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映画「不都合な真実2 放置された地球」~ノーベル平和賞のアル・ゴア氏が語る、気候危機とのたたかい~

京都事務所の伊与田です。先週、公開中の映画「不都合な真実2 放置された地球」を観てきました。いわずとしれた、2006年公開の映画「不都合な真実」の続編で、地球温暖化問題に警鐘を鳴らす米国の元副大統領アル・ゴア氏(ノーベル平和賞受賞)が気候危機に立ち向かう姿を追ったドキュメンタリー映画です。

映画「不都合な真実2 放置された地球」

公式ウェブサイト:http://futsugou2.jp/
劇場公開日(日本):2017年11月17日
総合評価:★★★★☆

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南太平洋の島国 フィジーにて

COP23に向けてフィジーに広がる気候変動への意識

今年の夏の間、COP23ボン会議の議長国を務めるフィジーに滞在する機会を得た。南太平洋に浮かぶ332の島からなるフィジーは、美しい海の高級リゾートのイメージがあるだろうが、世界で最初に京都議定書とパリ協定を締結した国でもある。滞在中、現地の新聞には毎日のように気候変動関係のニュースが登場していた。また、首都スヴァや国際観光都市ナンディなどで開催される地域のお祭りのテーマに「気候変動」が掲げられるなど、議長国を務めるCOP23をひかえて、気候変動の意識を盛り上げようという意欲が随所で感じられた。

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消えてゆく海の幸

 江戸時代から続く漁協権をもつという、千葉県木更津市の金田漁業協力組合。ノリやアサリをはじめ、東京湾の豊かな海の幸を長年に渡って人々の食卓に提供し続けています。しかし実は、開発による水質の変化や温暖化の影響によって、厳しい状況に置かれているのです。ニュースレター「気候ネットワーク通信」7月号の「気候の危機シリーズ」にも掲載した今回のインタビューについて、動画も交えて報告します。

 

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2016年の気候変動10大ニュース~パリ協定・トランプ・ディカプリオ~

京都事務所の伊与田です。

2017年1月18日、2016年の地球平均気温が観測史上最高を更新したと発表されました。そんな2016年の気候変動10大ニュースを、グローバルからローカルまで、独断と偏見で振り返ってみたいと思います(各ニュースに順位はありません)。

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海での温暖化現象:海水温上昇で沖縄サンゴが白化!海の生態系の異変の背景に温暖化?!

こんにちは。東京事務所の鈴木です。

先日、世界遺産グレートバリアリーフで進むサンゴ礁の白化現象について取り上げましたが、沖縄でもサンゴの白化が深刻な問題になっているので、ご紹介します。

白化サンゴ(環境省)
写真:環境省 那覇自然環境事務所 報道発表資料より

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「観測史上●●記録」を量産する時代~人類の生存を脅かす気候変動~

京都事務所の伊与田です。

猛暑や熱波、豪雨や水不足など、異常気象が日本でも世界でも大変な事になっています。そろそろ、これはマジでヤバいと思います。たくさんの人が言っていることですが、異常な気候はもう新たな日常になったといっていいのかもしれません。なんといっても、ここ最近、「観測史上●●記録」を量産し続けているのです。

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海での温暖化現象:グレートバリアリーフの危機的状況 オーストラリア政府の対策はホントに大丈夫?

東京事務所の鈴木です。夏なので、海の話題ということでグレートバリアリーフに起こっていることを取り上げてみました。

グレートバリアリーフは、オーストラリアに位置する世界最大のサンゴ礁地帯です。1981年にはユネスコ(UNESCO:国連教育科学文化機関)の世界自然遺産に登録されており、人工衛星からも確認できる「世界最大の生命体」です。

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気候変動に最も脆弱な途上国~その現実と対応~

こんにちは。京都事務所インターンのマーヴィンです。

気候変動の影響と途上国

社会的にも、技術的にも、資金的にも、気候変動に適応するための資源に乏しい途上国は、気候変動に対して最も脆弱な国々だとされています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告書によると、気候変動の影響は特に途上国において、貧困を悪化させ、人間開発(human development)*1を妨げると予測されています。

