桃井 のすべての投稿

石炭火力発電所の新設計画、規模別出資比率が一番高い関西電力グループをウォッチ!

 こんにちは。東京事務所の桃井です。

 気候ネットワークが運用している石炭火力発電所建設計画ウォッチはご存知でしょうか。現在、48基もある計画をリスト化し、環境アセスメントの状況や個別の計画情報を集めてアップしています。

 石炭を燃料としてこれから計画すること自体がすべて問題なのですが、特にその中でも国際合意の基準に満たない案件や、環境大臣から「是認できない」と意見された案件、住民から説明会の開催を求めても一切回答がない案件など悪質ともとれる計画があります。

 ここでは、全国47基の計画に対して、規模別出資比率が最も高い関西電力(関電)グループの案件をまとめてみました。

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【参議院議員選挙2016】「日本の将来を決める」参院選の投票のポイント

東京事務所の桃井です。

7月10日は参議院議員選挙ですね。私は、この日に「トレイルウォーカー東北2016」に出場するため、期日前投票をしてきました。

今回の投票のポイントは、①改憲阻止、②戦略的投票、③市民派候補です。

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すすめよう!ナチュラル・ファイブ。日本を代表するノンフロン・自然冷媒の優良企業は!?

こんにちは。東京事務所の桃井です。

さて、今日はいつか書こう、書こうと思っていたことの一つについて書きたいと思います。

自然冷媒の業界専門誌「ACCELERATE(アクセレレート)」

世の中には、ごく普通に生活しているとほとんど知る機会がない、特定の分野の人に向けた専門誌というのが結構たくさんあります。今から紹介する専門誌「ACCELERATE」も、超ニッチな「自然冷媒」という話題だけでほぼ全ての記事が構成されるレアな冊子です。この「ACCELERATE」、もともとはヨーロッパとアメリカで先行されていましたが、昨年から日本語版がつくられるようになりました。私がここでオススメしたいと思ったのは、昨年「フロン排出抑制法」が全面施行となり、フロン対策をなんとかしていかないといけないと思っている全ての企業の方にはぜひ読む価値があると思っているからです。

今、地球温暖化対策としてHFC対策が進められる中、フロンではなく自然冷媒を選択する企業が増えています。そんな事例がかなり細やかにインタビューをした上で紹介されています。この冊子の目的は明確で、自然冷媒を導入する企業や仲間を加速度的に増やすことを目指しています。つまり、私が長年取り組んできたフロン問題への解決策が、この冊子に凝縮されているのです。

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東京事務所でのインターンをふりかえって

こんにちは。私は気候ネットワークにインターンとしてお世話になりました、M.Tと申します。

わずか2週間のインターン期間ではありましたが、いろいろなことを考えさせられるきっかけとなりました。

環境アセスメントの対象外・小規模火力発電所!?

私は現在、上智大学法科大学院に在籍しており、夏季インターン先として気候ネットワークが選択できました。大学院では専ら法律学の勉強をしているのですが、過去に環境科学を学んだ経験があり、その際は一般の環境汚染の問題や気候変動、環境倫理学まで含めて勉強しておりました。ですからいわゆる環境問題について、ある程度の基礎知識はあったと思います。

しかしそれでも、小型石炭火力発電所の建設ラッシュのお話には驚きました。初日にスタッフの方から説明を受けたのですが、いわゆる環境アセスメントの法的必要性がない規模での石炭火力発電が、全国に続々と建設予定であるというのです。

は?

そんな話は聞いたことありませんでした。どういうことだろうと思っていると、早速インターンとしての仕事初めに、『電気新聞』という電力業界新聞の記事整理を依頼されたのです。主に石炭業界や石炭火力発電建設の動向に関しての記事を整理するのですが、生来私は新聞といわれるモノは大好きなので、記事整理にかこつけて、数か月分の記事をざっと走り読みしました。すると、当たり前のことですが、この業界新聞に載っていることで、一般の新聞に載っていないトピックが多々ありました。小型石炭火力発電所建設もこれに含まれるのです。

一般にはあまり報道がなされていないはずです。これは小型ゆえに、環境アセスすなわち環境影響評価法における環境影響評価の対象に含まれていないのも要因かもしれません。発電業者としては、環境アセスにかからないし、そうすれば周辺住民の建設反対運動等の憂き目をほとんど見ることなく建設・運用することができ、石炭の国際価格が長期的に大きく下落していることも相俟って、コストに優れた発電ができるというのです。

垣間見えた電力業界の様々な側面

我々が石炭火力発電という言葉を聞けば、やはり高い煙突からモクモクと煙を吐き出す風景を想像するのではないでしょうか。もちろん、過去にスモッグなどの問題を全国に引き起こした時代の技術とでは、やはり煤煙排出抑制などの点で、現在の技術には進歩が見られるのでしょう。

