「おすすめ」タグアーカイブ

インターンを通して〜気候変動対策の何が問題か

こんにちは。

東京事務所インターンの愛琳です。

2017年3月から気候ネットワークでお世話になっていましたが、2018年7月いっぱいでインターンを終了しました。9月からはドイツのフライブルク大学で修士課程にすすみ、環境ガバナンスについて勉強します。1年半弱の活動を通して、わたしたちをとりまく気候変動問題について個人的に感じたことお話しします。

まずは自分の国のことを知る

 そもそも気候ネットワークでインターンをしようと思ったのは、私自身があまりにも日本の気候変動対策をめぐる動きについて疎すぎると感じてことにあります。

 当時インターンを始めた頃は、大学4年生になる直前で、周りには少しずつ内定をもらう子が出てきている頃でした。私は、海外の大学院に進学し、気候変動問題に関わる仕事をしたいと決めていたのですが、ふと「そういえば私って日本のことをどれくらい知ってるだろうか」と感じました。専攻が国際関係論だったこともあり、私も周りの友人たちも常に世界情勢ばかりに目を向けてきたものの、じっくり自分の足元について考えたことはなかったなと、焦り混じりの気持ちで始めたインターンでした。

 半蔵門に通うようになってすぐの頃に、早速「日本の石炭火力問題についてわかりやすくプレゼンする」というタスクがありました。はじめは「自分もまだ何も知らないのに人に伝えるなんてできない!」と思い焦りましたが、まさに「働きながら学ぶ」スタイルで、自分自身も問題について認識を深めるいい機会になりました。

 これまでの活動を通して、私が個人的に「ここが問題だよなあ」と感じたことが三つありました。それについて少し紹介します。

何が問題か:「流行」としての気候変動問題

 気候ネットワークでインターンをするようになってから、あらゆる場面で「若い人の関心が…」という話を伺いました。自分にもできることはないかと思い、まずは友人たちと話してみようと思いました。すると、ほとんどの友人が口をそろえて「気候変動?まあ小学生くらいの頃は授業なんかでもやったけど、そのあとはほとんど、ねえ」と言いました。

 思い返してみれば、わたしも小学生の総合学習で少し習った記憶で止まっているような気がします。そのあとは「エコカー減税」とか「省エネ家電」とかのフレーズのみで、議論のテーブルに上がっていることはあまりなかったように感じます。ある一人の友人は、「むかしは公害とか京都議定書とかあったから、そういう問題って”流行ってた”けど、いまはあんまりだよね。大事なのはわかるけど。」とまで言いました。

 たしかに、今の日本社会は「経済成長」という言葉がある種のトレンドのようになっているように感じます。ただ、気候変動問題は、流行り廃りの問題ではなく、私たちの未来を脅かす危機です。人々の関心が薄れようが高まろうが、その危機は着実にこちらに迫ってきているということを深刻にとらえなくてはいけないのではないか、と痛感しました。

何が問題か:国家の役割

 気候ネットワークでの活動の中で、とてもCO2排出量の多い石炭火力発電所の建設を推進する電力会社や国の政策のなかには、いわゆる成長戦略の一環、燃料費が”安い”ため経済的である、といった文言がいたるところにちりばめられていました。もちろん、正しく分析すれば石炭が経済的ではないことは明らかです。ただ、石炭の問題に限らず、人間にとって、長期的な価値を考えて目の前の利益をあきらめるのは難しいことです。地中に埋もれている石炭が現時点で安ければ、使ってしまえとなってしまいます。

 しかし、それではいずれ自分たちの首を絞めることになります。それを防ぎ、より理性的な判断を下すために、集団で行動するのではないでしょうか。とくに国家はそのためにあるといっても過言ではありません。

であるにもかかわらず、日本において石炭火力を推進する主体は、国家なのです。エネルギー基本計画のなかで堂々と石炭火力をベースロード電源として位置づけ、本来は歯止めになるべき環境アセスメントは形式上にとどまり、さらには国外にも石炭利用技術を輸出しようとしています。これは国としての機能を果たしていないといえるでしょう。

 石炭の利用による利益は、利用しないことによるメリットの比ではありません。目先の利益だけを考えて行動するようでは、この国にとって価値のある成長は見込めないのではないかと感じました。

 

何が問題か:無気力

 気候ネットワークに入るまで、欧米や数十年前までの日本と比べて、今の日本は市民社会の力がとても衰弱しているものだと思っていました。

 たしかに、データだけで見れば相対的に弱いような感があります。友人たちとの会話の中でもよく「たとえばわたしが石炭に反対、って表明したところでさ、それくらいじゃ何も変わらないんじゃないの?」「たとえばわたしがエアコンを使わないようにしたところで、どれくらいの変化があるかわからないよね」と何度も言われました。気候変動問題・エネルギー問題は、「規模が大きすぎるから個人でできることはない」という無気力感が蔓延していると感じました。 

 少なからず私もその点にはフラストレーションを抱いてた時期がありました。ただ、反対運動によって石炭火力発電所の新設計画が中止になった、あるいは大きく注目を集めているケースを間近でみさせていただいたことにより、そのようなモヤモヤは払しょくされました。

 わたしは主に東京湾周辺の石炭火力発電所の計画に対する反対運動の会(考える会)の活動をサポートしてきました。東京湾周辺では、千葉県市原市の計画が中止になったものの、依然として袖ヶ浦・横須賀・蘇我に大きな計画があります。考える会のメンバーは、少ない人数でも精力的にそして組織的に活動を続けています。それをしのぐような勢いで計画が推し進められていることは大きな問題です。