*1訳注:「人間開発が扱うのは国民所得の増減に留まりません。人間開発とは、人々が各自の可能性を十全に開花させ、それぞれの必要と関心に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創出することです」(出典:UNDP「人間開発とは」

IPCCは国連機関によって設置された政府間機関であり、気候変動の総合的な評価を科学的な知見のもとに行っています。

IPCCの予測では、気候変動は、経済成長の鈍化、貧困削減の困難化、食料安全保障に脅威をもたらすばかりか、すでにある貧困を長引かせるとともに、新たな貧困を生み出しさえします。気温上昇は農作物の生産量減少や、特に農業経済に対する飢餓のリスクの増大、水不足といった深刻な影響を引き起こすでしょう。それはまた、食や水が安全でないために健康リスクの増加や、マラリアといった気候の変化の影響を受けやすい病気が広まるリスクをも増大させます。

このように、このように、気候変動は、農家や、田舎あるい海岸沿いの低地に住んでいるコミュニティ、農業に依存しているコミュニティ、公衆衛生や水へのアクセスがほとんどできないコミュニティのような最貧困層に集中的に悪影響を及ぼします。

レジリエンス(回復力)の構築
~気候脆弱性フォーラム~

気候変動の脅威が増し、行動が必要になったことに応じて、気候変動に対して非常に脆弱な国々は、「気候脆弱性フォーラム(CVF)」を結成しました。CVFは、地球規模の気候変動に対処するために共に行動する、南南協力のためのプラットフォームとして提供される国際パートナーシップです。CVFは専門知識や経験を共有することを目的に、アジアやアフリカ、ラテンアメリカの途上国から構成されています。

2009年モルディブでの気候脆弱性フォーラムの第一宣言では、参加する21カ国が「我々の国々は気候変動の最前線におり、温暖化の影響を他地域より顕著に受ける」という声明を出しました。

CVFには、アフガニスタンやバングラディッシュ、バルバドス、ブータン、コスタリカ、エチオピア、ガーナ、キリバス、マダガスカル、モルディブ、ネパール、フィリピン、ルワンダ、セントルシア、タンザニア、東ティモール、ツバル、バヌアツ、ベトナムといった国が参加しています。

もし気候変動が3~4℃の地球温暖化への経路をたどるのであれば、これらの地域は人為起源の気候変動による最悪の影響に苦しむことになるでしょう。

気温の上昇と海水温上昇によって、年間の降水量がより極端になります。

降水量にむらが出ることで、東アフリカでは亜熱帯の乾燥地や半乾燥地が干上がると予測され、また極端に降水量が多くなることで南アジア(たとえばネパールやバングラディッシュ、インド)や東南アジア(たとえばミャンマーやタイ、フィリピン)でより強力なサイクロンが発生し、東アジアではモンスーンがより強くなる可能性があります。

実際、このような現象はもはやニュースではなく、我々や他の多くの途上国にとって厳しい現実なのです。

前代未聞の災害~台風ハイエン~

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Devastation brought about by Typhoon Haiyan in Tacloban City, Philippines. Photo by Erik de Castro/Reuters

2013年11月、観測史上最も強力な台風ハイエンが上陸し、フィリピンで猛威をふるいました。台風による集中豪雨や暴風や大波は壊滅的な被害をもたらしました。それは街を壊滅させ、400万人の子どもを含む1100万人以上に被害を及ぼし、6300人の命を奪い去りました。

台風ハイエンの生存者から成る団体であるピープル・サージは、自分たちが辛くも生き延びた話を語り伝えようとしています。台風の生存者の多くは全てを失い、家族はたがいに離れ離れになり、もはや家と呼べるものが何もありません。農民や漁師、労働者や都市の貧困者、低賃金労働者は、気候災害によってさらなる貧困へと追いやられていくのです。

ピープル・サージによると、多くの人々にはいまだに土地がなく、仕事がなく、公共サービスを受けることができず、布で作った住処や掘っ立て小屋に住んでいるといいます。台風の襲来から1年経ちましたが、復興・再生は遅々として進んでいません。救援活動が包括的に行われていないため、雇用や生活の手段がないことは、今でも大きな問題です。

