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2020年以降の新しい温暖化対策目標~2015年パリ合意の成功のために~

京都事務所の伊与田です。春の陽気が感じられるようになってきましたが、花粉症の方はつらいですね…(実は、温暖化が進むと余計に花粉量が増えるという研究もあります)。

地球温暖化で2040年までに花粉量2倍以上に? 米研究(CNNニュース 2013.03.14)

さて、そんな中、気候ネットワークが事務局を務めている、日本の気候変動NGOのネットワーク”CAN-Japan“はこのところ「あること」に取り組んでいました。

2020年以降の新しい温暖化対策の国別目標案(約束草案)とは?

まずは、新しい温暖化対策の国別目標案(約束草案)について、解説するページを作ることです。

【解説】2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)~パリ合意のために~

これまでの国連気候変動交渉の合意に基づき、先進国と途上国の区別なく全ての国は2020年以降の国別目標案を、(準備できる国は)2015年3月31日までに提出することが求められています。一応、合意文書には「準備できる国は」とありますが、これは温暖化対策の責任も能力も比較的限られる途上国に配慮するものであって、日本が提出を遅らせて良いということにはなりません。

パリ合意を成功させるためには、各国が早期に野心的な目標案を提出し、新しい法的枠組み成立への積極的な姿勢を打ち出すことが必要です。他の先進国はもちろん、新興国と呼ばれる国の対策強化を促すためにも、先進国であり、世界第5位の大排出国でもある日本は、交渉に貢献するためにも期限までに野心的な目標案を提出する必要があります。

CAN-Japanは、IPCC報告や関連する研究、NGOのエネルギーシナリオ提言の議論に基いて、「温室効果ガス排出量を、2030年までに1990年比で40~50%削減する」との目標を提言しています(詳細はこちら)。

2030年に向けた日本の気候目標への提言(2014年・CAN-Japan)

新しい温暖化対策の目標案(約束草案)を整理し、随時更新!

もうひとつは、2020年以降の新しい温暖化対策の目標案について最新状況をアップデートするウェブページをつくることです。

CAN-Japan:2020年以降の温暖化対策の国別目標案(約束草案)の提出状況・一覧

このページでは、すでに目標案を公式に提出した国がどこかわかるように地図で表記しています。今のところ、スイスとEU28ヶ国が公式に提出しているので、合計29ヶ国が期限までに間に合わせています。

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また、各国の目標案のポイント(いつからいつまでに温室効果ガスを何%削減等)や、目標案の原文、関連する様々な分析へのリンクを一覧表にしてまとめています。

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気候変動の国際交渉の動きを見て、日本の役割・課題・可能性について考える参考として、ぜひご覧いただければと思います。

国際シンポジウム「日本の新しい温暖化対策目標を考える~2015年パリ合意の成功のために~」

国別目標案(約束草案)について、世界の最新動向や日本の役割を考える国際シンポジウムを3/20(金)に東京で開催します。

国際シンポジウム  日本の新しい温暖化対策目標を考える~2015年パリ合意の成功のために~

今最もタイムリー(?)なイベントの1つだと思います。世界的に著名な、米国の環境シンクタンク・世界資源研究所(WRI)のゲストも海外よりお招きしています。イベントの冒頭では、在日フランス大使館よりポール・フリアさんからご挨拶をいただけることも新しく決定しました。

気候変動に関心をお持ちの皆様、ぜひご来場ください!

2015年は正念場!イベント「COP20リマ会議報告会~2015年パリ合意への道~」を開催しました

京都事務所の伊与田です。2015年になってから、もう1ヶ月がたとうとしています…。真冬のまっただ中、インフルエンザも流行っているようですが、みなさまお元気でしょうか??

さて、今回は、先週1月21日に東京で開催されたイベント「COP20リマ会議報告会~2015年パリ会議への道~」の様子をお届けします!主催は気候ネットワークも参加する、気候変動NGOのネットワーク組織CAN-Japanです。

COP20リマ会議の成果と課題を、実際に参加したNGOメンバーが報告

報告会では、実際にCOP20に参加したNGOのメンバーが、これまでの国際交渉の経緯や、リマ会議での論点とその結果、日本の政策課題などについて報告しました。

会場には平日の昼にも関わらず、一般市民、NGO/NPO、マスメディア関係者、事業者や学生など約170名もの方に参加いただき、気候変動交渉への注目が高まっていることが印象づけられました。

YouTubeより、報告会のようすを視聴いただけます!

報告「これまでの国際交渉 リマ会議までの経緯」
土田道代さん:地球環境市民会議(CASA)

まず、地球環境市民会議(CASA)の土田道代さんより、リマ会議に至る国際交渉の流れについて報告がありました(資料はこちら)。

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2011年のCOP19ダーバン会議で設立されたADP(ダーバン・プラットフォーム特別作業部会)では、2つの交渉テーマのもとで議論が行われています。第1に、2020年以降の新しい法的枠組みです。先進国、途上国の両方を含む全ての国が参加することになっており、2015年までに合意することがめざされています。第2に、2020年までの温室効果ガス排出削減レベルの引き上げです。

また、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によって最新の科学的知見がまとめられた第5次評価報告書から、国際交渉に関連するポイントも紹介されました。世界がこのままのペースで温室効果ガス排出を続ければ、あと30年足らずで世界がめざす「2℃未満」を達成するために残されている排出枠を使いきってしまいます。長期的な観点からすれば、向こう15年間で実施する対策が、将来世代が生きる世界にきわめて大きな影響を及ぼすことになるため、2015年パリ合意が決定的に重要である、ということでした。

報告「各国の国別目標案に盛り込むべき内容と事前協議 2020年までの削減努力の引き上げ」
小西雅子さん:WWFジャパン

次に、WWFジャパンの小西雅子さんより、リマ会議の注目点であるADP交渉での決定内容や対立点、交渉における各国の立場や議論の変遷について報告がありました(資料はこちら)。