 しかし、私の友人や、きっと多くの人が思っているような「個人でできることがない」という無気力は正直お門違いなように思います。問題は、「共に行動してくれる人が少ないから」という点にあると感じました。「どうせかわらない」といった言い訳まがいのことをこぼす前に、まずは行動を始めている人たちに賛同する、自分の意思を表明するといった簡単なことでも、大きな力になるのだと思います。

これから

 さきほども書いたように、わたしはこれからドイツのフライブルク大学で修士課程にすすみます。ずっと関心のあったアフリカ諸国の都市における気候変動問題とエネルギー政策について学ぶ予定です。これだけ日本のことを言っておいて海外のことをやるの?と言われそうですが、気候変動問題は地球規模の問題です。わたしが最大限貢献できる場所は、いまは日本国内ではないと思っています。

 それでも、気候ネットワークでの活動を通して学んだことはこれからとても大切になると感じています。世界中から集まる学生たちと議論をするうえで、日本における現状とその問題を自信を持って話せるでしょう。また問題点だけでなく、日本にはこのように活動する人々がいるという紹介もできます。外から自分の国を見つめなおすことで、これまで見えてこなかったことも分かるかもしれません。

 日本の石炭問題の深刻さにため息をつくようなことも何度かありましたが、それに圧倒されずに忍耐強く取り組むスタッフ、考える会のみなさんの姿はこれからわたしが目指すべき姿だと感じました。皆さんに負けずに私もドイツでがんばります。

大阪ガス・東京ガスは原発推進!?“脱石炭”も同時にすすめよう!

京都事務所の山本です。この間、京都は猛暑に襲われており、連続猛暑日は、12日間を記録しました。祇園祭・花傘巡行も暑さで中止となるほどです。温暖化の深刻さを実感します。

電力小売全面自由化。大阪ガス・東京ガスは脱原発か?

2016年4月に電力小売全面自由化がスタートしました。その際、脱原発のためにはまず「脱・東京電力」「脱・関西電力」をしようとの訴えが多くありました。あれから2年が経過しましたが、現状はどうでしょうか。

続きを読む 大阪ガス・東京ガスは原発推進!?“脱石炭”も同時にすすめよう!

自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本

京都事務所の伊与田です。

2018年6月にパシフィコ横浜で開催された太陽光発電の展示市「PV Japan 2018」にて、セミナー「自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本」が行われました。

このセミナーでは、環境エネルギー政策研究所(ISEP)自然エネルギー100%プラットフォームの古屋将太さんが「自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本」と題して講演。その後、質疑応答が行われました。太陽光ビジネスの関係者が多いPV Japanとあって、立ち見も出るほどの盛況でした。この記事では、そのセミナーの様子を紹介します。

当日発表資料(PDF)

パリ協定の合意と自然エネルギーの急拡大

2015年12月、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、気候変動に関するパリ協定という国際条約が合意されました。もともと、COP21での合意は難しいとの声もありましたが、実際には実現したのです。その原動力のひとつが自然エネルギー100%でした。

気候変動枠組条約事務局長(当時)のクリスティアナ・フィゲレスさんに「自然エネルギー100%に賛成しますか?」と尋ねたところ、彼女は「賛成する」と答えています。

Photo: Global 100% RE

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告によると、近年、再生可能エネルギーのコストが急激に低下しています。固定価格買取制度などの支援政策によって急速に自然エネルギーの普及が進み、普及が進むことでコストが下がり、コストが下がることでさらに普及が進むというサイクルがまわりはじめたためです。

例えば、太陽光発電のコストは、2010年から2017年にかけて、73%も価格が低減しています。風力発電や蓄電池などでもこのようなコスト低減の傾向が進んでいます。

出典:IRENA(2018)Renewable Power Generation Cost in 2017

自然エネルギー100%を後押しするマルチステークホルダーキャンペーン

このような動きを作り出すために活動してきた団体がたくさんあります。そのひとつが、2014年にISEPなどが始めたグローバル自然エネルギー100%キャンペーン(Global 100% RE)です。具体的には、自然エネルギー100%に関する会議を開催したり、政策決定者に情報提供したり、自治体による100%の実現可能性の検討などを行いました。ニューヨークで行われた大規模な街頭のマーチやデモでも、自然エネルギー100%のロゴを掲げて、自然エネルギー100%をめざそうという声をあげました。先ほど紹介したフィゲレス条約事務局長など、さまざまな著名人も賛同しています。日本では、菅直人元総理も、自然エネルギー100%に賛同しています。

世界で広がる「自然エネルギー100%目標」

世界では、国として、都市として、自然エネルギー100%を次々と掲げるようになってきています。デンマークのコペンハーゲン市やスウェーデンのマルメ市、ドイツのミュンヒェン市、カナダのバンクーバー市、米国のハワイ州、オーストラリアのシドニー市などです。各国の首都のような大きな都市でも、自然エネルギー100%宣言をするところが増えています。中には、電力だけでなく、熱、輸送のすべてを自然エネルギ100%にする目標を掲げているところもでてきています。

