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「地球温暖化vs寒冷化」のゆくえ

京都事務所の伊与田です。

2月は各地に寒波が押し寄せました。これだけ寒いと、「ほんまに温暖化してるんかいな?」と思われる方もおられるかもしれません。中には、インターネットなどで、「地球は今後寒冷化する」という主張をご覧になったことのある方もおられるかもしれません。

実際、どうなんでしょう?

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書籍『地球温暖化は解決できるのか パリ協定から未来へ!』を読む

京都事務所の伊与田です。

「地球温暖化やパリ協定について、わかりやすい本は?」

最近、大学や自治体、企業や市民団体などから「地球温暖化問題やパリ協定について講演してください」と依頼をいただくことがよくあります。先日も、とあるセミナーでお話したとき、参加していた方から声をかけられました。

「自分でも少し勉強してみたいのですが、地球温暖化やパリ協定について、初心者向けのわかりやすい本はありませんか?」

そう聞かれたとき、頭に思い浮かんだのが、こちらの本です。

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セミナー『行動するなら今でしょ ストップ温暖化』に参加しました

あけましておめでとうございます!今年も気候ネットワークをよろしくお願いします。京都事務所のインターン生の津田です。

先日1月18日に、セミナー『行動するなら今でしょ ストップ温暖化 〜地球温暖化にどのように向き合っていくか〜』が開催されました(主催:京都府・京と地球の共生府民会議。共催:気候ネットワーク)。

このセミナーでは、WWFジャパンの気候変動・エネルギープロジェクトリーダーの小西雅子さんに、地球温暖化や国際交渉について最新の情報をお話しいただきました。

以下、セミナーの内容を4つに分けて振り返ってみたいと思います。

地球温暖化にどのように向き合っていくか

1.地球温暖化ってほんとに起こっているの?

将来地球温暖化が進行し異常気象や食糧危機をもたらす、といった話をよく耳にします。しかし、温暖化に関しては懐疑的な人も少数います。

地球温暖化は本当なのでしょうか? その判断の基準になるのが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による「評価報告書」です。これは、世界中の地球温暖化に関する世界の最新の研究をまとめたもので、地球温暖化に関する最新の情報を提供しています。世界各国は、この報告書を基に国際交渉や政策実施を進めます。

この報告書では、人間による影響が温暖化の最も有力な原因であった可能性は95%以上であるとしています。つまり世界の最新の科学では、人類のせいで地球温暖化が進行しているのは当然のこととされているのです。

2.地球温暖化を食い止めるための国際交渉

最新の「IPCC第5次評価報告書」によると、

  • このまま対策が行われなければ、世界の平均気温は4℃前後上昇する。
  • 世界各国が今すぐ対策を講じても、平均気温は2℃前後上昇する。

ということが言われています。そのため、早急に世界を巻き込んだ対策が必要です。そこで毎年COP(気候変動枠組条約の締約国会議)が開催され、世界全体でCO2の排出を削減する枠組み(例えば京都議定書)を作るための交渉が行われています。

3.国際的な合意を得る難しさ

京都議定書は先進国のみにCO2の排出削減義務を課していました。ただ途上国のCO2排出量が急増しているため、途上国も参加する新たな枠組みが必要です。そこで2020年以降全ての国に排出削減を求める、新しい国際枠組み交渉が始まりました。

しかし、枠組み作成の交渉は難航しています。CO2削減よりも経済成長を優先する途上国と、環境政策を進めたい先進国とでは考え方が対立しているのです。しかし、このような状況でも、なんとか妥協点を探して合意に導くことが大切です。一定の合意があれば、CO2排出削減に向けて交渉が前進できるからです。

4.世界から見た日本の立ち位置は?

京都議定書の発行に貢献したことに代表されるように、以前の日本は気候変動対策に大きな影響力を持っていました。しかし現在の日本はCO2削減目標すら明確にすることが出来ず、国際交渉においても存在感はほとんどなくなっているということです。

 

セミナーに参加して思ったこと

日本が足を引っ張るのではなく、リーダーシップを取れるよう積極的な政策を取ってほしい

今回のセミナーで私は、気候変動に関する国際交渉の難しさを感じました。日本国内でCO2排出削減目標を決めることも大変なのに、世界中の国が合意できるような枠組みを作ることは絶望的にも感じることがあります。そのような中で、日本は、交渉の足を引っ張るのではなく、リーダーシップを取れるよう積極的な政策を取ってほしいです。

2015年は特に気候変動政策に注目を!

