気候ネットワーク設立から 20年のあゆみ

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事務局長の田浦です。

気候ネットワークは、気候フォーラムを受け継いで1998 年4 月にスタートし、まもなく設立20 年を迎えることになりました。

気候ネットワーク設立20周年記念ロゴ

これまで、全国のネットワーク組織として、会員をはじめ多数の専門家やボランティアの協力を得て、国際交渉への参加、国内政策ウォッチ、地域のモデルづくり、調査・研究、政策提言、キャンペーン、温暖化防止教育などの活動を継続してきています。全てを網羅することはできませんが、これまでのあゆみを振り返ってみます。

京都議定書発効に向けて(1998-2002)

設立当初は、京都議定書の批准・発効と地球温暖化に関する認識を広めることに焦点をあてました。「1990年比で6% 削減」という目標を達成するだけでなく、さらなる削減に向けた効果的な政策が必要だと訴えました。「経済制度やエネルギー政策は変更せずに、みんなでがんばって削減しよう」との掛け声がある中で、抜本的な対策の必要性を訴えてきました。

COP3 以降、京都議定書の詳細ルールに関する交渉が続いていました。2000 年、COP6 ハーグ会議が決裂。そこで、「環境の世紀へ、変えよう!キャンペーン」を展開し、なかなか京都議定書を批准しない日本政府に対して、早期批准と対策強化を求め、各地でのセミナー・学習会の開催、地方議会への働きかけを行いました。また、COP6.5(2001 年)で、日本中から集めた声をクタヤール条約事務局長に直接手渡しました。2001 年のCOP6. 5 での「ボン合意」、COP7 での「マラケシュ合意」の結果、京都議定書発効に向けた素地が整い、2002年に日本は京都議定書を批准しました。

抜本的な対策の強化を(2003-2009)

2005 年に京都議定書が発効。日本は「6% 削減」を達成する義務を持ちました。国内では、温暖化問題への理解が一定ひろがり、省エネ活動とそれを広げていく試みが現れてきました。一方で、温室効果ガスの削減は進まず、自然エネルギー普及も停滞したままでした。温暖化防止のための「ルール」が必要と判断し、「MAKE the RULE」キャンペーンを展開しました。大幅削減の目標を含む包括的な気候保護基本法と効果的な制度・政策の導入を訴え、実現するためのキャンペーンでした。

国際的には、2013 年以降の枠組みに関する交渉がスタートしました。コペンハーゲン会議(COP15)での合意が目指されましたが、まとまらず、コペンハーゲン合意に「留意する」との結果に。その後も、新枠組み交渉は続けられました。

2008年8月8日
MAKE the RULE キャンペーン キックオフイベントの様子

脱原子力・自然エネルギー普及にむけて(2010-2015)

2011 年3 月に東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所の事故があり、原子力発電所が安全でないことが周知の事実となりました。また、原子力は安価でもないことが研究者から指摘されてきました。気候ネットワークは3.11 前から「原子力発電は温暖化対策にならない」と主張してきました。3.11 をうけて、2020 年までにCO225% 削減が可能とのシナリオを発表しました。

気候ネットワークではかねてより再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の必要性を訴え、各地で自然エネルギーの市民共同発電所づくりにも取り組んできました。ようやく2012 年7 月にFIT が導入され、多様な主体による新しい資金調達による市民共同発電所が増加し、大規模なものも含めて、現在は1000 基以上になっています。

国際交渉では、2015 年のパリ会議(COP21)は世界中から注目が集まる重要な会議となりました。その成功を訴える「Climate Action Now!」キャンペーンを展開し、会議直前に実施した「アースパレード2015」で世界中の市民と連動してパリ会議の成功をアピールしました。


2015年2月
「市民が進める温暖化防止シンポジウム」での
「Climate Action Now!」キャンペーンのアピール

パリ協定からの新たなステージ(2016- 現在)

2015 年に採択され、2016 年に発効したパリ協定の目標を実現するため、「自然エネルギー100%」の脱炭素社会・経済の構築にむけた活動に取り組んでいます。また、国内での石炭火力発電所新増設計画に対して「DON’T GO BACK TO THE 石炭!」の活動を展開しています。

活動の柱と継続

気候ネットワークは「政策提言」を柱に、「実験的な試みを政策決定者に伝えて反映させる」など、提言を実際に実現させることを目指しています。

また、気候ネットワークが重視していることのひとつに「情報開示」があります。 事業所のエネルギー使用量のデータが活用されていないことを課題ととらえ、情報開示請求を行いました。十分な開示ではなかったものの、データ分析により、日本の排出実態がより詳細にわかることとなりました。

市民向けの情報発信も行っています。国際会議の動向を伝える会議場通信「Kiko」やニュースレター「気候ネットワーク通信」、メールマガジン「ほっとくの!温暖化」を発行してきました。『よくわかる地球温暖化問題』などの書籍も出版してきています。

また、自然エネルギー学校・京都、市民が進める温暖化防止シンポジウムなど、設立初期から継続して実施している活動もあります。その中で、子ども向けの温暖化防止教育プログラムは、ボランティア活動からはじまり、京都青年会議所等との連携で、ワークショップなども組み込んだプログラムとなり、現在は京都市立の全小学校で「こどもエコライフチャレンジ」を実施しています。その手法はマレーシアのイスカンダル開発地域などにも波
及し、温暖化防止教育の進展に貢献しています。

自然エネルギー学校・京都は、エコテック、環境市民と連携して、1999 年から毎年開催しています。最初は、「自然エネルギーって何?」から始め、主催している私たちが学ぶことが多くありました。参加した人がご自身の地域に帰り同様のプログラムを開催する、市民共同発電所について学び、自ら市民共同発電所を設置するなどの成果がありました。自然エネルギーの普及程度、エネルギー政策の変化にあわせて、プログラムも変化をさせて
きました。

1998 年の12 月に、COP3 から1 年の節目に「市民が進める温暖化防止」シンポジウムを開催しました。その後、毎年全国規模のシンポジウムを開催しています。ここでは、地球温暖化に関する最新動向を共有し、何をめざして、どのように活動すればいいのかも考える機会でもあります。登壇者、参加者の新しいつながりもできるなど、自治体・企業・NGO・専門家の交流する場と
もなってきました。

今後に向けて

会員数、財政規模、スタッフ数が非常に少ない中、20 年継続し、社会の変化に一定の貢献をしてきたことは成果と言えるでしょう。振り返ってみると、私たちが当初から訴え働きかけてきたことが、徐々に実現してきたとも感じます。

しかし、気候ネットワークの役割を十分に果たせていない面もあります。脱炭素社会・経済と現実との乖離は大きく、ミッションを実現することは容易ではありません。地球温暖化の進行はますます加速し、危機的な状況ではありますが、世界の市民と連携して脱炭素にむけてチャレンジすることで大きな希望を持つことができます。今後ともご支援いただき、原発も温暖化もない豊かで平和な世界・地域づくりに向かっていくことができれば幸いです。

 

*本記事は気候ネットワーク通信119号(2018年3月発行)の記事を転載したものです。