しかしそれでも、いわゆる京都議定書の議長国である日本は、率先して二酸化炭素その他の温室効果ガスの削減目標達成に取り組まねばならないのに、一般には二酸化炭素排出の元凶であると考えられている石炭火力に回帰しようとしているのは矛盾しているのではないでしょうか。案の定、日本の石炭火力への回帰傾向について、国外から強く批判されているとの記事がありました。

しかし業界新聞を読み進めていくと、電力業界のいろいろな側面も見えてきます。例えば、福島の東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、原子力発電に対して国民から厳しい目が向けられていますが、もちろん電力・原子力業界にしても、最初から事故を起こすつもりで全国に原子力発電所を建設したわけではありません。そこにはいろいろな利権や思惑が国家レベル・地方レベルで交錯しているのかもしれませんが、やはり基本には電力の安定供給を目指す姿勢があったのです。

「当たり前」な電力の安定供給~電力について業界任せに~

私は停電が頻繁に起きる後発開発途上国で生活したことがありますが、安定しない電力供給が、いかに人々の生活の利便性や意欲、仕事の効率を削ぐものであるか、この目で見て実感しました。普段日本で生活していると、電気の安定供給など当たり前で、雷による一時的な停電のときなど以外は、その恩恵を意識することはほとんどありません。

このこともあって、我々電力を消費する側は、電力とその発電に要するエネルギー源について、国や業界・業者任せにしてあまり根本から考えてはこなかったのではないでしょうか。

例えば夜遅くに、ふと都内のビルを見上げてみますと、フロア全体に煌々と明かりがついていますが、おそらく残業をしている人が居るのみであるのに、本当にあんな面積をあんなに明るく照らす必要があるのか、その電力はどの発電所から送られてくるのか、そのためにはどれだけの燃料が燃やされ、あるいはダムの稼働が必要とされているのか、我々一般人はなかなか思い至らないし、まして実感など出来ないものでしょう。

また日々通勤通学のために満員電車に乗っても、これだけの人数を載せて電車1本を1駅間動かすのには、いったいどれだけの電力が必要なのか、まして東京全体ではこの瞬間に何両の電車が運行しているのか、いや全国では・・・考えると気が遠くなってしまいます。

そしてそれら日々使われる膨大なエネルギーは、どこかの発電所で発電されて送電され、そして一旦使われてしまえば再利用することはできないのです。失われてしまうのです。

消費者の意思表明。まずは節電・省エネから

この意味で、来年2016年4月から予定されている、いわゆる電力自由化は、電力消費者の側に電力源を意識させることとなり、また消費者としての意思表明に資するものとなり、電力の民主化に一歩近づく動きであると思います。

電力業界に大きな変革をもたらすものなのでしょう、これに関する記事はさすがに頻繁に見かけました。一方で、この電力新聞は不思議な新聞で、原子力・火力・水力といった発電業界の記事と平行して、それらへの依存を減らす方向性を持った、風力・太陽光・潮力・地熱といったいわゆる自然エネルギーの動向も多く記事になっており、また電力業界による省エネの生徒・児童への啓蒙の運動なども頻繁に記事となっています。

私個人は、そもそも国が、戦後増大していくであろう電力需要に対して、それに対応すべく安定供給を目指して政策上多大な努力を払ってきたであろうことは想像に難くないけれども、節電・省エネという面についての啓蒙・普及については、より効果的な努力をなすことができたのではないか、と考えています。まぁ、電気代を値上げすれば庶民は電気量使用を控えるはず、と考えても、公共料金なのでそう簡単に値上げはできない事情もありますし。

この節電・省エネという分野では、市民の努力やNGOの活躍が今後大いに期待できるところではないでしょうか。家計にやさしいことが環境にもやさしい、エコノミーがエコロジーなわけですね。そもそも双方に共通するECOというのは”住むところ“という意味だそうです。みんな家や土地が自分テリトリーだと思ってますが、本当は地球が住処なのですね。

かつて1980年代くらいに省エネが叫ばれた時には、資源が枯渇する恐怖心からの運動だったのです。それが2000年代になると地球環境そのものを守るため、という思想背景に支えられることになったんですね。このような変化は、皆の意識にはあまり上がらないようですが、実は根本的な大きな変化なのではないでしょうか。そして行政でも事業者でもなく、気候ネットワークのような市民NGOは、この両方のECOを市民にアピールしていく大きな役割と可能性があると思います。