Exif_JPEG_PICTURECOP20リマ会議で決まったことで、特に重要なのは、2020年以降の新しい温暖化対策の国別目標案についてです。(用意できる国は)2015年3月までに目標案を提出するということはすでにワルシャワ会議で決まっていました。リマのポイントは、どんな情報を目標案として各国が提出するのかという点と、各国の目標案についてパリ合意より前に協議して引き上げるプロセス(事前協議)に合意できるかどうかでした。結果として、目標案に含める情報について決まりました。特に、自国の目標案が国際的に公平か、科学的に見て妥当かどうかについての情報も入れようということになったのは重要です。事前協議については合意ができませんでしたが、非公式にお互いの目標案をチェックすることはできるようになりました。

気候変動交渉は、以前は「先進国対途上国」という意味単純な対立がありましたが、リマでは、COP20ホスト国ペルーなどのラテンアメリカ諸国の先進国と途上国の間をとりもとうという姿勢が目立ちました。例えば、途上国への資金支援のための緑の気候基金(GCF)に、ペルーやコロンビアも拠出表明をしています。合意の成果は会議の最後の最後になって弱められてはしまいましたが、パリのCOP21に向けて最低限の道筋はつけられました。

報告「2015年合意の「要素」(elements)に関する議論」
山岸尚之さん:WWFジャパン

WWFジャパンの山岸尚之さんからは、リマ会議における2015年パリ合意の「要素」(elements)に関する交渉について報告がありました(資料はこちら)。

Exif_JPEG_PICTUREこの「要素」は、2015年パリ会議で合意する内容の「下書き」に相当するため、極めて重要ではありますが、今回のリマ会議で最終決定しなくてもいいとも言えるテーマでした。リマ会議では、COP決定文書の附属書として、要素に関する約40ページのペーパーがつけられました。要素のペーパーには、緩和(排出削減)、適応・損失と被害などといったテーマ毎に、各国の意見が選択肢として並べてまとめられています。

重要な論点としては、緩和の長期目標(世界全体で排出量を2050年までに何%削減、2100年までにCO2純排出をゼロにする等)があります。世界全体の長期目標は、それ自体は漠然としたところもありますが、これが決まると、各国の温室効果ガス排出量の削減目標への影響もあります。また、次の目標期間の長さ(5年か10年か?その先をどうするのか?)についても議論されていますし、どの国がどの程度の資金支援をすべきか、ということも重要な論点です。

今年の交渉では、要素についての議論が主役になります。また、パリ合意がどんな法的性質をもつのかも重要です。どんな内容が議定書のような法的位置づけのある合意文書に入るのか、何がその他のCOP決定と言われる一段低い位置づけになるのか、排出削減目標の扱いとも絡んで注目されます。

報告「REDD+について」
西川敦子さん:コンサベーション・インターナショナル・ジャパン

次に、コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの西川敦子さんより、気候変動交渉における森林減少等の課題について報告がありました(資料はこちら)。

Exif_JPEG_PICTURE森林減少対策は、気候変動対策の観点からも重要です。IPCCの最新報告によれば、世界の人為的な全温室効果ガス排出量のうち、「農業、森林、その他の土地利用」による排出は24%を占めています。気候変動交渉では、REDD+(”レッドプラス”。途上国における森林減少・森林劣化からの排出削減等)と呼ばれるテーマのもとで議論が行われています。これまでも森林保護のプロジェクトは行われていましたが、気候変動の緩和という視点が入ることによって、炭素の定量化やクレジット移転などによってプロジェクトの拡大を後押しする影響があります。

2013年にポーランドのワルシャワで開催されたCOP19では、「REDD+のためのワルシャワ枠組み」に合意し、基本的なルールに合意することができていました。今回のリマ会議では、積み残しの議題について議論を行いましたが、合意に至らず、引き続き交渉を継続することになりました。2015年の交渉では、2020年以降の新しい枠組みにおけるREDD+の位置づけを明確にすることが期待されます。また、今急がなければ永久に失われてしまうような森林や生物多様性などを守るために、より一層の対策強化が必要です。

報告「日本政府へのメッセージ」
平田仁子さん:気候ネットワーク

最後に、気候ネットワークの平田仁子さんから、国内外の温暖化対策の動向を踏まえ、日本政府と日本のみなさんへのメッセージということで報告がありました(資料はこちら別紙1別紙2)。

Exif_JPEG_PICTURE今回のリマ会議で日本政府が注目されたのは、日本政府による、石炭火力発電の海外融資についてです。気候資金と呼ばれる温暖化対策のための資金支援のリストの中に、インドネシアの石炭火力発電事業への支援があることが現地で大きな問題になりました。また、気候資金には含まれませんが、石炭事業への融資の例が他にも多数あり、石炭発電を輸出していこうという姿勢も批判にさらされています。

日本の目標案(約束草案)については、2014年10月に約束草案検討ワーキンググループが設立され、一応議論が始まりました。しかし、提出時期も削減水準も不明で、リマでは他国から「いつ出すのか」とプレッシャーもありました。原発再稼働の議論もありますが、今後日本が数十%という排出削減が必要な中、再稼働による実際の排出削減効果はあったとしても微々たるものです。石炭火力発電の計画が増えているのも深刻な問題です。

日本は今後、早く、高い目標案を十分な説明をもって、提出する準備を全力で進める必要があります。また、全ての途上国を対象とする新しい枠組みをめざす交渉において、資金支援や損失と損害といったテーマにも積極的な貢献が求められます。さらに、国内では現在のところ、気候変動とエネルギーの政策が別々に検討されていますが、統合的に議論することが必要です。

「日本の温暖化対策は生ぬるい!」
~たくさんのご質問・コメントも頂きました~

報告の後には会場からたくさんのご質問をお受けしました。中国や、米国の交渉ポジションについてや、日本政府の温暖化対策が「生ぬるい」、「一般市民の温暖化問題への関心も高くない、どのように関心を高めていけるのか?」と、さらなる対策強化を求める声も多く聞かれました。NGOとしても、もっと社会的な関心を高めて政策を良い方向に変えられるよう、努力をしなければと思います。