デンマークがめざす脱化石燃料と自然エネルギー100%

デンマークでは、超党派で、2050年までに国として脱化石燃料=自然エネルギー100%への転換をめざすことが合意されています。2020年までに電力の50%を風力発電で賄うという目標を持っていますが、すでに2017年は約44%になっています。方向性を国がはっきり出すことで、さまざまなセクターがリスクをとって、自然エネルギー導入に取り組みやすくなることを表しています。デンマークの首都のコペンハーゲンでは、2025年までに、つまり国よりも早く、電力、熱、輸送を自然エネルギー100%で賄うという目標を持っています。自転車で移動しやすいまちづくりなど、都市計画と100%自然エネルギーの取り組みを上手く統合しています。

カナダやスペインでも自然エネルギー100%

カナダのバンクーバー市も、2050年までに電力・熱・輸送を自然エネルギー100%で賄う目標を持っています。バンクーバー市の100%に向けた取り組みの動機のひとつとして、気候変動への対応があげられます。海に面したバンクーバーの地理条件のもとでは、海面上昇はもちろん、極端な気象変化など、市民が気候変動の影響を直接受けるリスクがあることを認識した上で、都市自らがエネルギー問題に取り組むという姿勢があります。バンクーバー市は、自然エネルギー100%の目標を設定した上で、実現に向けたアクション・プランも策定しています。

スペインのバルセロナ市は、ソーラー・オブリゲーション(太陽エネルギーの導入義務づけ)などの政策で知られていました。最近、都市の新しいエネルギーモデルとして、「エネルギー主権(Energy Sovereign)」というコンセプトから、公共と市民もエネルギー生産の担い手になろうという発想も取り入れています。まさに、消費者(コンシューマー)×生産者(プロデューサー)=プロシューマー(消費しながら生産する人々)です。自治体新電力としてBarcelona Energiaという事業体を設立したり、太陽光発電の自家消費を増やすためのインセンティブを委員会で検討しています。

グローバルなビジネスのイニシアティブ「RE100」

CAN-Japanを中心に展開している「自然エネルギー100%プラットフォーム」とは別に、RE100というイニシアティブも展開されています。グローバルな、影響力のある大企業が、再エネ100%に舵を切っているのです。日本では、リコー、積水ハウス、アスクル、ダイワハウス、ワタミ、イオン、城南信用金庫が参加。それに加えて、日本の外務省、環境省もRE100参加の意思を表明しています。数年前は、日本で再エネ100%と言うと夢物語のように受け止められていましたが、日本でも多くの企業が検討をするまでになってきているのです。

自然エネルギー100%プラットフォームも宣言・賛同募集中

自然エネルギーは本質的に「エネルギーデモクラシー(エネルギー民主主義)」という考えに沿うものなので、できるだけ幅広い分野から多くの人たちが参加して進めていくことが大事です。そういったことから、日本でもマルチステークホルダーで自然エネルギー100%を推進するため、グローバルに展開している「自然エネルギー100%プラットフォーム」の日本版を2017年から展開しはじめました。

中心的な活動として、自治体、企業、NGO、教育機関等の団体による自然エネルギー100%宣言の登録を受け付け、マップ上で公表しています。2018年6月時点で、プラットフォームでは、中小企業、自治体、大学など、9主体の宣言があります。特に、千葉商科大学は、学長の原科幸彦先生が学長プロジェクトとしてリーダーシップを発揮され、国内の大学としてはじめて自然エネルギー100%宣言を打ち出されました。

企業、自治体、大学に限らず、ぜひ幅広く多様な主体が100%宣言に向けて検討をはじめてもらえればと思います。また、具体的な進め方については、自然エネルギー財団が「自然エネルギーの電力を増やす企業・自治体向け電力調達ガイドブック」を発表している他、グリーン購入ネットワークも「エコ電力特集」で紹介していますので、参考にして下さい。

今すぐ100%にはできないかもしれないけど、長い目で見て、自然エネルギー100%をめざそうという主体を増やしていきたいと考えています。

どうやってめざす? 自然エネルギー100%

古屋さんのプレゼンテーションを受けて、フロアから「どんな方法で自然エネルギー100%をめざすのが実効的ですか?」との質問があがりました。

古屋さんは、「まずは、自然エネルギー比率の高い電力会社を選ぶことが効果的です。また、電力分野での自然エネルギー100%をめざす場合は、グリーン電力証書を購入するという方法もあります。もし『自然エネルギー100%宣言に興味があるが、どのように取り組めばいいかわからない』と悩んでいるということであれば、まずは自然エネルギー100%プラットフォームのウェブサイトから、ご相談下さい。」と答えていました。

日本でも自然エネルギー100%のうねりをつくっていくため、ぜひ自然エネルギー100%宣言・賛同を!また、自然エネルギー中心の電力会社への切り替えを進める「パワーシフト・キャンペーン」への参加も広げていきたいですね。

 

執筆:伊与田昌慶(気候ネットワーク)

自然エネルギー100%プラットフォームの記事を転載

東京電力福島第一原発事故の現状と問われる「環境正義」

京都事務所の有木です。

5月19日、第5次エネルギー基本計画(案)が公示されました。

第5次計画では従来の路線から大きく変更することはなく、福島第一原発の事故が無かったかのように原発推進政策を継続させています。

エネルギー基本計画改定の時期を迎えている今、福島原発事故がもたらした被害の現状を共有し、原発が抱える問題点を再提起したいと思います。

避難指示が解除された区域でも帰還が進んでいない

2017年3月31日および4月1日、福島県の飯舘村や富岡町などで避難指示が解除されました。これにより事故直後に11市町村、約8万人に出されていた避難指示は、対象区域の約7割が解除されました。