インターンシップの仕事 ~その1電話かけ~

閑話休題。

新聞記事を読み読み、それらの整理に片を付けますと、次は仙台に建設予定の小型石炭火力発電所建設の動向の確認を依頼されました。そもそもこの建設に関しても関連記事が1つしか発見できなかったのですが、それを手掛かりに調査をしなければならないようなのです。一先ず建設には行政の許可が必要になるはずだから、仙台市にでも電話してみよう・・・と、取り掛かりました。

とは言っても、春学期に行政法の授業を受けたものの、おぞましく、かつ不名誉な成績を取ってしまった私は、行政の人と果たして対峙できるのか・・・自信がありませんでしたが、電話口の仙台市職員の方は、発電所建設にあたっての国と自治体への行政上の届出・必要な許可の類を一通り教えてくださいました。あまり情報が出てきていないことを考えても、きっと行政側は情報を隠したがるのではないか、と勘繰って緊張していた私は、電話の向こうの方言にすっかりほだされて、なんか自分にもやれるような気がしてきました。

ここで教えていただいた情報を切り口に、仙台市や宮城県の複数部署、経産省や環境省に数日間電話をして、ぼんやりとですが手続きの実態を把握することができました。またその合間には仙台市の環境保護条例から電気事業法まで、条例や法律の必要箇所を読み込んでみました。条例とそれに関する法律を行き来して読み込んだのは、自分ではこれが初めてだと思います。

普段の勉強では、特定の法律だけを扱うことがほとんどなので、条例と法律の重層的な関係を理解するのはなかなか難しく、簡単にはできないものだということが身をもってわかりました。それでも、実際に地方の役所では、国の法律をこう引用しながら、こう自分たちの条例を立案して成立させているんだな、となんとなくイメージできました。

インターンシップの仕事 ~その2 膨大な発送作業~

また、インターン機関中、体力系の作業として、石炭火力発電所の建設が今後予定されている地域の議員の方宛の封書を、事務所のスタッフの総出で860通ほど作成しました。今後も石炭に頼っていこうとする電力業界の動きを広く知ってもらうためです。

これらの封書を、宛先の議員の方々が直接目にしてくださればよいのですが、秘書やら何やらに囲まれている忙しい議員先生方の目には留まらないかもしれません。地方の議員さん方であれ、今後はイメージ戦略がますます大切になってくるのでしょうから、石炭はダメ!と強く姿勢を打ち出せば、選挙民たる有権者には、エコでクリーンでスローでロハスな心証が形成されるであろうと思いますが、議員ともなるとなかなかそうはいかないのでしょうか。いろいろ大人の事情もあるのかもしれませんね。しかし大人の事情で雁字搦めになるより、子や孫の世代の心配をするのが曲りなりにも政治家のお役目ですから、履き違えてほしくはないですね。

ところが履き違えてる大人に限って、サステナビリティとか国家百年の大計とか殊更に言ったりして、とほい先のことまで考えちゃう自分に酔ってたりしますが、将来のことを考えつつも、まずは今日より明日をちょっとだけ良くしようって行動することだけで、本当は十分じゃないんですかね。

京都議定書の数値目標でも、ある日いきなり達成することはどこの国にも不可能です。少しずつの積み重ねなのではないでしょうか。何かが進歩するってことは、遠大な目標のようで、実は目の前のほんの少しが大事なんじゃないでしょうか。そもそも我々のご先祖様たちもそうしてきたのではないでしょうか。そのごく小さな進歩、それを受け継いでいくことが、結局は遠い未来へのサステナビリティなんだと思います。


数時間の封詰め作業で指先は真っ黒に・・・・。

スタッフみんなで作ったこれらの封書が、少しでも地方議員の方の心に届くように願っています。

所感

しかし考えてみますと、世論や市民の多数意見というものを形成するには、どういうアプローチをしたらよいのでしょうかね。現代では巨大な力を持ったマスコミでさえも、世論を大きく誘導するのは難しいのではないでしょうか。気候変動のような、地球上の生物全てに影響がある変化に対して、どのように人類全体の意思が形成されているのでしょうか。地球温暖化にしても、テレビでよく目にする、盛夏の車の渋滞からメラメラ立ちのぼる陽炎のイメージが人々の心理に影響して、温暖化防止が叫ばれるようになるのでしょうか。あるいは人も動物である以上、その本能から、このままではまずいと肌で感じたりしているのでしょうか。

私としてはそのどちらもあるような気がしています。でも実はデータとしてみると、イメージとは違って、盛夏の最高温度の上昇よりも、真冬にかつてほど最低気温が下がらないことのほうが、温暖化の弊害としては大きいようです。本来なら低温で冬を越せない種が越冬してしまい、感染症や害虫による被害が起き始めているそうです。これはヒトの生物としての本能に訴える危機でしょう。