フィリピン政府はすでに多大な努力を費やしていますが、復興するまでに5年は必要だと見込まれています。

アフリカにおける不安定な食糧供給

アフリカでは、気候変動が農業部門に悪影響を及ぼすこと(つまり異常気象により直接的な被害を被ること)が懸念されています

国際農業研究協議グループ(CGIAR)によると、少し気候が変わるだけで、農家は深刻な影響を受けてきました。予想外の異常な豪雨が発生すれば、十分な計画が立てられなくなり、農作物生産量の減少につながります。

農業に依存した経済において、気候災害による農業への悪影響に対処することは困難を極めます。たとえば、ケニアでは農業従事者が国の労働人口の75%を占めていますが、天候不順への適応力は低いのが現状です。限られた資金源、降雨に大きく依存する農耕方式、蔓延する貧困がその背景にあります。

小さな気候の変動もこれらの国々では人々と社会の発展に甚大な影響を及ぼすのです。

食料供給が不安定になるせいで、若者は仕事を求めて田舎からナイロビのような人口過多な都市部に出てきます。しかし、失業率や生活費の高い都市で仕事に就けず、犯罪に手を染める若者もいるのです。

南アジアへの影響

CGIARは、高い人口増加率と貧困のため、南アジアは気候変動に脆弱な状況に陥るだろうと指摘しています。

南アジアの経済は農業に強く依存しています。気候変動が進めば、干ばつの増加や、かつてないほどの洪水、熱波、そして農業生産量の減少に直面することになりかねません。

一方、低地は洪水で浸水する可能性がより高くなります。カルカッタやムンバイ、ダッカといったインドの都市部には4600万人が生活していますが、大規模な浸水の危険性があります。

バングラデシュは低地に位置しており、洪水やインド洋のサイクロンに対して非常に脆弱です。1991年には6メートルの高さの津波により約14万人の人が亡くなりました。海面が1メートル上昇するとバングラデシュの国土の10%は水没し、人々に膨大な影響を及ぼします。

気候変動対策を広く普及して社会的な優先順位を引き上げるため、様々な取り組みが地域コミュニティや国レベルで進められていますが、まだ多くの課題が残されています。

気候変動への大規模な適応

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、気候変動に適応するための費用が、2030年まで毎年490~1710億ドルにのぼると推計しています。

現在の資金支援は十分ではありません。裕福な国も貧しい国も気候変動に適応する必要があり、それには多くの費用がかかるでしょう。しかしながら、途上国は適応のための人材や資金源がほとんどありません。

技術移転や能力開発、リスク共有といった、革新的な資金メカニズムが必要とされています。途上国向けの資金援助を十分かつ持続的に行えるようにするためには、強力な国際的枠組みが必要とされています。

しかし、合意や国際協力が実現しなければ、気候変動と闘うための歩みが止まってしまうでしょう。


photo3本記事の執筆者のマーヴィン・トレス・ラゴネラは、気候ネットワークのインターンです。フィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学で修士を取得し、ASEAN大学ネットワークと京都大学間の交流プログラムのもと京都大学でエネルギー管理と持続可能性の転換に関する研究に従事しました。

(訳:インターン津田・井上)

*本記事の原文(英語)は、続きをご覧ください。

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日常化する災害と気候変動 求められる防災のかたち

こんにちは、東京事務所の江刺家です。

3月13~18日に宮城県仙台市で開催された国連防災会議。期間中、市の中心部は防災会議一色といっても過言ではなく、あちこちで展示やセミナーが催され、大変な盛り上がりを見せました。

さて、「防災」と「気候変動」…あまり耳慣れない組みあわせですが、実は結びつきの深いものです。「防災」というと地震や津波などの大規模災害をイメージしがちですが、気候変動によって洪水や豪雨の頻度が高まってきた今、こうした日常的に起こりうる災害に対して個人や社会がどのように備えていくのかが問われています。

