「活動報告」カテゴリーアーカイブ

マレーシアの子どもたち、低炭素社会に向けた取り組み

こんにちは。京都事務所のアシュリーです。3月に訪問したマレーシアの小学校の子どもたちの取り組みについて紹介します。

マレーシア・イスカンダル地域、低炭素社会への取り組み

2005年から京都市で始まった温暖化防止教育「こどもエコライフチャレンジ」は、他地域にも取り組みを広げており、2013年からはマレーシアのイスカンダル開発地域でも実施されています。

イスカンダル開発地域は、低炭素社会づくりに熱心に取り組んでいる地域で、マレーシア版こどもエコライフチャレンジもその取り組みのひとつです。このマレーシア版こどもエコライフチャレンジは、京都のこどもエコライフチャレンジをもとに、そこにマレーシアらしいアレンジを加えたものになっています。

マレーシア版こどもエコライフチャレンジとは?

マレーシア版こどもエコライフチャレンジは、子どもたちが低炭素社会について理解を深め、炭素排出量の削減にチャレンジするという目的のもとデザインされました。

子どもたちは、エコライフチャレンジとして次の3つの活動に取り組みます。

  1. グループでワークブックに取り組む
  2. 小学校内で電気代・水道代削減キャンペーンを行う
  3. リサイクル品収集キャンペーンを行う

この3つの活動の成果はマレーシア工科大学(プログラムのコーディネーター)に送られ総合的に評価されます。それをもとに上位15校が選ばれ、最終発表会が行われます。

発表会では、子どもたちがエコライフチャレンジで学んだこと、そして自分たちの地域を低炭素社会にするために自分たちには何ができるかについて発表し、優秀校が選ばれます。

電気代・水道代削減とリサイクル品収集キャンペーンや最終発表会は、具体的な数字を使って競争する要素を加えたマレーシア版のオリジナルな部分です。

2016年からは、これに加え、学習したことを定着・継続させていくための振り返り学習会をパイロット校で行う試みが始まりました。振り返り学習会は、子どもたちがそれまでに取り組んだエコライフを振り返り、今後の目標を決めて発表するというグループワーク。これからより多くの学校でこの取り組みが実施されるよう期待されています。

その他にどんな取り組みをしているの?

今回、エコライフに熱心に取り組む2つの小学校を訪問しました。それぞれのキャンペーンにむけて、分別用ごみ箱の設置や時間を決めて電気を消す取り組みなどが行われていましたが、それ以外にもさまざまな取り組みが行われているのが分かりました。

例えば今回訪問した両方の学校で生ごみなどから肥料を作り野菜や植物を育ており、その活動について熱心に説明してくれました。またそのような活動には、エコライフチャレンジの対象となっている6年生だけでなく、学校全体で取り組んでいるのが印象的でした。

肥料をつくる「ミラクル・タンク」。どのようにして肥料ができるのかを説明してくれた。
ココナツの殻から土を作り植物を栽培している。生姜の収穫の様子を見せてくれた。
学校全体でエコライフに取り組む。子どもたちは取り組んでいる活動のジャンルごとにワッペンをつけている。ワッペンの一覧表。

 

イスカンダル開発地域は、マレーシアの重要な開発対象地域であり、経済成長により急速な温室効果ガス排出量増加が危惧されている地域です。しかし、今回子どもたちの取り組みの様子を見て、低炭素社会づくりが始まっているのを実感しました。子どもたちのこの取り組みが、家庭やコミュニティに広がり、地域全体で低炭素社会を目指していってほしいと思いました。

 

 

気候ネットワーク設立から 20年のあゆみ

事務局長の田浦です。

気候ネットワークは、気候フォーラムを受け継いで1998 年4 月にスタートし、まもなく設立20 年を迎えることになりました。

気候ネットワーク設立20周年記念ロゴ

これまで、全国のネットワーク組織として、会員をはじめ多数の専門家やボランティアの協力を得て、国際交渉への参加、国内政策ウォッチ、地域のモデルづくり、調査・研究、政策提言、キャンペーン、温暖化防止教育などの活動を継続してきています。全てを網羅することはできませんが、これまでのあゆみを振り返ってみます。

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化石燃料の時代を終わらせる!パリ協定、発効へのカウントダウン

京都事務所の伊与田です。京都は先週くらいからようやく少し涼しくなりました。

さて、そんな中、気候変動に関するパリ協定について、とても良いニュースがありました。

世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにしていくことを決めた温暖化防止の国際条約「パリ協定」ですが、これが今年2016年内に発効する(=法的な効力を持つ)見通しになったのです!それどころか、11月に開催されるCOP22マラケシュ会議までの発効も現実味を帯びてきました。

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石炭火力発電所の新設計画、規模別出資比率が一番高い関西電力グループをウォッチ!