この危機は、清潔好きで、ゴキブリ一匹にも周章狼狽する我々日本人にとっては、なかなか致命的なものなのではないでしょうか。一方で、既に起こっている気候変動が種としての存続に影響してしまっている生き物たちも現実にいるのです。

気候ネットワークの弁護士スタッフがかかわっている、いわゆる“シロクマ訴訟”の判決文も、インターン中に読んでみました。地球上の生物の権利を人間がどこまで保証できるかは、環境倫理学でも1大テーマです。しかし、種としての存続が脅かされている生物にとっては、いやいや、権利とかはどうでもいいから、とにかく元の通りにしてくれよ、ということかもしれません。

一先ず、このケースでは、シロクマを原告にするという試みを行ったのですが、原告側がアメリカの裁判例などを参考にしつつ、大上段から一大主張を展開し、かつ公害と環境汚染について精緻に論じているのに対して、判決はそれを丁寧に切り崩しています。私が初学者だから尚更でしょうか、日本の裁判所の厳格さを身につまされる判決文となっています。そこには法的な判断を行う多数の枠組みが、そう簡単には変わらないという事実が厳然としてあるように感じます。

環境倫理学の発祥の国であるアメリカなどでは、権利というものをヒトから他の生物、あるいは土地・自然空間、果ては鉱物にまで拡げてゆこうとする学問的試みも始まっているようです。その背景には、実際に彼の国は権利概念を女性へ黒人へと拡大して民主主義を発展させてきたということへの自負もあるでしょう。であるとすれば、他の生物への権利拡大も可能というふうに考えるのも無理ではないのかもしれません。アメリカらしい実証主義的楽観性も見え隠れします。

しかしこれに対して、シロクマ訴訟の判決文は、やはりそう簡単にはいきませんよと、壁を可視化してくれたようでもあります。そもそも、クマとヒトなんて、いざとなればお互い文字どおり、喰ったたり喰われたりするものであるのに、その相手方に対して権利とかを認めたりできるのでしょうか。ここには包括的に、人為的に引き起こされた地球温暖化をヒトがどう収束させていくのか、またその過程において、他の生物の生存環境を奪っているという事実に対し、万物の霊長としてどう責任を取るのか、あるいはとらなくていいのか、法学や環境倫理学における根本的な問題が、壁として提示されているのです。突きつけられているのです。

今後、シロクマ訴訟のような事案は国内外で増えていくでしょう。その中には、あるいは劇的な判決を勝ち取ることができるものもあるのかもしれません。そうなれば、それは大きな意味を持つものとなるでしょう。しかしより重要なのは、我々が常時呼吸しているこの空気の中に、温暖化を引き起こす温室効果ガスが含まれている、そしてそれは地球上どこに行っても逃れられない事実であり、それが我々の日々の活動によって排出されたものであり、その結果が地球上のあらゆる動植物の生存に影響し、大きな変動をもたらしているのだ、と皆がリアルに感じることなのかもしれません。

それはちょうど、我々が常日ごろ可愛がるペットが怪我をしたりして、ああ可哀想と大慌てしたりするとき、自分のペットを生物としてより良く生きさせてあげたい、という思いは、例えば母シロクマが子シロクマを守ろうとする気持ちと実は同じだと気付く、あるいはシロクマだけじゃない、地球上のあらゆる生物が子を慈しみ、あるいは生物として懸命に生きることを志向しているんだなぁ、と感じることと、不可分一体の関係にあるような気がしています。

ヒトは自らを万物の霊長とかいって自画自賛している場合じゃない、それならそれでそれなりの責任を負うのだと思います。

インターンの期間の感想文を書くはずが、なんか妄想文になってしまいました。しかし、以上のようなことは、気候ネットワークにインターンでお世話にならずには考えられなかったことだと感じています。一先ず今の自分には環境法分野を勉強しようという意欲も湧いてきました。

しかしそれには行政法をなんとかせねばならず、目下私にはそれが壁なのでした。行政法、と聞いただけで心にスモッグがかかったように感じますが、いつかそれが晴れる時も来るのかもしれませんね。まぁ、少しずつ向上していければ、と思っています。

(了)

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スタッフ桃井からのコメント

Mさんには、たった2週間ながらもいろいろな作業をやっていただきました。読んでいただくだけで、Mさんの独特のキャラクターが伝わるかと思いますが、インターン期間中は事務所内を盛り上げていただき、こちらも楽しい2週間でした。

次年度の後輩たちにも気候ネットワークでのインターンを経験するように促してくれるとのこと。約束期待してますね! 