ということで、市民向け企画「市民防災世界会議」の1つとして、気候ネットワークとピースボート災害ボランティアセンターが共同でシンポジウム「防災・減災をシフトする。~気候変動と社会の変化~」を開催。国内外からゲストを迎え、参加者の皆さんと一緒にこれからの防災を考えました。

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気候変動への適応策はますます重要に

枝廣淳子さんのお話のキーワードは「レジリエンス」。気候変動の影響があらわになりつつあるなか、途上国ばかりでなく先進国でも適応策の重要性は高まっています。イギリスなど各国が適応策を進めるかたわら、日本は今夏の適応計画策定に向けてまだ検討をしている段階で、遅れが鮮明になっています。また、各地域や組織、企業が適応策の重要性を認識し、計画をつくることも重要です。政府にはそれを後押しする政策がもとめられます。

地域が抱えるリスクは、気候変動の影響のほかにもエネルギーコストの上昇や財政難、高齢化などさまざま。こうしたリスクに備え、対処するしなやかな力=レジリエンスをつけていくことが必要です。

社会的課題と密接にかかわる「災害」

つづいて長年(50年以上!)防災分野に携わり、バングラデシュを代表する第一人者であるサイドゥル・ラーマンさん。1991年、バングラデシュを襲った風速240km/時の台風では13万8千人以上が犠牲となりました。これに対して1992年にアメリカを襲ったもっと強い台風(風速270km/時)では犠牲者は15人という事例を紹介。

被害の大きさは、災害の強さよりも社会的、経済的、政治的要因によって決まる部分が大きく、国はおろか同じ地域に住んでいても豊かさによって被害の程度が違います。

貧困層は災害の被害を受けやすく、災害に対して脆弱だと貧困からの脱け出すことも難しいという悪循環がくり返されます。だから「防災」「減災」を考えるときには、「貧困」という社会的課題の解決が欠かせません。サイドゥルさんは、市民社会は社会的・政治的な面で地域が力をつけることを後押しし、災害に強くなる支援をすることが重要だと強く訴えます。

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地域の課題を地域で解決する

2013年に大島を襲った台風26号は、痛ましく甚大な被害を残しました。鈴木祐介さん(大島社会福祉協議会)からは、家屋の泥だしやガレキの撤去のような災害直後の緊急支援、相談援助活動や被災者と支援者のマッチングのように被災者に寄り添う生活支援など、被害から立ち直るために地域が取組んできた支援を紹介していただきました。社会福祉協議会のミッションは「地域の住民の参加を得て、地域住民自身が、地域ぐるみで、地域の課題・問題を解決すること」。支援には行政、ソーシャルワーカー、臨床心理士、保健師、弁護士、 NPO、ボランティア団体、地域の小・中・高等学校など多様な主体との協働が欠かせません。

「気候変動の影響に、そなえていますか?」

合田茂広さん(ピースボート災害ボランティアセンター)は、気候変動の影響によって災害のかたちが変わる一方、地域は高齢化し、消防団のようなこれまでの防災組織のかたちも変化することを余儀なくされていると問題提起。災害や社会のかたちが変われば、防災・減災のあり方も当然変えていかなければいけません。

その後の質疑応答ではスピーカーから参加者の皆さんへこんな質問も。「温暖化の影響は現れていると思いますか?」「ではその備えをしている人は?」

皆さんの回答はいかがでしたか?会場では、一つ目の質問には大半の方が手を挙げましたが、2つ目にはほんの数人です。この質問にはっとした人は、きっと私だけではないはずです。枝廣さんは「意識と行動のギャップを埋めることが重要。関心がある人でも必ずしも行動に結びついているわけではなく、関心がない人ならなおさら。」と指摘します。

「ギャップがある」と自覚することは、行動を起こしていくために必要なステップだと思います(ちょっとショック療法?)。個人や地域、企業、そして国には、どんな備えが必要なのか。のんびりと考えている時間はありません。一刻も早く具体的な行動にうつしていくことが必要です。

<当日の映像はこちらからご覧下さい>
2015/3/14 防災・減災をシフトする。~気候変動と社会の変化~