しかし、解除がされてから1年ほどが経過した今でも、多くの地域で避難が進んでいません。その理由の一つは、政府が設定した「年間積算線量20ミリシーベルト」という避難の基準が高すぎることです。ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に基づく公衆の被ばく限度は「年間1ミリシーベルト」であり、多くの避難者が健康への影響などを鑑みて地元に帰還することをためらっています。政府は住民の理解が得られないまま、一方的に避難解除を進めており、それを理由に「被災者支援」の負担を減らそうとしています。

「放射線量が減少し、避難指定区域も7割が解除された。地元の復興が確実に進んでいる。」という見方は表面的なものです。実際には事故から7年が経った今でも多くの被災者が事故の被害に苦しんでいます。

避難の現状

避難者には避難指示区域に住んでいた人々はもちろん、それ以外の地域から自主的に避難した人々も含まれます。これらの人々は避難の長期化により心身への負担が大きくなっています。周辺に理解者がいない、相談できる相手がいないなどの悲痛な声が多く聞かれます。生きがいがなくなり、狭い仮設住宅でじっとしている高齢者もいます。子供に対するいじめも深刻になっています。パート・アルバイトなどの非正規雇用や無職の割合も多く、経済的に追い詰められているケースも少なくありません。

2017年3月に自主避難者約2万6千人への住宅提供が打ち切られましたが、福島県外ではその78%の人々が避難継続を選択しました。支援の減少と避難の長期化により、避難者への負担は今後も増え続けることが予想されます。

私達に問われる「環境正義(Environmental  Justice)」

東京電力福島第一原発でつくられていた電気は首都圏に送電されていました。つまり、電気を供給する場所と使用する場所が違っていました。東京電力管内に住む人々が福島に原発事故のリスクを押し付けていたと言うことができるでしょう。

この「利益を享受する場所」と「負担・被害が生じる場所」が異なるという構図は気候変動の問題でも同様です。

日本が保有している石炭火力発電所は大量のCO2を排出し、温暖化を進行させていますが、その被害を最も深刻に受けているのは太平洋の島国をはじめとする途上国です(当然、石炭火力が立地している周辺地域も大気汚染などの被害を受けます)。

これらの島国では海面上昇によって沿岸部に住む人々が避難を余儀なくされるなど、既に深刻な被害が発生しています。それにも関わらず日本政府は石炭火力の建設を国内外で積極的に進めており、2012年以降だけでも50基の新設計画が存在しています。

これらの現状から見えてくるのは、現政権の圧倒的な倫理観・正義感の欠如ではないでしょうか。「モリカケ問題」やセクハラに対する発言などにもそれが象徴されているように思えます。沖縄に負担を押し付けている米軍基地の問題も同様です。このような倫理観・正義感の欠如した政権に子ども達の未来が託されているかと思うと、危機感すら覚えます。

「環境正義(Environmental Justice)」という言葉があります。これは環境に対する利益と負担の不公平な配分を是正し、すべての人に良好な環境を享受する権利の保証を求める理念です。温暖化問題については「気候正義(Climate Justice)」という概念になります。

特定の地域に事故のリスクを押し付けている現状の原子力政策は、利益と負担を公平に配分しているとは言えません。「環境正義」に従って正しいエネルギー政策を日本政府がとることを切に願います。

マレーシアの子どもたち、低炭素社会に向けた取り組み

こんにちは。京都事務所のアシュリーです。3月に訪問したマレーシアの小学校の子どもたちの取り組みについて紹介します。

マレーシア・イスカンダル地域、低炭素社会への取り組み

2005年から京都市で始まった温暖化防止教育「こどもエコライフチャレンジ」は、他地域にも取り組みを広げており、2013年からはマレーシアのイスカンダル開発地域でも実施されています。

イスカンダル開発地域は、低炭素社会づくりに熱心に取り組んでいる地域で、マレーシア版こどもエコライフチャレンジもその取り組みのひとつです。このマレーシア版こどもエコライフチャレンジは、京都のこどもエコライフチャレンジをもとに、そこにマレーシアらしいアレンジを加えたものになっています。

マレーシア版こどもエコライフチャレンジとは?

マレーシア版こどもエコライフチャレンジは、子どもたちが低炭素社会について理解を深め、炭素排出量の削減にチャレンジするという目的のもとデザインされました。

子どもたちは、エコライフチャレンジとして次の3つの活動に取り組みます。

  1. グループでワークブックに取り組む
  2. 小学校内で電気代・水道代削減キャンペーンを行う
  3. リサイクル品収集キャンペーンを行う

この3つの活動の成果はマレーシア工科大学(プログラムのコーディネーター)に送られ総合的に評価されます。それをもとに上位15校が選ばれ、最終発表会が行われます。

発表会では、子どもたちがエコライフチャレンジで学んだこと、そして自分たちの地域を低炭素社会にするために自分たちには何ができるかについて発表し、優秀校が選ばれます。

電気代・水道代削減とリサイクル品収集キャンペーンや最終発表会は、具体的な数字を使って競争する要素を加えたマレーシア版のオリジナルな部分です。

2016年からは、これに加え、学習したことを定着・継続させていくための振り返り学習会をパイロット校で行う試みが始まりました。振り返り学習会は、子どもたちがそれまでに取り組んだエコライフを振り返り、今後の目標を決めて発表するというグループワーク。これからより多くの学校でこの取り組みが実施されるよう期待されています。

その他にどんな取り組みをしているの?