2015年は大切な1年~リマからパリへ!~

リマ会議では限られた成果しか得られませんでしたが、各国は2015年パリ合意の実現をめざして交渉を続けています。各地ですでに悪影響が発生しており、今後ますます深刻化するとされる気候変動。報告会で山岸さんはパリ会議の成否は、「地球にとって、人類にとって、”運命の分かれ目”になるかもしれない」と指摘されていましたが、本当にその通りだと思います。2015年はとても大切な1年である、ということを社会的なコンセンサスにしていきたいと思います。

セミナー『行動するなら今でしょ ストップ温暖化』に参加しました

あけましておめでとうございます!今年も気候ネットワークをよろしくお願いします。京都事務所のインターン生の津田です。

先日1月18日に、セミナー『行動するなら今でしょ ストップ温暖化 〜地球温暖化にどのように向き合っていくか〜』が開催されました(主催:京都府・京と地球の共生府民会議。共催:気候ネットワーク)。

このセミナーでは、WWFジャパンの気候変動・エネルギープロジェクトリーダーの小西雅子さんに、地球温暖化や国際交渉について最新の情報をお話しいただきました。

以下、セミナーの内容を4つに分けて振り返ってみたいと思います。

地球温暖化にどのように向き合っていくか

1.地球温暖化ってほんとに起こっているの?

将来地球温暖化が進行し異常気象や食糧危機をもたらす、といった話をよく耳にします。しかし、温暖化に関しては懐疑的な人も少数います。

地球温暖化は本当なのでしょうか? その判断の基準になるのが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による「評価報告書」です。これは、世界中の地球温暖化に関する世界の最新の研究をまとめたもので、地球温暖化に関する最新の情報を提供しています。世界各国は、この報告書を基に国際交渉や政策実施を進めます。

この報告書では、人間による影響が温暖化の最も有力な原因であった可能性は95%以上であるとしています。つまり世界の最新の科学では、人類のせいで地球温暖化が進行しているのは当然のこととされているのです。

2.地球温暖化を食い止めるための国際交渉

最新の「IPCC第5次評価報告書」によると、

  • このまま対策が行われなければ、世界の平均気温は4℃前後上昇する。
  • 世界各国が今すぐ対策を講じても、平均気温は2℃前後上昇する。

ということが言われています。そのため、早急に世界を巻き込んだ対策が必要です。そこで毎年COP(気候変動枠組条約の締約国会議)が開催され、世界全体でCO2の排出を削減する枠組み(例えば京都議定書)を作るための交渉が行われています。

3.国際的な合意を得る難しさ

京都議定書は先進国のみにCO2の排出削減義務を課していました。ただ途上国のCO2排出量が急増しているため、途上国も参加する新たな枠組みが必要です。そこで2020年以降全ての国に排出削減を求める、新しい国際枠組み交渉が始まりました。

しかし、枠組み作成の交渉は難航しています。CO2削減よりも経済成長を優先する途上国と、環境政策を進めたい先進国とでは考え方が対立しているのです。しかし、このような状況でも、なんとか妥協点を探して合意に導くことが大切です。一定の合意があれば、CO2排出削減に向けて交渉が前進できるからです。

4.世界から見た日本の立ち位置は?

京都議定書の発行に貢献したことに代表されるように、以前の日本は気候変動対策に大きな影響力を持っていました。しかし現在の日本はCO2削減目標すら明確にすることが出来ず、国際交渉においても存在感はほとんどなくなっているということです。

 

セミナーに参加して思ったこと

日本が足を引っ張るのではなく、リーダーシップを取れるよう積極的な政策を取ってほしい

今回のセミナーで私は、気候変動に関する国際交渉の難しさを感じました。日本国内でCO2排出削減目標を決めることも大変なのに、世界中の国が合意できるような枠組みを作ることは絶望的にも感じることがあります。そのような中で、日本は、交渉の足を引っ張るのではなく、リーダーシップを取れるよう積極的な政策を取ってほしいです。

2015年は特に気候変動政策に注目を!

今年、2015年12月に開催されるCOP21パリ会議では、2020年以降の新たな枠組みに合意する事になります。そのため日本でも、CO2排出削減目標といった多くの地球温暖化に関する重要事項が決められます。今年決まったことが2020年以降の気候変動政策に大きな影響を及ぼすため、今年は特に気候変動に関する政策に注目し、行動する必要があると思いました。

ウェブ用写真最後
セミナーにはたくさんの人が集まっていました

 

COP20@リマ インターン活動報告(3)国際交渉におけるNGOの役割とは?

京都事務所インターン生の鈴木です。

COP20@リマ、とうとう終了しました。会議の2週目中盤には各国から閣僚が会場入り。日本からも望月環境大臣が会場入りし、日本の気候変動対策についてスピーチをしていましたが、ニュースになりましたでしょうか?

潘基文・国連事務総長もペルー入りし、スピーチを行う
潘基文・国連事務総長もペルー入りし、スピーチを行う

 さて、今回は現地報告の締めくくりとして「国際交渉におけるNGOの役割とは?」というテーマをインターンの視点から書いてみたいと思います。

COP20の参加者数は?~NGOも多数参加~

今回のCOP20の参加者数は、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)事務局によれば、11,185人にのぼっているそうです。内訳は、政府関係者が6,291名、国連関係者が245名、専門機関等が197名、政府間組織が439名、NGOが3,104名、メディアが904名となっていて、NGOは政府関係者に次ぐ規模の参加者を記録しています。

参考:UNFCCC: “List of Participants(参加者のリスト)”

NGOと言っても多種多様で、環境保護関連だけでなく、研究者、産業界など様々なNGOがCOPに参加しています。気候ネットワークのインターンとして、現地入りして感じた国際交渉におけるNGOの役割をまとめてみたいと思います。

 

国際交渉におけるNGOの役割とは?