 こんにちは。東京事務所の桃井です。

 気候ネットワークが運用している石炭火力発電所建設計画ウォッチはご存知でしょうか。現在、48基もある計画をリスト化し、環境アセスメントの状況や個別の計画情報を集めてアップしています。

 石炭を燃料としてこれから計画すること自体がすべて問題なのですが、特にその中でも国際合意の基準に満たない案件や、環境大臣から「是認できない」と意見された案件、住民から説明会の開催を求めても一切回答がない案件など悪質ともとれる計画があります。

 ここでは、全国47基の計画に対して、規模別出資比率が最も高い関西電力(関電)グループの案件をまとめてみました。

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東アジア気候変動フォーラムin天津

東京事務所の桃井です。
9月21日に中国の天津で開催された「東アジア気候変動セミナー」に出席してきましたので、今回は少しその報告をしたいと思います。

日中韓の市民交流と東アジア気候フォーラム

今回の「東アジア気候変動セミナー」は、日本の東アジア環境情報発伝所、韓国環境運動連盟(KFEM)、中国の科学技術研究センターが共同で運営する東アジア環境情報ネットワーク(ENVIROASIA)の主催イベントとして開催されたものです。

三カ国の市民のネットワークを通じて、2010年からスタートしたのが東アジア気候フォーラムです。第一回目は韓国の光州市で、翌2011年の第二回目は日本の東京で開催されました。ちょうど東日本大震災の起きた年でもあり、このときは福島原発事故の被災者の方などからの報告も含めた原子力問題もあわせた特別セッションも設けられ「脱原発」にもフォーカスしていきました。原発問題はとりわけ中国での扱いがセンシティブではあるものの、この時を境に「脱原発と気候変動対策の両立」は毎回話題となるテーマになっています。そして、2013年には第三回目を中国杭州市で、そして昨年2014年に再び韓国光州で第四回目を行いました。

今回は、中国の環境保護団体のネットワークCCANのメンバー研修も兼ねて、北京、合肥、青海省、南京、杭州、麗江からメンバーが集まり、日中韓の気候変動政策や地域の取り組みについて情報交換をし、今後の連携について議論する位置づけで開催されました。

今年は、このENVIROASIAの15歳の誕生日ということで、ホスト国の中国科学技術研究センター代表の李力さんがお祝いのケーキを用意してくれて、盛大な祝賀パーティも開かれました。なんと、15年前、このネットワークの発足を中国や韓国の市民団体に呼びかけたのが、日本の東アジア環境情報発伝所代表の廣瀬稔也さんで、気候ネットワーク東京事務所のオフィスも同じ場所においているという御縁があります。廣瀬さんは、祝賀会でこの15年を振り返り、国際社会の中で政治的・経済的な情勢が大きく変化する中にあっても、草の根レベルで日本・中国・韓国の市民が互いを尊重してつながっていることの意味や気候変動をテーマに情報を共有しつつネットワークを育んできたことへの感謝の気持ちを語りました。

ENVIROASIA 15歳の誕生祝いにて 日・中・韓の代表者によるケーキ入刀
ENVIROASIA 15歳の誕生祝いにて 日・中・韓の代表者によるケーキ入刀

 

日中韓のINDCと課題を共有

さて、今回のセミナーは、COP21の直前でもあるので、第一部に基調講演「COP21に向けた課題」、第二部で各国のINDCについて、第三部で今後のアクションという構成ですすめられました。中国は中国気候変動行動ネットワーク(CCAN)の毕欣欣さん、韓国は韓国環境運動連合(KFEM)の李志彦さん、日本から私・気候ネットワークの桃井がそれぞれINDCについて発表しました。韓国と日本の発表では、それぞれの国のINDCが「2℃目標」を達成する上でも長期的削減に向けたプロセスとしても、公平性や野心度からみても不十分であると指摘していました。一方、中国のINDCについては、質疑の中で2030年にピークアウトというよりは、すでにピークアウトしているのが現実ではないかとの指摘が出て、石炭需要などについても実態を詳しく調査分析する必要性があがりました。