桃井

 

東アジア気候変動フォーラムin天津

東京事務所の桃井です。
9月21日に中国の天津で開催された「東アジア気候変動セミナー」に出席してきましたので、今回は少しその報告をしたいと思います。

日中韓の市民交流と東アジア気候フォーラム

今回の「東アジア気候変動セミナー」は、日本の東アジア環境情報発伝所、韓国環境運動連盟(KFEM)、中国の科学技術研究センターが共同で運営する東アジア環境情報ネットワーク(ENVIROASIA)の主催イベントとして開催されたものです。

三カ国の市民のネットワークを通じて、2010年からスタートしたのが東アジア気候フォーラムです。第一回目は韓国の光州市で、翌2011年の第二回目は日本の東京で開催されました。ちょうど東日本大震災の起きた年でもあり、このときは福島原発事故の被災者の方などからの報告も含めた原子力問題もあわせた特別セッションも設けられ「脱原発」にもフォーカスしていきました。原発問題はとりわけ中国での扱いがセンシティブではあるものの、この時を境に「脱原発と気候変動対策の両立」は毎回話題となるテーマになっています。そして、2013年には第三回目を中国杭州市で、そして昨年2014年に再び韓国光州で第四回目を行いました。

今回は、中国の環境保護団体のネットワークCCANのメンバー研修も兼ねて、北京、合肥、青海省、南京、杭州、麗江からメンバーが集まり、日中韓の気候変動政策や地域の取り組みについて情報交換をし、今後の連携について議論する位置づけで開催されました。

今年は、このENVIROASIAの15歳の誕生日ということで、ホスト国の中国科学技術研究センター代表の李力さんがお祝いのケーキを用意してくれて、盛大な祝賀パーティも開かれました。なんと、15年前、このネットワークの発足を中国や韓国の市民団体に呼びかけたのが、日本の東アジア環境情報発伝所代表の廣瀬稔也さんで、気候ネットワーク東京事務所のオフィスも同じ場所においているという御縁があります。廣瀬さんは、祝賀会でこの15年を振り返り、国際社会の中で政治的・経済的な情勢が大きく変化する中にあっても、草の根レベルで日本・中国・韓国の市民が互いを尊重してつながっていることの意味や気候変動をテーマに情報を共有しつつネットワークを育んできたことへの感謝の気持ちを語りました。

ENVIROASIA 15歳の誕生祝いにて 日・中・韓の代表者によるケーキ入刀
ENVIROASIA 15歳の誕生祝いにて 日・中・韓の代表者によるケーキ入刀

 

日中韓のINDCと課題を共有

さて、今回のセミナーは、COP21の直前でもあるので、第一部に基調講演「COP21に向けた課題」、第二部で各国のINDCについて、第三部で今後のアクションという構成ですすめられました。中国は中国気候変動行動ネットワーク(CCAN)の毕欣欣さん、韓国は韓国環境運動連合(KFEM)の李志彦さん、日本から私・気候ネットワークの桃井がそれぞれINDCについて発表しました。韓国と日本の発表では、それぞれの国のINDCが「2℃目標」を達成する上でも長期的削減に向けたプロセスとしても、公平性や野心度からみても不十分であると指摘していました。一方、中国のINDCについては、質疑の中で2030年にピークアウトというよりは、すでにピークアウトしているのが現実ではないかとの指摘が出て、石炭需要などについても実態を詳しく調査分析する必要性があがりました。

また、日本から参加した東北大学教授の明日香壽川さんは各国発表の総括をし、石炭火力発電所の開発に対しての海外融資で公的資金を最も投入しているのが日本で、次いで韓国、中国とこの三カ国が世界の中で石炭支援に最も資金を拠出していることをあげ、石炭融資の問題に東アジアの市民側も連携して言及してはどうかと問題提案されました。

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進行する東アジア環境情報発伝所の山崎さんと日中韓発表の総括と石炭問題に対しての提言をする東北大学の明日香壽川さん

市民の連携アクションに向けて

前半での議論をうけて、今各国ではどんなパリ会議に向けてどのようなアクションを実施しているのかを共有し、最後は山崎求博さんの進行により、市民側で連携していくアクションとして次のことがまとまりました。

1.11月28~29日のグローバルアクションデーで共同アクションを行うこと(日本ではClimate Action Now!キャンペーンとの連携)

2.石炭の問題に言及した東アジア市民による共同声明をCOP21前に発表すること

3.東アジア気候フォーラムのホームページを立ち上げ、運用を行うこと

4.それぞれ地域で実践する省エネ・再エネ対策などの情報をWEBを通じて共有していくこと

ということで、さっそく、日本に戻ってからもこれらの実行に向けた準備対応をしています。

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エクスカーションはカニ釣り!?