 (1)会議で発言する

 まず、限られた会議ではありますが、NGOや市民社会には国際交渉の場面で発言をすることができます。写真のように「Civil Society(市民社会)」という席がUNEP(国連環境計画)、UNICEF(国連児童基金)などの席と並列して配置してあり、オブザーバー(傍聴者)でありながら、機会が与えられたら自分たちの意見を言うことができます。

会議室内、Civil Scietyの席
会議室内、Civil Scietyの席

 今回のCOP20では、「Ministerial Dialogue on the Durban Platform for Enhanced Action(強化された行動のためのダーバン・プラットフォームにおける閣僚級対話)」、「Ministerial Dialogue on Climate Finance(気候資金における閣僚級対話)」などの閣僚が集まる場でも自分たちの団体の主張を伝える場が用意されており、発言という直接的な方法で締約国にメッセージを伝えることができます。

Civil Societyの代表として発言をするNGO
Civil Societyの代表として発言をするNGO

 

(2)専門知識をフォローし、分かりやすく市民へ情報発信をする

COPでは、気候変動対策を議論しますが、その会議では専門的な用語が多く飛び交います。「ADP(ダーバン・プラットフォーム特別作業部会)」「TEMs(技術専門家会合)」「Adaptation(適応)」「Mitigation(緩和)」などの用語をみなさんご存知でしょうか?わたしも含めて、普段生活している分には聞き慣れない言葉で、その意味が分かる人はほとんどいないのではないでしょうか?

 NGOとして会議に参加することは、気候変動分野の「専門家」として国際交渉の最前線を絶えずフォローすることが求められます。一般市民が理解しにくい専門的な知識をフォローし、それをわかりやすく市民に発信する役割があると思います。

気候ネットワークでも、COP20の国際交渉の様子を伝える会議場通信”Kiko”を発信しています。ぜひ読んでみて下さい!

 

(3)メディアに情報提供する

国内に国際交渉の現状を伝え、気候変動政策を後押しする流れをつくるために、NGOはメディア記者への情報提供も行っています。メディアを通して日々の交渉の中で重要なポイントやNGOのメッセージをより多くの人に伝えることで、影響力を行使します。

例えば、気候ネットワークも参加している、気候変動NGOの国際的なネットワーク「Climate Action Network(CAN: 気候行動ネットワーク)」は毎日のように会議場内で記者会見を開いています。

CANの記者会見はウェブサイトで視聴できます(英語です)。例えば、12月3日の記者会見では、冒頭のスピーカーから、去年のCOP19で日本政府が温室効果ガス排出削減目標を引き下げたことをさして「backsliding(後退)」と指摘しているのを聞くことができます。

例えば次の記事は、COP20に関連して、気候ネットワークが登場している報道です。ぜひご覧ください。

(4)パフォーマンスをして、会議参加者に訴えかける

パフォーマンスをして、会議参加者に訴えかけることもNGOのひとつの役割です。例えば、COP20会場の広場では毎日、CAN Internationalが「本日の化石賞(Fossil of the Day Award)」というパフォーマンスを行っています。

これは日々の国際交渉において、一番、気候変動対策に後ろ向きだった国を皮肉を込めて表彰する、不名誉な賞です。日本も不名誉なことにCOP20期間中に2度の「化石賞」をもらいました。例えば、最初の化石賞は、温暖化対策の「気候資金」を使って、途上国で温室効果ガスの排出が多い石炭火力発電を支援していることが受賞理由でした。

「本日の化石賞」の様子
「本日の化石賞」の様子

このようなパフォーマンスを行うと、多くの聴衆が集まります。この聴衆がSNSなどを通じて情報発信をする、メディアの報道に取り上げられる、新たな行動を起こすなどで各国政府にその情報が入り、影響を与える可能性も少なからずあります。

事実、緑の気候基金(Green Climate Fund)に対して資金拠出の意思表明をしていなかったオーストラリア、ベルギーなどが12月1日に「本日の化石賞」として表彰された後、9日には両国とも資金拠出を表明しています。もちろん両国の行動のすべてがNGOによるパフォーマンスによる結果とは断定できませんが、影響を与えている可能性も否定できないのではないでしょうか。

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「本日の化石賞」には毎日多くの聴衆があつまる

(5)政府代表団に意見を伝える

気候変動対策が少しでも前に進むように、NGOとして日本政府代表団に意見を述べる場があります。現在の交渉において、日本はどのように行動すべきなのか、気候変動問題を解決するために日本はどのような政策を講ずべきなのかなどを直接伝えます。

COP20日本政府代表団のツイートより

 

各国の前向きな行動を引き出し、気候変動問題の解決へ

以上の5点がCOP20にインターンとして参加して感じたNGOの役割です。その他にも色々と役割があると思いますが、すべての役割に共通していることはNGOが行動することによって、少しでも各締約国(日本政府も含め)が国際交渉において前向きに行動し、気候変動問題が解決に向かうことです。

以上で、3回続きましたCOP20@リマのインターン活動報告を終わります。

COP20@リマ インターン活動報告(2)気候変動交渉をめぐる先進国と途上国の対立をどう考えるか

京都事務所インターン生の鈴木です。
前回に引き続き、COP20@リマの活動報告を行います。
今回は「気候変動をめぐる先進国と途上国の対立をどう考えるか」というテーマです。

合意形成の道のりは長い

COP20も2週目を迎え、交渉も折り返し地点を迎えました。
1週目の議論を経て、2週目の月曜日に共同議長から修正版のCOP20の合意文書案(Draft Decision)が提出されました。それに対して、各国がコメントをしていましたが、国によって主張は「千差万別」―「この合意案は片側の意見しか入っていない」「なぜ我々の主張が入っていないのか」「法的拘束力があるのか」「重要な要素が欠けている」等々、共同議長の頭を悩ませたに違いありません。