また、日本から参加した東北大学教授の明日香壽川さんは各国発表の総括をし、石炭火力発電所の開発に対しての海外融資で公的資金を最も投入しているのが日本で、次いで韓国、中国とこの三カ国が世界の中で石炭支援に最も資金を拠出していることをあげ、石炭融資の問題に東アジアの市民側も連携して言及してはどうかと問題提案されました。

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進行する東アジア環境情報発伝所の山崎さんと日中韓発表の総括と石炭問題に対しての提言をする東北大学の明日香壽川さん

市民の連携アクションに向けて

前半での議論をうけて、今各国ではどんなパリ会議に向けてどのようなアクションを実施しているのかを共有し、最後は山崎求博さんの進行により、市民側で連携していくアクションとして次のことがまとまりました。

1.11月28~29日のグローバルアクションデーで共同アクションを行うこと(日本ではClimate Action Now!キャンペーンとの連携)

2.石炭の問題に言及した東アジア市民による共同声明をCOP21前に発表すること

3.東アジア気候フォーラムのホームページを立ち上げ、運用を行うこと

4.それぞれ地域で実践する省エネ・再エネ対策などの情報をWEBを通じて共有していくこと

ということで、さっそく、日本に戻ってからもこれらの実行に向けた準備対応をしています。

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エクスカーションはカニ釣り!?

22日には、天津の郊外に移動して有機農業などに取り組んでいる村におじゃましました。ここでは、田んぼにカニを放し飼いにして害虫が増えるのを防ぐ「カニ農法」をしているのです。日本だと「アイガモ農法」は聞いたことありますが、カニはきいたことがありません。どうも最近の中国はなんでも農薬漬けになっているイメージがありますが、無農薬に取り組む村があることにも驚きましたし、カニを使うというユニークな方法もまた面白いなあと思いました。

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そして、観光客用にカニ釣り場も用意されています。釣り糸に鶏肉をクリップで挟んだものを垂らし、釣り場に落とすだけです。釣り場はカニで埋まっているのではないかと思うほど、入れ食い状態です。たった10分でこのとおり大漁でした。捕まえたカニは、残念ながら今回お持ち帰りできなかったのですべてリリースでしたけど・・・。

こうして、いろんな意味で充実した天津出張となりました。

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来年は日本開催!

さて来年、第5回東アジア気候フォーラムは、ホスト国が日本になります。今回の会議で、秋ごろに開催するということで合意がとられましたが、内容や具体的な開催日は今後の状況を見て決めていくことになります。また、開催場所についても、いくつかの候補地があがったものの、まだ確定できていません。アクセスが便利で、宿泊費もほどほどで、環境先進事例を中国や韓国の方に見てもらうことができ、おもてなしの精神でお迎えできる場所はいったいどこだろうかとなかなか決定できません。京都案が濃厚なのですが、なにせ秋の京都は宿代が高すぎる点で躊躇してしまいます。良いアイディアがありましたらぜひお寄せください!

※おまけ・・・・
カニ釣りや植林活動をしている間に日中韓のスタッフミーティングをしたのですが、村の民泊レストランの会議室はオンドルで、その横には石炭専用のストーブがおいてありました。”排ガスがでなくてクリーン”だと表示がありますが・・・。まだ市民の生活でも使われているところがあるのですよね。ちなみにそのストーブの横にある竈は薪専用でした。

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地域に根ざした団体との協働で、「おおだエコライフチャレンジ」を実施

こんにちは。京都事務所の近藤です。

京都発・温暖化防止教育プログラムを全国へ、世界へ

気候ネットワークは京都市との協働事業で暖化防止教育プログラム「こどもエコライフチャレンジ」事業を実施しています。京都市立の小学校を訪問し、総合的な学習の授業時間を使って学習会をしています。1回目の学習会では温暖化の仕組みや影響、生活との関わりとエコライフについて学びます。次に、夏休みや冬休みに家庭でエコライフを実践してもらいます。さらに休み明けに学校にて2回目の振り返りの学習をするという構成になっています。