22日には、天津の郊外に移動して有機農業などに取り組んでいる村におじゃましました。ここでは、田んぼにカニを放し飼いにして害虫が増えるのを防ぐ「カニ農法」をしているのです。日本だと「アイガモ農法」は聞いたことありますが、カニはきいたことがありません。どうも最近の中国はなんでも農薬漬けになっているイメージがありますが、無農薬に取り組む村があることにも驚きましたし、カニを使うというユニークな方法もまた面白いなあと思いました。

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そして、観光客用にカニ釣り場も用意されています。釣り糸に鶏肉をクリップで挟んだものを垂らし、釣り場に落とすだけです。釣り場はカニで埋まっているのではないかと思うほど、入れ食い状態です。たった10分でこのとおり大漁でした。捕まえたカニは、残念ながら今回お持ち帰りできなかったのですべてリリースでしたけど・・・。

こうして、いろんな意味で充実した天津出張となりました。

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来年は日本開催!

さて来年、第5回東アジア気候フォーラムは、ホスト国が日本になります。今回の会議で、秋ごろに開催するということで合意がとられましたが、内容や具体的な開催日は今後の状況を見て決めていくことになります。また、開催場所についても、いくつかの候補地があがったものの、まだ確定できていません。アクセスが便利で、宿泊費もほどほどで、環境先進事例を中国や韓国の方に見てもらうことができ、おもてなしの精神でお迎えできる場所はいったいどこだろうかとなかなか決定できません。京都案が濃厚なのですが、なにせ秋の京都は宿代が高すぎる点で躊躇してしまいます。良いアイディアがありましたらぜひお寄せください!

※おまけ・・・・
カニ釣りや植林活動をしている間に日中韓のスタッフミーティングをしたのですが、村の民泊レストランの会議室はオンドルで、その横には石炭専用のストーブがおいてありました。”排ガスがでなくてクリーン”だと表示がありますが・・・。まだ市民の生活でも使われているところがあるのですよね。ちなみにそのストーブの横にある竈は薪専用でした。

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アースパレード2015の特設ページもできました!

東京事務所の桃井です。

「アースパレード2015」に向けて

今日は、午前中から東京の主婦連合会の会議室で、Climate Action Now!キャンペーンの賛同団体のみなさんと、11月28日に開催する「アースパレード2015」の企画会議を行ないました。

人類の未来をかけた国際交渉とも言えるCOP21。
この会議で、気候の危機を回避し、気温上昇を2℃未満に止めるための道筋をつくれるよう会議で合意をはかることが求められています。

そこで、COP21に集う世界のリーダーたちに向けて、気候変動問題を解決するよう、世界中の市民が一丸となって行動する日があります。今年は11月28~29日が世界のアクションデーとして、世界各地で気候マーチやデモが行なわれ、数千万人が参加する規模になると言われています。

ということで、日本でも、まずは東京と京都でその準備をすすめているところなのです。今日の会議で、少し企画が具体化してきました。これから猛烈に忙しくなりそうな予感がします。本当にいろんな方のお力をお借りしたいところです。

パレード専用サイトできました!

今日の会議を経て、パレードの素敵な特設サイトも公開しました!
それがこちらです!
トップにリンクされた、昨年のニューヨークでの気候マーチの動画で、その盛り上がりがよくわかると思いますが、日本でもこれから先当日に向けてたくさんの参加者を集めていきたいとおもっています。東京は11月28日、京都は11月29日です。今から予定を入れておいてください!

現在、ClimateAction Nowの賛同団体や、パレードの企画に参加してくれる人、ボランティアなど募集しています。また、東京や京都以外の地域でもパレードをやりたいというところがあったら、ご連絡くださいね。ぜひ多くの人のご参加をお待ちしています~。

 

欧州加盟国大使、日本の気候変動対策に失望?期待?

こんにちは。東京事務所の桃井です。

日本の温室効果ガス削減目標最終調整

2020年以降の温室効果ガス削減目標案(INDCs)の国連への提出が遅れている日本ですが、先週から政府が2030年の目標案を調整しているという報道が飛び交っています。主要新聞のタイトルを並べてみると次のとおりです。

  • <朝日新聞>温室効果ガス削減、25%程度で調整 2030年の目標(2015年4月24日)
  • <産経新聞>温室効果ガス削減目標、政府が25%程度で調整(2015年4月24日)
  • <毎日新聞>温室効果ガス削減:「約25%」案 欧州水準、遠く及ばず(2015年4月25日)
  • <読売新聞>温室ガス30年度26%減目標…EU上回る水準(2015年4月25日)