なぜなら修正前の合意案への各国の意見を一つの文書にまとめると、192ページにも達してしまうからです。

(COP20合意案への各国の主張http://unfccc.int/files/bodies/awg/application/pdf/compilation_of_inputs.pdf

COP20-1

COP20-2
スクリーンに各国の修正案が赤文字で表示され、交渉が行われている

この膨大な意見をもとにまとめられたのが新しい決定書草案ですが、それに対しても喧々諤々の議論が続いています。

「先進国VS途上国」

2020年以降の国際的な枠組みの合意をめざす交渉のボトルネックとなっているのは「先進国と途上国の先鋭的な対立」であると言えるでしょう。気候変動交渉において先進国と途上国の対立は、今に始まったことではないですが、COP20においても合意形成の障壁になっていることは否めません。

気候変動には「(温室効果ガスの)排出削減」「適応」「技術移転」「能力構築」「透明性の確保」「資金」など様々な論点があります。

先進国側は、「途上国にも排出削減に前向きに取り組んでもらいたい」、「資金などでこれ以上負担をしたくない」、途上国側は、「自分たちは先進国が遂げたような経済発展の権利がある」、「これまで多くの温室効果ガスを排出してきた先進国が気候変動の責任をとるべき」という考えがあります。

COP20-3

対立をどのように乗り越えるのか?

途上国と先進国の対立は一筋縄で解決できないことは明らかです。この対立を緩和させ、協調を進めることがCOP20の成功には不可欠です。

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9日(火)にアフリカのNGOが会場の広場でプラカードを掲げ、パフォーマンス

9日(火)にアフリカのNGOが会場の広場でプラカードを掲げ、パフォーマンスをしていました。彼らは、先進国と途上国が対立を深め、交渉が前に進まないことに怒りを表明していました。

特に、アフリカは気候変動に対し脆弱で、一度、干ばつや洪水の被害を受けると、貧困や感染症問題がより深刻化してしまいます。しかし、それを対策する能力や資金が圧倒的に足りていません。

「もう時間はない。リマで前に進めよう。どうか貧困国の声を聴いてくれ。アフリカの声を聴いてくれ。我々が気候変動に最も脆弱で、最も影響を受ける国なのだから。リマがラスト・チャンスだ。」

同NGOの代表が聴衆の前で、悲痛に叫んでいました。

「歩み寄り」が鍵

 COP20にインターンとして参加し、いくつかの会議を傍聴して感じたことは、「妥協」や「歩み寄り」が必要であるということです。先進国や途上国でそれぞれが各々の主張をし続けても、なかなか合意に辿りつけません。すべての国が、気候変動問題をどうにかして解決しなければいけないという目的は共有しているはずなので、それを達成するためにもどこかで妥協することが求められます。

 まずは、先進国が歩み寄りをみせ、排出削減を野心的に掲げる、途上国への資金援助を強化するなどが重要です。また、排出量が多い中国やインドも気候変動に対して責任のある国として振る舞うことが必要なのではないかと感じました。

本日の会議でもADPの共同議長が、「私たち(共同議長)が合意内容を決めるのでない、あなたたち締約国が決めることだ」と言っていたように、国際交渉のテーブル上のすべての締約国が、どのようにすれば合意形成にたどり着くのか、どうすれば気候変動問題が解決に向かうのかをより真剣に考え、誠意ある行動をとることが求められると言えるでしょう。

そして我々市民も、気候変動問題をどこか遠い場所で起きている事と思わず、自分事として捉え、行動していくことが必要なのではないでしょうか。

COP20@リマ インターン活動報告(1)~国が違えば利害も違う!?~

京都事務所インターン生の鈴木です。

現在、ペルーの首都リマで開催されているCOP20(気候変動枠組条約第20回締約国会議)に来ています。COP20では、各国政府が集まり、新しい気候変動対策の枠組みを2015年に合意し、2020年から発効するべく、白熱した交渉が繰り広げられています。

これから現地時間12月5日(金)~14日(日)の滞在でインターン生として感じたことを率直に書き記していこうと思います。第1回目は、初日の12月5日(金)分です。

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COP会場の入り口

 

バッジを見れば、誰が政府代表団かが判明!?

まずCOPへの参加は、会場で手荷物チェックを受けた後、バッジを作成して始まります。

バッジには、Party (締約国:ピンク)、Observer(傍聴:黄色)、Press(報道関係者:オレンジ)などで色が分かれていて、NGOはObserverの黄色のバッジです。これらの色の違いでどの会議場に入れて、どの会議場に入れないのかが分かります。

例えば、”Parties and Observers Only”の場所には政府関係者やオブザーバーしか入ることは許されませんし、Press Onlyには報道関係者しか入ることができません。私はNGOである気候ネットワークからの参加なので、黄色のObserverのバッジを携帯しています。

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オブザーバーのバッジは黄色

 

COP20の会場はテーマパークのような広さ

会場入りしてみて驚いたのが、COP会場の広さです。さながら小さなテーマパーク並の規模です。その中には、会議場、各国のパビリオン、国連機関・NGOのブース、レストラン、コンピュータールームなどが建ち並んでいます。日中は暑く、木陰で食事をとる参加者が多く見られました。

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COP20会場は、テーマパークのような広さ
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COP会場内、木陰で食事
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展示ブースが並ぶ中、足早に移動する参加者たち

国際交渉の臨場感!?

最初に傍聴したのは、「ADP meeting on item 3」 という来年のCOP21で決定する合意にどんな内容を入れるべきなのか、2015年合意の要素を議論する会議でした。

あらかじめ共同議長が作成したノン・ペーパー(非公式文書)のMitigation(温室効果ガスの削減)、Transparency(透明性の確保)、Technology transfer(途上国への技術移転)、Capacity building(能力構築)などの項目に対して、発言を求める国が共同議長の指名を受け、順番に自国の主張を展開していきます。

 

各国の立場によって、「この条項は賛成できる」「どの国の提案に賛成だ」「この部分は支持できない」「この箇所は削除すべき」「我々はこのように提案する」「途上国と先進国を分けて考えるべきだ」「すべての国々を含めるべきだ」など発言は様々です。ある国は主張を簡潔に述べ、ある国は10分以上も主張を続けたりもします。その結果、会議は予定の時間内で終わらず、翌日に持ち越しになりました。

まさに、国や交渉グループの数だけ主張も異なる国際交渉の臨場感そのものを感じることができました。

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国際交渉におけるNGOの役割は?