今回、エコライフに熱心に取り組む2つの小学校を訪問しました。それぞれのキャンペーンにむけて、分別用ごみ箱の設置や時間を決めて電気を消す取り組みなどが行われていましたが、それ以外にもさまざまな取り組みが行われているのが分かりました。

例えば今回訪問した両方の学校で生ごみなどから肥料を作り野菜や植物を育ており、その活動について熱心に説明してくれました。またそのような活動には、エコライフチャレンジの対象となっている6年生だけでなく、学校全体で取り組んでいるのが印象的でした。

肥料をつくる「ミラクル・タンク」。どのようにして肥料ができるのかを説明してくれた。
ココナツの殻から土を作り植物を栽培している。生姜の収穫の様子を見せてくれた。
学校全体でエコライフに取り組む。子どもたちは取り組んでいる活動のジャンルごとにワッペンをつけている。ワッペンの一覧表。

 

イスカンダル開発地域は、マレーシアの重要な開発対象地域であり、経済成長により急速な温室効果ガス排出量増加が危惧されている地域です。しかし、今回子どもたちの取り組みの様子を見て、低炭素社会づくりが始まっているのを実感しました。子どもたちのこの取り組みが、家庭やコミュニティに広がり、地域全体で低炭素社会を目指していってほしいと思いました。

 

 

パタゴニアの環境配慮型食品〜パタゴニア・プロビジョンズ

こんにちは。気候ネットワークの桃井です。

売上の1%を環境活動に寄付するパタゴニア

さて、このブログにパタゴニアの広告バナーが数ヶ月前から貼られていることに気付いていただけてるでしょうか?

パタゴニア

パタゴニアは、アウトドア衣料品のメーカーで、売上1%を環境団体に寄付しています。気候ネットワークもその寄付をいただいて活動に充てています。また、東北(仙台)、関東(千葉、神奈川、東京)、関西(京都、神戸)、九州(福岡)と全国各地のパタゴニアのスタッフの皆さんが、活動にも積極的に参加してくださっているというとてもありがたい存在です。

このバナーをクリックして、リンク先にあるパタゴニアのオンラインストアでパタゴニア製品を購入すると、その売上の一部が気候ネットワークに寄付されるという仕組みになっています。ということで、ぜひパタゴニア製品をご購入される方は、こちらをクリックしてからお買い求めくださいませ(笑)。

パタゴニアのこだわり

パタゴニアの環境活動は寄付だけではありません。むしろパタゴニアの事業活動の方にこそ私たちは目をむけるべきでしょう。

環境に与える影響をできるだけ小さくするために素材の環境適合性への配慮、製造時等でのエネルギーや水の利用などにこだわり続けています。また製品の製造に関わる労働者の環境にも徹底して配慮がなされたフェアトレード商品であるという点から、契約工場の情報も開示されているという意味でも、企業の社会的責任を徹底したビジネスが展開されているのです。

パタゴニア・環境への影響
http://www.patagonia.jp/environmental-impact.html

おいしく安心な食品ビジネスも展開

パタゴニアでは約2年前から食料品の販売もはじめられています。こちらも、環境や安全、種の保存などへの配慮という点でこだわりを徹底したものばかりです。パタゴニアが食品分野に進出したのも、環境配慮を貫いた食品を世の中に示すためなのだということです。パタゴニアがなぜ食品を?と思われた方はぜひこちらの創始者であるイヴォン・シュイナードさんメッセージをご覧ください。

それで、先日(といっても1ヶ月以上前ですが)、うちのオフィスのランチタイムに、そのパタゴニアの食品(プロビジョンズ)の試食会を行いました。

スープ:レッドビーンズチリ

オーガニック認証済みのレッド・ビーンズやうずら豆、トマト、にんじん、パプリカ、ハーブやスパイスを使ったスープ。沸騰したお湯に入れて、中火で1分煮込んで蓋して9分で完成。

こちらスパイスの効いたスープですが、大きなレッドビーンズがこれでもかというくらいたくさん入っているので、豆好きの方にはたまらないと思います。2人分とのことですが、それなりに量があるので、カップに入れて飲めば5~6人で分けても良いくらいです。

セイバリー・グレインズ:-グリーンケール+カムット

オーガニック認証済みのキヌアなどにハーブやスパイス、グリーンケールやマッシュルームの入った穀物料理です。沸騰したお湯に中身を入れて、蓋をして10分待つだけで完成。


ランチのときにつくってもらったハンバーグを乗せて食べました。味付けが少し薄めなので、お魚とかお肉とかと合わせて食べると美味しいです。

 

 

セイバリー・グレインズ:-マッシュルーム+カムット

オーガニック認証済みのキヌアなど穀物に3種類のマッシュルームが入った食品で、それだけでもすごく美味しいです!こちらも沸騰したお湯に中身を入れて、蓋をして10分待てば完成。みんな、おいしい、おいしいと大好評でした。

 

安心でおいしいオーガニックの環境配慮型食品

いずれのお料理もおいしいのですが、何よりもおいしいものをオーガニック認証されたこだわりの素材で安心していただける点が良いですよね。動物性のものが使われてないので、ベジタリアンやビーガンの方にもお薦めです。

↓↓ぜひこちらのリンクからチェックしてみてください!