京都市では10年前の2005年に1校からスタートしたのですが、徐々に実施校を増やし、2010年から京都市立全小学校まで広がりました。さらに近年では、他地域へと広がっています。各地で学習会を実施したいと考える団体に対して、京都で蓄積してきたノウハウを提供しながら地域に合ったプログラムの開発を支援しています。すでに、岡山県、滋賀県、兵庫県、マレーシア・イスカンダル開発地域で実施してきました。

 エコライフチャレンジ、次は島根県の大田市で

今回、実施することになった島根県大田市では、NPO法人緑と水の連絡会議がコーディネートしてくれています。水と緑の連絡会議は里山や草地のような二次的な自然環境の保全のために活動する団体です。木質資源の活用に関しても先駆的な取り組みをされていて、バイオマスチップボイラーの実証事業を手掛けています。また、島根県と市民団体が連携して行う森林教育事業「みーもスクール」を大田市で担っていて、小学校での授業の実績もあります。

今回は、「みーもスクール」でつながりがある、大田市立長久小学校の4年生18名と、仁摩小学校の4年生26名の子どもたちに1回目のエコライフチャレンジ学習会を実施しました。「みーもスクール」ではいつも森林や河川など、屋外での活動を行っているようですが、今回は特別プログラムとして取り入れていただきました。

大田市での実施とのことで、いつも京都で行っているプログラムをベースにアレンジを加えました。例えば、再生可能エネルギーについて、NPO法人水と緑の連絡会議が実施しているバイオマスエネルギーを紹介しました。二酸化炭素を固定して育った木を使ったエネルギーをつくる、という地元での取り組みを理解してもらえたかと思います。

学習会の中で、私は地球温暖化クイズの出題を担当しました。クイズでは答えを選んだ理由を子どもたちにインタビューをするのですが、多くの子どもたちが自分の言葉で意見を言ってくれました。

 子どもたちと一緒に、温暖化のない未来をつくる。

前日入りしたので問題はなかったのですが、岡山駅で特急に乗り遅れたり、学習会当日は大雨だったりと、ハプニングもありましたが、大田市の子どもたちは素直で、自由に発言してくれる児童が多く、充実した学習会になったと思います。次回は2回目の学習会でお会いすることになります。その時は、学習したことを実践して、取り組んだエコライフについて話してくれることを楽しみにしています。

今回のように、出向いてプログラムをお見せする形もあれば、各地での実施を見据えて、学習会の見学を受け入れたり、実施者向けの研修会を企画したりもしています。これからも、温暖化防止教育を実施したいと考える主体に対して支援を充実させていきたいと考えています。

学習会の中で地球の気温変化の予測を子どもたちに示すと、子どもたちから「未来のことだから、変えられるかもしれない!」というような発言が聞けることもあり、頼もしく感じます。これからも、より多くの子どもたちに自分たちの生活と温暖化とのつながりを知ってもらい、温暖化を防ぐにはどうしたらよいのかを考えるきっかけをつくっていきたいと思います。

こどもエコライフチャレンジの詳細

http://www.kikonet.org/local/education/children-eco-life-challenge

エネヤン夏の陣~温暖化とエネルギーについて本気を出して考えてみた~を開催しました

こんにちは。京都事務所の近藤です。

若い世代が中心になって、パブリックコメントを書こう!

6月24日、パブリックコメントを出そうというイベントが、ボランティアやインターン生が中心となり開催されました。将来世代の方がより影響を受けることになる温暖化・エネルギー問題は特に若い世代にとって重要な問題です。しかし、将来の方向性を決定するにあたり、若い世代の声は届きにくいというのが現状です。そこで、気候ネットワークのボランティア・インターンが中心になって今回のイベントを企画しました。今回で4回目を迎える「エネヤン」の企画ですが、今回は温暖化やエネルギーに関心のある学生や若手の社会人の方々を中心に12名の参加がありました。

パブリックコメントって?