さて、気候ネットワークのインターンとしてCOP20に参加していますが、国際交渉におけるNGOの役割とはいかなるものなのでしょうか?

日本では一般的にNPO/NGOは政府の政策決定にあまり関係がないイメージがあります。しかし、国際会議ではNGOは政府に並ぶ重要なアクターのひとつとして認識されています。COPにおいてもNGOが発言をする機会は設けられていますし、政府代表団の中にNGOのメンバーを入れている国もあります(日本でも一時期、NGOメンバーが政府代表団入りしていたことがあります)。

次回以降のブログで、国際交渉におけるNGOの役割について深く触れていきたいと思います。

 

日本では衆議院選挙の真っただ中で、気候変動に関するCOP20のニュースはあまり報道されないかもしれません。しかし、日本から見ると地球の反対側にあるペルーで、地球の将来、人類の生存の課題を議論していることに少しでも多くの方が耳を傾けて頂けたら幸いです。

国際社会が懸念する日本の石炭火力発電所の建設ラッシュ

京都事務所の伊与田です。

きょう25日までドイツのボンで開催されている国連気候変動交渉会議。その現場では国際環境NGO・CAN(Climate Action Network)が、ニュースレター”eco”を日々発行しています。

昨日・10月24日のecoには、日本の石炭建設ラッシュを懸念する記事(Turn Back Japan: Don’t Go From Nukes To Coal)が掲載されました。国際社会は、日本の石炭重視の姿勢に強い懸念をもっていることがわかります。

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以下、ざっくりと仮の訳をつくってみました。

思いとどまれ、日本!:原発から石炭に行かないで

福島の悲劇的な原発事故は、原子力技術がいかに危険で持続可能でないものかを世界に示した。原発事故の影響を受けた人々は今でも苦しんでおり、日本にとって原発が選択肢にはならないことは明白だ。ECOは大震災の後、FITのおかげで再生可能エネルギーが急速に拡大したことに励まされてきた。個人や企業による省エネも、まだまだ日本に省エネの余地があることを証明した。だからこそ、ECOは、2016年から2027年までに25の石炭火力発電所(合計13,640MW)の建設計画があるというニュースに驚愕している。もし稼働すれば、毎年8200万トンものCO2を排出することになるだろう。ショックなことに、こういった計画のほとんどが福島事故後に検討されたものであり、今後もさらに増えそうなのだ。

エネルギー転換は全ての国で急務で、日本でも、正しい方向に転換することが重要だ。ヒントをあげよう:私たちがエネルギー転換について話すときは、CO2をたくさん出す技術に向かうのではなく、そういった技術をやめていくことを考えている。石炭は汚い化石燃料だ。IPCCは、もし我々がCO2をたくさん排出するインフラへの投資を転換しなければ、将来の排出削減が困難になるだろうと警告している。

ECOは、各国がIPCC報告書を読んでいるものと思っているが、もしかしたら重要な点が翻訳の都合で省略されているかもしれない、すなわち、石炭は原子力の代わりとして必要とされていないのだ。日本政府自身の研究でも、日本には大変な再生可能エネルギーポテンシャルがあることもわかっている。

ECOは、日本がとうとう本日、国別削減目標(約束草案)の議論を開始したと聞いた。うまくやる秘訣を教えようーつまり、石炭の拡大を止めることだ。そうすれば、2015年3月までに意欲的な削減目標を出しやすくなるだろう。

(10/24eco仮訳)

特別シンポジウム「温暖化防止の新枠組み合意のための日本の新目標」開催報告

京都事務所の伊与田です。

9月23日にニューヨークで開催された国連気候サミットは日本のメディアでもけっこうニュースになってましたね。世界は、2015年の国連交渉会議(COP21・パリ会議)での合意に向けて盛り上がっています…!

特別シンポジウム「温暖化防止の新枠組み合意のための日本の新目標」

さて、この国連気候サミットの前、9月12日に、東京でシンポジウムを開催しました。気候変動交渉のこれまでとこれから、温室効果ガス排出削減目標のNGO提案などについて発表があり、質疑応答・ディスカッションが行われました。

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会場はここ!東京・永田町の参議院議員会館

大盛況!?立ち見も出てしまいました…

シンポジウムの広報を始めたのが直前だったにも関わらず、150人近くの参加がありました。申し訳ないことに、一部では立ち見もでてしまいました(スタッフも3時間立ちっぱなしでした…)。「最近はあんまり温暖化って話題にならないなー」という人もいますが、実は関心を持っている方もたくさんいらっしゃるんですね!

特別シンポジウム「温暖化防止の新枠組み合意のための日本の新目標」
特別シンポジウム「温暖化防止の新枠組み合意のための日本の新目標」

シンポジウムのようすはこちらからご覧ください!(YouTube)

これまでの国際交渉の経緯~2015年までに新しい枠組みの合意をめざすことに

まず、気候ネットワークの平田仁子さんから、交渉のこれまでについて発表がありました。京都議定書第1約束期間(2008~2012年)の後の国際枠組みについて、2009年のコペンハーゲン会議(COP15)での合意が求められていましたが、すっきりいかず。現在はADP(ダーバン・プラットフォーム特別作業部会)に交渉の場が一本化され、2015年までに新しい国際枠組みについて合意しようとしています。

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平田さん発表資料より

今後の交渉の見通しは?日本政府の「目標」は?