パタゴニア

気候ネットワーク設立から 20年のあゆみ

事務局長の田浦です。

気候ネットワークは、気候フォーラムを受け継いで1998 年4 月にスタートし、まもなく設立20 年を迎えることになりました。

気候ネットワーク設立20周年記念ロゴ

これまで、全国のネットワーク組織として、会員をはじめ多数の専門家やボランティアの協力を得て、国際交渉への参加、国内政策ウォッチ、地域のモデルづくり、調査・研究、政策提言、キャンペーン、温暖化防止教育などの活動を継続してきています。全てを網羅することはできませんが、これまでのあゆみを振り返ってみます。

続きを読む 気候ネットワーク設立から 20年のあゆみ

気候変動NPOが辿ってきた軌跡と展望〜学生インターンの目から

みなさんこんにちは。

気候ネットワークインターン生の塚本です。

気候変動NPOでインターンシップをしている身として、気候変動NPOの歴史や抱えている課題を知っておきたいという思いから、この記事を書こうと思い立ちました!

NPO法人の数がここ数年で増大

近年、NPO法人が職員の公募を拡大しており、大手転職サイトへの求人掲載数は過去3年間で3倍以上に急増したようです。その背景には、法人増や規模拡大に伴って、中途や新卒の募集が増加したことが理由の一つとなっているようです。

私見としては、従来よりもNPO法人で働くことへの抵抗が薄らいできているのではないかなと思います。また、社会課題を柔軟な働き方をしながら解決していきたいという、志ある人の数も増えてきていることがあるのではと感じています。

(出典:日本経済新聞2018年1月15日朝刊)

NPOってそもそも何?

NPOは営利活動を行う?

そもそもNPOというのは、Non Profit Organizationの略称であり、非営利団体を意味します。川口清史(2000年)はNPOについてこう言及しています、「正確にこの組織をいえば、Not for-Profit Organizationと理解したほうがいいと思います。forは目的ですから、利益のためではない組織という意味です」。

つまり、利潤をあげることもあるけれども、その利潤を再度その組織のミッションに基づき、活動のために使用する、ということです。

学校法人や福祉法人などと同様に、公共の利益のために活動しているNPOですが、それらとの違いは一体どこにあるのでしょうか?

まず、何と言っても、ミッションの実現のため、人々が自分の意志で、自発的に参画しているということです。また、行政や政府から強く独立しているといった特徴が挙げられます。比較的小規模で構成され、活動している点も一つ言えます。

NPOにはどんな種類があるの?

全てのNPOは、各々が確固としたミッション、目的を持って活動しています。それらの分野は多岐にわたり、福祉・環境・教育・医療・難民支援など、またそれらに対して分野横断的に取り組むNPOもしばしば見られます。

NPO活動を行う各個人の目的を見てみると、その根底にあるものは、世の中に求められていること/世の中が大切だと思っていることを実践するという意識に違いありません。

広義でのNPOが抱える課題

そんな中で、NPOを取り巻く問題が、過去から現在に至るまで数多くあることも確かです。戦後、四大公害から阪神淡路大震災に至るまで、様々な市民活動が展開されてきました。市民活動が大きく盛り上がってきた神戸での震災後、市民団体にとって念願の法律である「特定非営利活動推進法」が制定されました。NPOはそれ以降、法人格を得たことによって賃貸契約を結んだり、銀行口座を作ることが可能になったことで、活動の幅が大きく広がりました。

しかし、同時に多くの課題が同法に内包されていることも事実です。現在と違い当時は、寄付による相互的な税の減免措置がないことに加え、訴訟にかかる団体訴権が認められていないなど、法的問題は山積していました。

財政的に大丈夫?

賃金の面においても、多くの課題を抱えているといった状況です。自発的な活動であり、利益を顧みず社会貢献を果たすという側面がある一方で、一般的に大量生産大量消費型社会にある意味即した形で活動する企業は、利潤を究極的に追求します。たとえば、環境保全の側面で見たときに、社会に求められている活動をしているのはNPOであり、他方で大企業の活動は持続可能性の概念に逆向したものであると言わざるを得ません。

しかしながら、活動を続けていく上で、職員に賃金を払い、事務所の賃料を支払い、その他にも多くの経費がかかる中、職員を長期に渡って育成し養っていくという持続可能性面では、NPO活動が抱えている課題の一つであると言えます。

欧州はNPOのための資金制度が充実!

他方で、欧州の市民団体に広く見られる特徴として、それらが抱えている人数と資金力の強さです。資金面では、寄付金を集めやすい仕組みとして税金の優遇制度が整っています。また、比較的潤沢な資金に支えられていることもあり、100人を超える有給スタッフが在籍している団体もあります。そういった団体には、気候変動交渉の専門家が10人もいるなどといった状況があり、日本の状況からは大きく先を行っていると言わざるを得ません。

そのような状況を打破せんが如く、環境市民団体への資金援助が年々増えてきている事もまた事実です。環境意識の高い企業や財団、また個人寄付が、市民団体の運営において大きな力となっています。しかしながら、未だにそれらの額は十分とは言えません。

財政面のみならず、市民団体が社会の合意形成の過程に、民主主義的に組み込まれていくことが、民主主義の観点から強く求められていると同時に市民団体は積極的に行政に対するアプローチを継続的に行っています。

気候フォーラムと京都議定書

気候フォーラムって?

