で石炭火力発電所新設計画が相次ぎ、住民の反対運動が広がっていることがあります。すでに運転中の仙台パワーステーション(親会社:関西電力・伊藤忠エネクス)に対して、住民グループは運転差し止め訴訟をおこしています。

 

10.自然エネルギーの市民・地域共同発電所1000基到達

 日本には、市民や地域主体が共同で自然エネルギーの発電設備の建設・運営を行う「市民・地域共同発電所」という取り組みがあります。1993年に1基から始まったものが、2017年1月に行われた調査では、国内の共同発電所が初めて1000基を超えたことがわかりました。 これらの多くの取り組みの背景には、温暖化防止と脱原発の思いがあったとのこと。