次に、外務省の中野潤也さんより、今後の交渉の見通しや日本政府の立場についてお話いただきました。注目度も重要度も高い温室効果ガス排出削減目標の今後については次のような説明がありました。

  • 2015年に新たな国際枠組みをつくるにあたって、各国が削減目標案をつくり、準備ができる国は2015年3月までに提出することが決まっている。
  • 各国が出した削減目標案をベースにCOP21・パリ会議で新しい削減目標をつくるということになっている。
  • 日本政府の削減目標案をどうするかについては、検討中。
中野さん資料より
中野さん資料より

また、中野さんは、個人的な見解として、「日本では原発が稼働していないために、EUに肩を並べるような野心的な目標を出すのはなかなか難しいのではないか」とも話しておられました。「日本はこのような状況だから何もしなくていいわけではなく、日本がこれまでやってきた支援や、できることを交渉テーブルに載せていく」とのこと。

NGOが提案する温室効果ガス排出削減目標は「40~50%削減」

最後に、WWFジャパンの山岸尚之さんより、環境NGOが提案する日本の排出削減目標について提言が発表されました。

温室効果ガス排出量を、2030年までに1990年比で40~50%削減する
山岸さんの発表資料より

もちろん、この目標はこのまま放っておいて達成できるような目標ではないでしょう。再生可能エネルギー・省エネルギーの目標・政策の強化、脱化石燃料(特に脱石炭!)、脱原発と温暖化対策の両立などを進めることが大切、ということでした。

「2℃未満」のために必要な目標

このNGO提案、いかがでしょうか?たぶん、「こんな高い目標なんか無理やろー」と思った方もいらっしゃるんじゃないかと思います(逆に、「NGOにしては”ゆるい”数字だなー」と思った人もいるかも!?)。

国際的には、地球平均気温上昇を産業革命時から2℃未満に抑えることをめざそうというコンセンサスがあります。そのために世界全体で必要な排出削減と、衡平性、日本の排出削減ポテンシャルの3つの観点からは、少なくともこれくらいの目標案を掲げるべきだと思います(日本には温暖化対策の責任も能力もある!)。

従来日本では、「(現状をベースラインとして)今後どれくらい減らせるか?」という、排出削減ポテンシャルの議論が中心になりがちでした。しかし、「2℃未満」のためには、世界全体でどれくらい削減すべきか?が重要です。また、そこに日本がどれくらい貢献すべきか?といった発想も重要です。

そこで、今回のNGO提案は、世界的に考えて、日本にどんな目標が求められるのかを検討しつつ、達成可能性についても各種研究を踏まえた数値として、「40~50%」を出したということです。

詳細は、ペーパー「2030年に向けた日本の気候目標への提言」を読んでいただければと思います!

日本で気候変動問題に取り組むNGOのネットワーク”CAN-Japan”

なお、このNGO提案をまとめ、シンポジウムを主催したのは、”Climate Action Network Japan (CAN-Japan)”です。CAN-Japanとは、気候変動問題に取り組む、90カ国以上・900の環境NGOからなる国際ネットワーク組織Climate Action Network (CAN)の日本拠点のことです。日本で気候変動問題に取り組むNGO・11団体からなり、気候ネットワークもメンバーになっています。

CAN-Japanは、世界中のCANのネットワークと連携し、国連気候変動交渉の前進や、日本の気候変動対策の強化のために、国内で独自の活動も展開しています(CAN-Japanのウェブサイトはこちら!)。

CAN-Japan-logo
CAN-Japan

CAN-Japanも気候ネットワークも、危険な気候変動を止めるため、国際合意を実現させるために、これからも頑張ります!

 

国連気候変動ボン会議報告会~世界から取り残される日本の温暖化対策、これでいいのか~

 こんにちは、東京事務所インターンの桑田です。

去る7月2日、日比谷図書文化館日比谷コンベンションホールにて、国連気候変動ボン会議報告会が開催されました(CAN-Japan主催)。地球環境問題アナリストの末吉竹二郎さんをお招きし、ボン会議に参加した国際NGOのメンバーによる会議の様子や交渉の内容、そして今後の日本の温暖化対策について報告・議論が行われました。

ボン会議に参加したNGOメンバーによる報告

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国際NGOのメンバーによる報告の様子

世界は2020年以降の新枠組みに向けて動いている

まず、報告においては、世界が工業化前に比べて地球の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという目標と、それに伴う2020年以降の新たな枠組みの合意に向けて精力的に動いているという指摘がありました。特に、今後の進展を占う意味でも重要な「2020年以降の国別目標案」の提示時期について、米中EUといった主要な国が明確にしてきているという点を強調していました。

目立つ日本の温暖化対策の遅れ

一方で、「日本の周回遅れが顕在化している」、「日本の温暖化対策に関してボン会議の参加者から厳しい意見が聞かれた」等と、日本の国際交渉での立場に対して危機感を募らせるNGOメンバーが多数。加えて、日本は国別目標案の提示時期を明確にしていません。目標案の提出が遅れるようなことがあれば、交渉への悪影響は深刻です。また、海外の石炭事業を支援する等、世界の脱石炭の流れに水を差すような行動を日本がとっていることについて、ボン会議で批判の声が聞かれたことも紹介されました。

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気候ネットワークのメンバーによる報告

「孤立無援」。

これは、日本の将来を考えるとつい思い浮かんでしまう言葉で、大学生の時に私の中国と韓国の友人が日本の今後について冗談気に言った言葉でもあります。この状態が現実化しつつあるのではないかと、NGOメンバーの報告を聞いて改めて思いました。

何か寂しい気持ちになりますが、この状況を踏まえて今後私たちがどう行動すべきか重要になってきます。

末吉さんの特別講演 “ビジネスの土台は「地球」”

国際NGOのメンバーの報告後、地球温暖化がもたらすビジネスチャンスとリスクについて末吉竹二郎さんより特別講演が行われました。「ビジネスは地球を土台としている、土台を壊してまで成長する意味はあるのか」。この末吉さんの言葉がこの国の企業の方の心に響いたことを願っています。