気候変動の文脈では、環境市民団体の台頭が顕著になり始めたのは、1992年の国連気候変動枠組条約が採択された時期であると言えます。特に、COP3京都会議に向けた気候フォーラムの結成並びにロビー活動は、気候変動業界における市民社会の目覚ましい活動の一つです。

気候フォーラムは、「市民の立場から二酸化炭素などの温室効果ガスの削減に取り組むとともに、気候変動枠組み条約第3回締約国会議において実効性のある削減議定書が採択されるよう活動する」(日本弁護士連合会、2001)ことを目的に設立された、温暖化防止を目的とした環境NPOが集うプラットフォームです。主な活動としては資料の作成・情報発信・地球温暖化問題に係る啓発活動・政府及び産業界への提言活動など多岐に渡ります。

COP3で京都議定書が採択されたあと、気候フォーラムは大きな役目を終えました。しかし、当然ながら温暖化防止活動は議定書採択で終わったわけではありません。京都議定書のルール作りを監視し、各国による批准、発効まで持っていくことが求められていました。

京都議定書採択後の気候変動NPOの役割

気候変動問題は極めて長期に渡り、市民の役割が大きい問題です。COP3での京都議定書採択を以て、気候フォーラムが解散するか、その役割を引き継ぐかどうか、議論がありました。結果として、1998年、気候フォーラムの後継組織として気候ネットワークが設立されました(今年で設立20周年です!)。

他にも、地球環境市民会議(CASA)グリーンピース・ジャパンWWFジャパンFoE Japanなどの環境NPOは、京都議定書採択以前からこの分野で活動を行ってきており、現在もCOPをフォローし、また国内でも気候変動・エネルギー政策への提言活動など幅広い活動を展開しています。

また、2009年のCOP15コペンハーゲン会議に参加したユースが中心となって、Climate Youth Japanというユースの気候変動NPOも設立され、活動を続けています(私もCYJのメンバーとしても活動しています!)。

気候変動NPOの今後に注目!

広い意味でのNPOが抱える諸課題から、気候変動NPOが辿ってきた軌跡をここに記しました。

今年2018年は、ポーランドはカトヴィツェにて開催されるCOP24、2019年はG20大阪開催など、重要なイベントが盛りだくさんです。気候ネットワークは気候変動NPOとして、これらの会議を監視し、提言活動及び情報発信を行う大きな役割があると思います。

また、気候ネットワークだけでなく他の気候変動NPOの活動についても知っていただき、ぜひ様々な形で支援していただければなと思います。

(文責:塚本悠平)

参考文献

  • 「NPO(非営利団体)とボランティア」、立命館大学人文科学研究所、2000年10月15日、(株)田中プリント
  • 「NPOも人手不足」日本経済新聞、2018年1月15日朝刊
  • 「21世紀をひらくNGO・NPO」、日本弁護士連合会・公害対策環境保全委員会編、2001年4月20日、(株)明石書店

エコチャレ交流会 3/2に参加して 

みなさまこんにちは。

インターンの塚本です。

先日私は、気候ネットワーク「エコチャレボランティア交流会」に参加してきました。

様々な経験を持ったシニアメンバー、環境教育の現場に

エコチャレボランティアの方々には、様々なバックグラウンドをお持ちの方が多数いらっしゃいます。

大先輩のみなさんが勢ぞろいなさっていた交流会に若者の参加はあまり見られなかったことは、私としては少しショックではありました。しかし、彼らの熱意や気概を大いに感じ、パワーをいただきました。

自己紹介

交流会の初めに参加者全員による自己紹介を行いました。

(自己紹介の様子)

その中で印象的だったのは、自動車エンジンの開発の仕事をしていらっしゃった方のお話です。「仕事現役の時には、温室効果ガスを大量に排出する自動車産業のエンジン部門におりました。引退してからは、次第に環境への思いが高まってきたこともあり、環境教育に携わるようになりました。今まで温室効果ガスの大量排出をしてきた分、今後は環境活動を通して温室効果ガスの削減に貢献したいと思って参加しています。」

それ以外の方々からも、仕事を引退した後に環境活動を行うようになったとの声が多くありました。エコチャレはこういった方々に支えられていることを知り、またどういった思いで環境教育に携わっておられるのかということを知ることができました。

学習会の様子を振り返ろう

2017年度に実施したエコチャレの様子を、各小学校がホームページに挙げているものを幾つか紹介します。

音羽川小学校

音羽川小学校のHPでは、「今回学習したことからスタートして、これから地球温暖化防止のために自分たちはどんなことができるのかを考え、発信していきます」との児童の発言が取り上げられていました。

納所小学校

また、納所小学校のHPでは、「他教科の学習においても環境問題に関することに反応し、課題を持って考えるようになりました。」とのメッセージと共に児童の学習の様子が掲載されています。

各小学校がそれぞれのHPにて取り上げているエコチャレの取り組みを紹介し、ボランティアの方々は大きく奮起されました!

こういった児童からの前向きな発言や行動の変化は、今後の活動の糧になること間違い無しですね!

クイズでアイスブレイク!

(クイズの説明を行う気候ネットワークスタッフ)

クイズは全部で8問ありました。いくつかピックアップすると、

  • 日本の温室効果ガス排出量の国別ランキング
  • RE100に加盟している日本企業の数
  • 日本全国の送電線と配電線の長さを足した長さ

などなど、実際のエコチャレ学習会で児童に出題しているようなものから、気候変動問題について普段から学びを深めていないとわからないものまで多岐に渡りました。

クイズを各グループ対抗で行うことで場がとても和みました!