政府や行政が政策や規則などを作るときには、広く意見を集めるためにパブリックコメントが行政手続法によって定められています。しかし、注目を集める案件にはたくさんの意見が集まるようにはなってきましたが、一般的には認知度は低いのが現状かと思います。特に学生や若い世代の中には、そうした機会が設けられており、自分たちの意見を言える場があることを知らずに過ぎていくことも多いか思います。そこで今回、政府が募集していた「長期エネルギー需給見通し(案)」と「日本の約束草案(政府原案)」について考え、パブリックコメントを書くことにしました。

気候ネットワーク精鋭!?インターンによる解説で理解を深める

今回の企画を考えてくれたのは、気候変動やエネルギーについて、大学やインターンシップを通して学んでいるメンバーです。津田くんがエネルギーミックスを、井上くんが約束草案を担当してくれました。

まず、インターンの2人によるエネルギーミックスと温暖化対策についての解説を聞いた後、2つのテーマに別れてディスカッションを行い、パブリックコメントを書きます。続いて、テーマをスイッチし、両方のテーマについてディスカッション、パブリックコメントを書くという流れで実施しました。

参加者の中には、エネルギーや温暖化についての関心はあるが、「それほど自信を持って意見を書いたことはない。」、「今まであまり考える機会がなかった。」という人もいらっしゃいましたが、そうした不安や疑問点を和らげることができるよう、丁寧に説明していくことを心がけました。

ディスカッションを通して、自分の考えを持とう

ディスカッションは最初に解説を行った津田くんと井上くんが、それぞれ工夫したワークを作り、グループの中心になってディスカッションを進めてくれました。

エネルギーミックスのワークでは、津田くんから、エネルギーの作り方を考える上で重視するポイントとして安全性、自給率、安定性、温暖化対策、コストの5つの視点が提供されました。参加者はまず個人でどのポイントを重視するのかについて順位付けを行い、その後、グループで共有しました。みんなの意見を聞いてみると、安全性を重視する人が多かったのですが、それ以下は人により異なり、議論が盛り上がりました。

約束草案のワークでは、井上くんから、「2030年度に13年度比26%削減(1990年比18%削減)」という日本政府の原案の発表を受けて、国際社会がどのように反応したのかということを、海外の政治家やメディア、NGOなどの意見を広く収集し、紹介してくれました。参加者は、日本のエネルギー・温暖化対策が世界からどのようにみられているのかを理解し、印象に残ったことを共有しました。なかでも、「基準年を1990年ではなく、排出量の多かった2013年としている点」や「2050年の長期目標80%削減との整合性」などのポイントは、日本の温暖化対策がどうあるべきかを考える上で重要な視点になりました。

それぞれのワークでは、初めてパブコメを書く人のことを考えて、分かりやすく、書きやすい工夫をしました。しかし、2時間の企画ではもっと議論したいことがあったのではないでしょうか。これをきっかけに、参加者はエネルギーや温暖化への関心を高めてくれたのではないかと思います。

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インターン、ボランティアとして一緒に活動しませんか?

 気候ネットワークでは、学生から社会人、シニア世代の方まで、たくさんのインターンやボランティアが活動を支えてくれています。みなさん、ご自身の興味関心や得意分野を活かしてご活躍いただいています。随時募集していますので、お気軽にお問い合わせください。

・インターン生募集について
http://www.kikonet.org/support/individual/internship

・ボランティア募集について
http://www.kikonet.org/support/individual/volunteer

 

石炭エネルギーが地産地消!?神戸製鋼に公害患者の声を届ける

京都事務所の山本です。

石炭火力発電の問題をわかりやすく解説するパンフレット、「このままでは日本は石炭だらけに?」はご覧いただけましたでしょうか?まだの方は、ぜひご覧ください。

4/20、神戸製鋼所の石炭火発建設計画に対して、公害患者の方々との話し合いの場が設けられ、同席させていただきました。この日は、「患者の声を聴く場」として行われ、2人の患者が被害を訴えました。石炭の問題に触れつつ、簡単な報告をしたいと思います。

 次々と明らかになる石炭火力発電所の建設計画

 さて、これまでの調査で明らかになっている新規の石炭火力発電所の計画は、46基、2331万kWに上ります。これらが全て建設され、稼働した場合、CO2排出は約1億4,000万トン-CO2に上ると推計されます。これは京都議定書の基準年である1990年の日本の排出量の1割以上です。

日本政府の長期目標である2050年80%削減のためには、温室効果ガス排出量を2億5,200万トン(90年比)程度にまで抑えることが求められます。新規建設による排出はこの半分以上を占め、2050年まで運転を続ける可能性があります。つまり、石炭火力発電を増やすことは、長期間のCO2大量排出を固定化してしまい、将来の温暖化対策をより難しいものにしてしまいます。

石炭の問題は、温暖化だけじゃない!