いえ、響いてもらわないと困るのです。

 ディスカッションで浮き彫りになった「国際社会と日本のギャップ」

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質疑応答の様子

そして最後に行われた質疑応答・ディスカッションにおいては、中国やアメリカの動向、日本の今後やるべきことに関して参加者から質問がありました。ここで改めて浮き彫りになったのは、国際社会との乖離とも見受けられる日本の国内の動向、他国と日本の気候変動に関する政策面の差です。この日本で事実に基づいた成熟した議論の必要性が強く感じられました。

サッカーのゲームでは、必ず勝者と敗者に分かれます。一方、気候変動は、「全員が勝者とならなければならないゲームであり、すべての人の問題」。この報告会において最後に発せられたメッセージの一つです。私たちもこの議論に前向きに参加しなければなりません。

 「大所高所」。この言葉を胸に。

ボン会議報告会のスピーカー
報告会のスピーカー

YouTubeで報告会の様子をご覧いただけます

実際の報告会をYoutubeで見ることができます 

国連気候変動ボン会議報告会のプログラム

  1. ボン会議参加NGOメンバーによる報告
  • 「地球温暖化の最新科学と、これまでの国際交渉」  
    土田道代(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)) 資料(PDF)
  • 「ボン会議(ADP)の結果と今後の交渉の見通し」  
    小西雅子(WWFジャパン)資料(PDF)
  • 「気候資金~”緑の気候基金”最新動向~」  
    小野寺ゆうり(FoE Japan)資料(PDF)
  • 「2020年に向けた土地利用~森林減少・農業等~」  
    山下加夏(CIジャパン)資料(PDF)
  • 「国際社会が求めている日本の温暖化対策」  
    伊与田昌慶(気候ネットワーク/CAN-Japan)資料(PDF)
  1. 特別講演
  • 「世界から取り残される日本の温暖化対策、これでよいのか?~温暖化がもたらすビジネスチャンスとリスクを考える~」 
    末吉竹二郎さん(地球環境問題アナリスト)
  1. 質疑応答&ディスカッション

 *この催しは、平成26年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催されました。

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キャラクター「基金ちゃん」

学生が見た!国連気候変動ボン会議~気になる中の様子は?~

みなさま初めまして。気候ネットワークボランティアの吉岡です。

わたしは現在大学3年生で、普段は気候ネットワークボランティアとして国際交渉の勉強会に取り組んでいます。このたび、ドイツで開催されている国連気候変動ボン会議にオブザーバーとして参加していました。

勉強ももちろんですが、国際交渉に臨む様々な人たち(NGOの方、交渉官の方、海外の若者などなど・・・)に実際に会うことで、様々な視点から交渉をとらえたいと思い、参加させていただきました。

会議もいよいよ終了。今回は、わたくし吉岡が会議場の様子をお伝えいたします!

 

会議場の様子は?ホテルが会場!?

ボン会議はマリティムホテルという場所で行われています。中には複数の会議室、気候変動関連機関・団体の出展ブースや、パソコンコーナーもあって、ほんとにここってホテル!?と思ってしまいました。中でも興味深かったのは、こちらのパネル。これまでの交渉や気候変動に関する政府間パネル( 。

たとえば先進国はどの分野(エネルギー、森林、農業など)にどれだけ資金援助を出しているのかが分かりやすくまとまっているパネルがありました

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会議場のいたる所にある展示パネル

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会議場1階のようす。展示ブースが並んでいます。

 「気候変動はワールドカップよりもグローバル」!!

ボン会議は各国政府の交渉ですが、会議には10代、20代のユースが少なくとも20人ほど参加していました(ほとんどが女子でした!)。彼らは未来の世代の一員として、交渉がうまく運ぶようにメッセージをだしています。

12 会議場前で、ユースによるアクションが行われました。「カーボン・チーム」(炭素チーム)と、「ネット・ゼロチーム」(純排出ゼロチーム)の対戦です。化石燃料に依存しない、クリーンな未来に向けたメッセージが込められています。

このほかにも、「Game of Climate」(気候のゲーム)と称して、“2015年に合意される新しい枠組みに必要な基準をクリアすれば勝ち!”というゲームに交渉官を巻き込み、ユースも2015年合意をどうしていくかの議論に参加しているんだ、ということをアピールしていました。

写真

 

会議もいよいよ終了

2週間に及ぶ会議もいよいよ 。本格化する交渉の中で、各国は対立を越えて議論を進めていかねばなりません。

今後の日本の動きにも注目です。昨年のワルシャワ会議COP19の結果、2015年の合意に向けて、先進国も途上国も全ての国が、事前協議のために国別目標案(温室効果ガス排出削減目標など)を、2015年3月までに提出するよう求められています。その決定をうけ、ボン会議では、各国が来年3月までに目標案を提出する意思を次々と表明しています。

そんな中、日本政府は来年3月までに提出できるかどうか未定としているようです。日本の出遅れが目立っており、環境NGOからは日本などに対し、目標案を2015年3月までに出すよう求める声が上がっています。

”Act locally”~温暖化対策を地域から世界へ~

 東京都では、日本で唯一「キャップ・アンド・トレード制度」が採用されています。これは、この制度に参加している企業ごとにCO2を排出できる量の上限(キャップ)を決めて、それを超えて排出する企業と排出できる量に余裕のある企業の間で取引(トレード)を行う仕組みです。

この取り組みで、東京都は3年間で大幅 排出削減に成功しました。今後もこの制度を発展させていくために、ほかの都市から学ぶなど、企業だけでなく行政もさらなる改善が必要であるとのことでした。

複雑な国際交渉がなかなか思うように進まない中で、やはりAct locallyを積み重ねていくことが、世界の道筋を築いていくのかもしれませんね。

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ついにボン会議も閉幕。次は10月に開催されます。

ボン会議の内容が気になった方は、7月2日開催の国連気候変動ボン会議報告会にお越しください!

国連気候変動ボン会議
~世界は2020年以降の新枠組み合意に向けて動いている~