私にとってのエコチャレ

私自身、エコチャレに初めて参加したのが約半年前となります。事前学習会と事後学習会の両方を経験させていただきました。環境教育の現場に立つのはエコチャレが初めてということもあり、わからないことだらけでした。

しかし、エコチャレのベテランスタッフ/ボランティアの方々に支えられ、なんとか実施のサポートを務めることができたと感じています。

またエコチャレを通して私自身、特に初等教育における環境教育の重要性を体感することとなりました。頭の柔軟な小学生への環境教育を行うことによって、将来世代として社会で活躍するであろう彼らに温暖化の脅威、また対策することの重要性を感じてもらうことは非常に大切ではないでしょうか。仮にエコチャレ自体の記憶が成長とともに薄らいでいくとしても、エコチャレで学んだことは、彼らの環境に対する考え方の大切な一部分として残っていくでしょう。

私にとって、そんなエコチャレを長年にわたって支え続けてきた方との交流会は刺激的であり、彼らへの感謝を伝える場ともなりました。

若者も環境教育に携わろう

先ほど少し書きましたが、エコチャレボランティアは仕事をリタイアした方々によって支えられている部分が大きいです。

しかし、今後の社会を担うのは現在の若者世代です。ベテランの方々だけではなく、若者世代が知識や経験を受け継ぎ、環境教育の担い手として活躍することが必要です。

エコチャレでは、小学生は環境教育を受ける立場です。若者は、いつまでも教育のみを受けるといった状況を打破しなければなりません。つまり、若者が気候変動問題の当事者として問題意識を強く持ち、温暖化防止に取り組むとともに、教育者として活動することが大切だと考えます。

インドネシアで進む泥炭地破壊と私達の生活

京都事務所の有木です。2月の3日および4日に大阪で開かれた「ONE WORLD FESTIVAL」に参加してきました。

ONE WORLD FESTIVAL 会場の様子

 

インドネシアNGOが語る熱帯泥炭地と私たちの暮らし

2日目の午前中は「ウータン・森と生活を考える会」が主催する講演会「つながってる!インドネシアNGOが語る熱帯泥炭地と私たちの暮らし」に参加しました。インドネシアのNGOで活躍するヨヨさん(Yoyok Wibisonoさん)から、インドネシアの「熱帯泥炭湿地林」の破壊の問題について話を聞くことができました。


泥炭地の問題を説明するヨヨさん

熱帯泥炭地の破壊が温暖化の原因になっている

1つ目のポイントは、インドネシアにおけるCO2排出の最大の原因が熱帯泥炭地の破壊によるものだということです。

泥炭とは、主に植物が不完全に分解して堆積した一種の有機質土壌のことであり、泥炭がある厚さ以上堆積している場所を泥炭地と言います。手付かずの泥炭地はCO2や水を吸収する役割を果たし、「炭素の貯蔵庫」とも呼ばれています。

しかし、近年原生林が伐採され、アブラヤシなどのプランテーションが進められてきたことで泥炭層の分解・酸化が進み、蓄えられたCO2が大気中に放出されているそうです。また、泥炭地で発生する火災も大きな問題となっています。プランテーションにより水分が失われたことで泥炭層の乾燥が進み、火災が発生しやすい状況になっているそうです。一度火災が発生すると消し止めるのは非常に困難であり、大量のCO2を放出してしまします。

熱帯泥炭地破壊の原因は我々の生活にある!

2つ目のポイントは熱帯泥炭地破壊の最大の原因であるアブラヤシなどのプランテーションは、日本にいる私達の生活と大きく関係しているという点です。

アブラヤシから取れるパーム油は私たちの身の回りにある食品や化粧品、洗剤などに大量に使用されています。ポテトチップス、マーガリンなどは、特に明記されていない限り、ほぼパーム油が使われています。日本の私たちがパーム油を使えば使うほど、インドネシアではプランテーションが進み、泥炭地破壊が進行すると考えられます。

企業の「倫理的な」活動に期待

「これらの事実を重く受け止め、私達の生活をもう一度見直すことが必要である」と、「ウータン・森と生活を考える会」の石崎雄一郎さんは訴えていました。油の使用量を減らす、パーム油ではなく国産の油を使う、パーム油を使う場合は認証マーク(RSPO)のついたものを購入する、などの対策が考えられるそうです。

パーム油を使って食品などを作っている各企業はこの問題をどの程度認識しているでしょうか。泥炭地破壊など地球規模の環境問題の解決のためには、大量生産を行う企業の協力が必要不可欠です。これらの企業が「倫理的な(エシカル)」企業活動を行い、問題解決に向けてムーブメントを起こすよう、訴えていきたいと感じました。


質疑応答の様子

SDGsの達成にむけて

ヨヨさんは、長年にわたりインドネシアの熱帯林と泥炭地の復旧に尽力してきました。彼の発言で印象に残っているのは、プロジェクトを行う場合、環境の回復だけではなく地元に住む方々の生活についても同時に考える必要があるということです。

プランテーションは確かに大きな環境破壊をインドネシアにもたらしましたが、一方で現地の労働者の収益源となっているという側面もあります。SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標には「陸の豊かさを守る」、「気候変動への対策」のほか、「人や国の不平等をなくす」、「すべての人に健康と福祉を」といったものが含まれています。持続可能な社会を実現するためには、これらの要素を総合的に考えていく必要があることを痛感しました。