石炭は、他の化石燃料と比べて多くのCO2を排出してしまいますが、問題はそれだけではありません。PM2.5(微小粒子状物質)や硫黄酸化物(SOX)、窒素酸化物(NOX)、水銀などの人体に有害な大気汚染物質も排出されます。

世界を汚くする石炭魔人
世界を汚くする石炭魔人

現在の火力発電所は、公害が激しかった1970年前後と比べて、環境規制の強化や、脱硫・集塵技術の進展や設置により見た目には大きく改善されました。

しかし、新たに発電所が建設されることで、汚染物質を大気中に放出することには変わりありません。特に大阪市西淀川区をはじめとする地域は、自動車排ガスと周辺地域の工場や発電所の煤煙と合わさって、複合大気汚染による公害が発生し、多くの方が呼吸器系疾患で苦しめられました。

1989年には西淀川区だけで公害患者が2,733人にものぼり、患者たちは「手渡したいのは青い空」を合言葉に公害のない未来をつくるため、厳しい裁判を戦い、和解を勝ち取りました。そうして、戻りつつあった青い空を「再び汚されたくない!」そんな想いを伝えるために、石炭火力発電の新設計画を打ち出している神戸製鋼との話し合いに臨みました。

話し合いの様子
神戸製鋼と公害患者の話し合いの様子

患者たちの想い

神鋼の発電所から最も近い地域に住む川野さんは、公害患者の認定から40年。喘息発作のせいで大きく人生に制約を受けたことを話されました。激しい発作が出ると夜も眠れないほどで、家族にも迷惑をかけてしまったといいます。治療薬や医学の発展もありようやく外出できる範囲は広がったが、それでも発作が出てしまわないか不安を抱えながら生活を送られています。

「神戸のまちを良くしたい。大気を汚染して欲しくない。誰もが安心できるまちにしたい。」

川野さんは、計画を見直すよう強く求めました。

西淀川公害患者の家族を代表して、山下さんが話をされました。山下さんの夫は、喘息を抱えながらも懸命に働かれていたそうです。しかし、45才の時に大発作に見舞われ意識不明の状態になり病院に運ばれました。意識のないはずの夫の顔からは大粒の涙が溢れ、それを見るだけで胸が張り裂けそうになったといいます。

「二度と公害は引き起こしてほしくない。このままでは青い空を手渡すことができなくなってしまう」

山下さんも、神鋼側へ訴えかけます。

患者の声を受けて

神戸製鋼の担当者は、「公害の被告企業の一つであったことは認識・理解している。お二人の話を聞いて、返す言葉もない。」と言われました。

石炭火力発電が「地産地消」!?

今回、高炉を廃炉にして新たに石炭火力発電所を建設する件については、公害が発生した当時とは環境基準値が厳しくなったこと、公害防止技術が発展したこと、儲かればなんでもして良いという時代ではなくなったことについて、神鋼の担当者から紹介がありました。また、自動車の排ガス削減の一環として、鉄の軽量化技術が貢献していることについて話がありました。

なぜ石炭なのかという問いについては、国のエネルギー基本計画においても重要なベースロード電源として位置付けられている点、エネルギー安全保障を考慮したベストミックスにおける石炭の役割、電力の安定供給という社会要請に応える点が挙げられました。

立地場所については、電力の消費地に近く、コンマ数%で発電効率の向上を目指す中で、送電ロスの1~2%の低減はメリットとして大きい。電力の大消費地にも近いことから、「電力の地産地消」にもつながるとのことでした。

石炭火力発電は地産地消とはいえない

果たして石炭から生み出されたエネルギーは「地産地消」と呼べるものでしょうか?

石炭は化石燃料であり、環境への負荷が大きいだけでなく、海外からの輸入にも頼るものです。私たちが理想とする環境への負荷が少ない、地域の資源(自然エネルギー)を活用した「地産地消」とは程遠いものです。

神鋼側は、1基2000億円の建設費の30%が環境対策で、定められた規制値もしっかりとクリアすると言いますが、既設の発電所の2倍相当の設備容量の発電所を建設するということは、環境負荷もほぼ倍になるということです。また、電力の大消費地は、人口密集地域でもあり、より多くの人が影響を受けるということでもあります。

気候ネットワークでは、次の通り、神戸製鋼の計画について、環境アセスメント制度のもと、意見書を提出しています。

【意見書】神戸製鋼が計画する神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画について(計画段階環境配慮書への意見)

今後へ向けて

今後、環境アセスメントが進むことで明らかになる部分もあります。引き続き、石炭火力発電の計画の進捗状況を見ながら、今後も適宜話し合いをしていくことを神鋼側と再確認して話し合いを終えました。

気候ネットワークでは、今後も石炭火力発電に関する問題点や、調査・研究を行い、脱石炭火力発電の活動を続けます。石炭問題に関する最新情報は、sekitan.jpにて発信中です。ぜひご覧ください!