朝日新聞と毎日新聞には基準年が書いていませんが、読売新聞は2013年から26%程度しています。2005年比でみると25%程度ということでしょうか。これを、読売新聞の見出しでは「EUを上回る水準」などとしていますが、1990年比で少なくとも40%削減するというEUと比べて「上回る」とするのは完全にミスリードです。90年比でみると日本のこの目標値は17~18%減に相当します。つまり、毎日新聞の「欧州水準、遠く及ばず」の方が正確な評価でしょう。

気候ネットワークでも、24 日にエネルギーミックスの割合についての問題とともに指摘するプレスリリース「意欲のない温室効果ガス削減目標は受け入れられない 原発ゼロで温暖化対策の深掘りをすべき」を発表し、エネ庁の意見箱にも提出しました。たくさんの意見を多くの人たちからどんどん出していきましょう

欧州加盟国駐日大使からの日本へのメッセージ

ところで、昨年10月には2025年の削減目標を発表し、国連にもINDCsを先行して提出したEUですが、去る4月21日に、駐日欧州連合(EU)代表部とEU加盟国大使館の主催で、COP21に向けたセミナーが開催されて、大変興味深い議論が展開されていました。

セミナーでは、EU各国が取り組んでいる気候変動政策についての紹介や「気候変動への対応が経済に悪影響を及ぼすのか」という内容で2部構成で行われました。特記しておきたいのは、出席した駐日大使(ドイツ、デンマーク、フランス、スウェーデン、英国)からは、いずれも日本が省エネ技術など削減に貢献できるポテンシャルが高いにも関わらず、気候変動対策が後退していることに対して、早期に野心的な目標を掲げるべきだという投げかけがあったことです。

 また、欧州ではビジネスに長期的な削減目標をかかげることで、ビジネス界でも温室効果ガス削減に向けて大きく変革し、経済成長とCO2削減が切り分けられていることが強調されていました。何よりも政治的な長期的ビジョンをかかげたポジティブなシグナルが重要であるということだと思います。

 気候変動の危機や原発リスクの危機を共有することなく、2030年にも原発石炭に大きく依存している今のような政府の方向性は、ビジネス界に対するシグナルとしても混乱を与えるだけではないでしょうか。

出演者など

欧州代表部による報告ページもご覧になってください。

<パネルI> EU加盟国における気候政策の実施状況

  • 駐日ドイツ連邦共和国大使 ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン氏
  • 駐日デンマーク大使 A.カーステン・ダムスゴー氏
  • 駐日フランス大使 ティエリ-・ダナ氏
  • 駐日スウェーデン大使 マグヌス・ローバック氏
  • 駐日英国大使 T.M.ヒッチンズ氏
  • モデレーター:駐日欧州連合代表部通商部一等書記官 ウリ・ヴィエンリッヒ氏

<パネルII> 気候変動対策:業界にとっての新たなビジネスチャンス

  • 日産自動車株式会社取締役 志賀俊之氏
  • リコー株式会社サステナビリティ推進本部顧問 則武祐二氏
  • ユニリーバ ジャパンCEO兼社長 フルヴィオ・ブアルネリ氏
  • ロイヤル・ダッチ・シェル オランダ社長、ガス市場開発副社長 ディック・ベンショップ氏
  • モデレーター:共同通信社環境・開発・エネルギー問題担当・論説委員 井田徹治氏

銀座の画廊にて。絵画で石炭問題をアピール 

こんにちは。東京事務所の桃井です。久しぶりの投稿になります。

2015年は、COP21に向けて大切な年

今年の気候ネットワークは、年末のパリ会議(COP21)での意義ある合意をめざして”クライメート・アクション・ナウ!(Climate Action Now!)”のアクションをスタートしたり、石炭火力発電所を増やそうという日本国内の動きにストップをかけるためのキャンペーン”Don’t Go Back to the 石炭!”を展開したりとスタッフもめまぐるしく動いています。

石炭問題をアピール!絵画展示会

さて、そんな中で気候ネットワーク会員の余語盛男さんが銀座の画廊で絵画作品を展示するということで案内をいただいていたので、今日、移動の時間をつかって伺ってきました。案内には、なぜか「石炭問題もアピールしています」と書かれているので、興味も倍増でした。

絵画だというからには全て絵で描かれているのかと思ったら、数字まで使って石炭問題をアピールする文章が絵の中に書かれているのです。思わず読まずにはいられません。

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自画像のまわりに、天文学、料理、パリの旅行、そして石炭問題に再生可能エネルギー、とご自身の活動を描かれてるのですね。なんとも印象的な一枚です。(ここで私は自分のカメラを忘れたことに気付き、余語さんの持っていたカメラから写真をコピーしていただいてアップしています。。)

COP21が開催されるパリの町並みの絵画も

さらにこの絵の両隣には、パリの町並みや建物が描かれた絵が数枚ずつ飾られています。これらもすべて余語さんか描かれたものですが、パリの素敵な町並みなどを見ながら、まさに2015年を象徴するような作品だなあとしみじみ感じてしまいました。さすが気候ネットワークの会員さんですよね!?