イベント「ほんまに大丈夫なん?エネルギー・地球温暖化問題~増え続ける石炭火力発電所建設計画とその問題点~」

なお、7月29日(水)には、大阪市のエル・おおさかにて、石炭問題を考えるためのイベント「ほんまに大丈夫なん?エネルギー・地球温暖化問題~増え続ける石炭火力発電所建設計画とその問題点~」も開催します。詳細は近日中にご案内する予定です。ぜひこちらのイベントにもご参加ください。

※トップの画像はイメージです。

2020年以降の新しい温暖化対策目標~2015年パリ合意の成功のために~

京都事務所の伊与田です。春の陽気が感じられるようになってきましたが、花粉症の方はつらいですね…(実は、温暖化が進むと余計に花粉量が増えるという研究もあります)。

地球温暖化で2040年までに花粉量2倍以上に? 米研究(CNNニュース 2013.03.14)

さて、そんな中、気候ネットワークが事務局を務めている、日本の気候変動NGOのネットワーク”CAN-Japan“はこのところ「あること」に取り組んでいました。

2020年以降の新しい温暖化対策の国別目標案(約束草案)とは?

まずは、新しい温暖化対策の国別目標案(約束草案)について、解説するページを作ることです。

【解説】2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)~パリ合意のために~

これまでの国連気候変動交渉の合意に基づき、先進国と途上国の区別なく全ての国は2020年以降の国別目標案を、(準備できる国は)2015年3月31日までに提出することが求められています。一応、合意文書には「準備できる国は」とありますが、これは温暖化対策の責任も能力も比較的限られる途上国に配慮するものであって、日本が提出を遅らせて良いということにはなりません。

パリ合意を成功させるためには、各国が早期に野心的な目標案を提出し、新しい法的枠組み成立への積極的な姿勢を打ち出すことが必要です。他の先進国はもちろん、新興国と呼ばれる国の対策強化を促すためにも、先進国であり、世界第5位の大排出国でもある日本は、交渉に貢献するためにも期限までに野心的な目標案を提出する必要があります。

CAN-Japanは、IPCC報告や関連する研究、NGOのエネルギーシナリオ提言の議論に基いて、「温室効果ガス排出量を、2030年までに1990年比で40~50%削減する」との目標を提言しています(詳細はこちら)。

2030年に向けた日本の気候目標への提言(2014年・CAN-Japan)

新しい温暖化対策の目標案(約束草案)を整理し、随時更新!

もうひとつは、2020年以降の新しい温暖化対策の目標案について最新状況をアップデートするウェブページをつくることです。

CAN-Japan:2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)の提出状況・一覧

このページでは、すでに目標案を公式に提出した国がどこかわかるように地図で表記しています。今のところ、スイスとEU28ヶ国が公式に提出しているので、合計29ヶ国が期限までに間に合わせています。

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また、各国の目標案のポイント(いつからいつまでに温室効果ガスを何%削減等)や、目標案の原文、関連する様々な分析へのリンクを一覧表にしてまとめています。

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気候変動の国際交渉の動きを見て、日本の役割・課題・可能性について考える参考として、ぜひご覧いただければと思います。

国際シンポジウム「日本の新しい温暖化対策目標を考える~2015年パリ合意の成功のために~」

国別目標案(約束草案)について、世界の最新動向や日本の役割を考える国際シンポジウムを3/20(金)に東京で開催します。

国際シンポジウム  日本の新しい温暖化対策目標を考える~2015年パリ合意の成功のために~

今最もタイムリー(?)なイベントの1つだと思います。世界的に著名な、米国の環境シンクタンク・世界資源研究所(WRI)のゲストも海外よりお招きしています。イベントの冒頭では、在日フランス大使館よりポール・フリアさんからご挨拶をいただけることも新しく決定しました。

気候変動に関心をお持ちの皆様、ぜひご来場ください!