DSC05536気候ネットワークとして銀座でアピールする機会はなかなかつくれませんから、いつもの私たちのイベントとは全く違う表現方法で気候変動問題・石炭問題などを伝えていただくのはとても貴重です。

余語さん、どうもありがとうございました。

DSC05563

世界の”Climate March”、日本の”気候マーチ”

こんにちは!東京事務所の桃井です。

世界のClimate March

 2014年9月21日、世界中で市民が気候変動問題の解決を求めるデモが行なわれました。「Climate March(気候マーチ)」です。複数の環境NGOが呼びかけて、数ヶ月前から準備がすすめられ、その結果集まった人の数はニューヨークだけでも40万人と発表されています。

 二日後の23日に国連気候サミットに集結した各国首脳陣たちに、とても大きなインパクトを与えたに違いありません。パレードの規模はPeople’s Climate MarchのWEBサイトに掲載された写真や動画でも良くわかりますので、ぜひ1度見てみてください。

●People’s Climate Marchキャンペーンサイトhttp://peoplesclimate.org/

ニューヨークでのClimate March の様子。約40万人が参加しました。
ニューヨークでのClimate March の様子。約40万人が参加しました。

 

国連の潘基文事務総長もClimate Marchに参加。ゴア元副大統領の姿も。
国連の潘基文事務総長もClimate Marchに参加。ゴア元副大統領の姿も。
国連の平和メッセンジャー大使をつとめる俳優のレオナルド・ディカプリオ氏も参加。
国連の平和メッセンジャー大使をつとめる俳優のレオナルド・ディカプリオ氏も参加。

 

日本のアクション、「気候マーチ」

 日本でもこのタイミングに合わせてアクションが行なわれていたことをご存じでしょうか。

市民団体による共同声明「国連気候サミットに向けて-原発も気候変動危機もない世界へ」

 一つは、市民団体が共同で発表した声明「国連気候サミットに向けて-原発も気候変動危機もない世界へ」です。気候保護の団体だけではなく、開発関係や人権問題に取り組む団体が一緒に声明文をまとめあげたという意味は大きかったと思います。原子力が気候変動問題の解決にならないことを強調しました。

霞ヶ関で「気候マーチ」

 さらにもう一つのアクションは、9月19日に日比谷公園から経済産業省前、首相官邸前などを通過して国会正門までをパレードしました。金曜日は、官邸前での「脱原発・再稼働反対」の毎週恒例となった官邸前行動が行なわれています。ここに合流して、原発もない、気候変動もない世界に向けてアピールをしています。

経産省の脱原発テント前をパレードしました
経産省の脱原発テント前をパレードしました
金曜日の官邸前抗議にあわせて原発もない気候変動もない世界を訴えました
金曜日の官邸前抗議にあわせて原発もない気候変動もない世界を訴えました

  この気候マーチの様子は、ソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」さんにて取り上げられました(同記事はYahoo!ニュースにも掲載されています)。

霞ヶ関の気候マーチにかけた思い

 本当は、いずれもぎりぎりまで予定していなかったのですが、9月21日のClimate Marchに向けて世界中で気候変動解決に向けた市民の勢いが盛り上がり、ぜひ日本でも動きがあればという海外の方たちからの声があったこと、さらには気候変動対策を口実に原発再稼働の動きに繋がりかねない国内情勢に対しても、それが解決策にならないことを表明しておく必要性が高まっていたことなどが、東京で何もしないわけにいかないのではないかという空気になっていました。

 たまたま、9月16日から行なわれた韓国光州でのフォーラム出席のためにFoE Japanの吉田明子さんと私が飛行機も部屋も同じになったことで、急遽声明文作成やパレードの準備を進めて行くことになったのでした。朝早く起きて、夜も遅くまで相談し、日本にいる方たちと連絡を取り合いながら、なんとかやり遂げましたが、行き当たりばったり感は否めません。呼びかけ時間も少ない中で、パレードに参加していただいた方がいたことには、心から感謝する次第です。

市民にも盛り上がりを!

 いずれにしても、日本はまだ中期目標も示さず、気候変動対策に最も後ろ向きな国とのレッテルを貼られつつあります。来年のパリ合意に向けて市民の側にも盛り上がりをつくっていかなければならないでしょう。次はもう少し余裕を持って、多くの皆さんにも参加してもらいやすいようなパレードなど企画したいと思っていますので、ぜひそのときはご協力くださいね!