今年、2015年12月に開催されるCOP21パリ会議では、2020年以降の新たな枠組みに合意する事になります。そのため日本でも、CO2排出削減目標といった多くの地球温暖化に関する重要事項が決められます。今年決まったことが2020年以降の気候変動政策に大きな影響を及ぼすため、今年は特に気候変動に関する政策に注目し、行動する必要があると思いました。

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セミナーにはたくさんの人が集まっていました

 

温暖化する地球、日常化する異常気象?

京都事務所スタッフの伊与田です。先日の台風でも各地に被害がでたようですね。気候が大変なことになっているような気がする今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

歴史的な記録が、次々と塗り替えられている

2014年6月1日、京都は観測史上最速で猛暑日を記録したばかりか、同年7月26日には、7月の気温としては観測史上最高の38.3℃を記録したと伝えられています。8月の気温は例年より低めでしたが、全国各地を未曾有とも言われるような気象災害が発生しました。記録的豪雨によって広島、京都などで甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しいと思います。

日本だけでなく、このところインド、フィリピンなどでも豪雨・洪水で被害があり、フランスのモンペリエでは9月末に数時間で半年分の雨が降ったとのこと。なかなか尋常じゃないですね。

2050年の天気予報 日本版

ちなみに、世界気象機関は国連気候サミットにあわせて「2050年の天気予報」という動画を公開しています。今後の気候変化をイメージするにはわかりやすくておすすめですよ!

2014年夏の豪雨と地球温暖化?

2014年夏の各地の豪雨も、温暖化との関係がどうなんやろと言われるところです。気象庁の異常気象分析検討会が9月3日に発表した資料では、次のように書かれています。

地域気象観測所(アメダス)における、1時間降水量が50mm 以上や80mm以上となった年間及び8月の観測回数には、増加傾向が現れています。また、我が国の高層気象観測による上空の水蒸気量にも増加傾向がみられます。 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第5評価報告書第1作業部会報告書、地球温暖化の進行に伴って今世紀末までに、我が国を含む中緯度の陸域のほとんどでは極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高いこと、大気中の水蒸気量が世界平均で 5~25%増加すると予測しています。

これらのことから、我が国における短時間強雨の増加傾向には、地球温暖化が関連している可能性がありますが、観測期間が短いことから、地球温暖化との関連性をより確実に評価するためには今後のさらなるデータの蓄積が必要です。

(出典:気象庁『平成26年(2014年)8月の不順な天候について ~異常気象分析検討会の分析結果の概要~』P.5)

すでに地球温暖化で豪雨が増えている可能性はあるが、現時点では確実なことは言えない、ということですね。ただ、IPCCなどの科学的知見では、温暖化のせいでこれから豪雨が増えていくという予測も示されているということです。これまでの豪雨について因果関係の完全な証明が難しいからと言って、これから対策をしなくてよいということにはならないと思います。

「異常気象は温暖化のせいですか?」

地球温暖化問題のことで人と話していると、「異常気象は地球温暖化のせいですか?」と聞かれることがあります(ちなみに、気象庁は異常気象のことを「30年に1回程度で起こる現象」と定義しています)。

科学的には、それぞれの異常気象について、「100%地球温暖化のせいだ!」とは言いきるのは難しいそうです。気候が変わる要因には人間活動のCO2排出による地球温暖化の他にも、自然的なもの(エルニーニョ現象とか)があります。人為的な地球温暖化が進む前にも、たまには、大変な豪雨や熱波は起こったはずです。それに、都市部の猛暑の場合なんかは、ヒートアイランドの効果も無視できません。

「いかさまのサイコロ」のたとえ

この、温暖化と異常気象の関係は難しいのですが、ひとつわかりやすいたとえ話があります。気候ネットワークのシンポジウムにもお招きしたことのある気候学者・江守正多さんの著書『異常気象と人類の選択』(2013年・角川SSC新書)にある「いかさまのサイコロ」の話です。

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サイコロの6の目が「異常気象」だとします。

サイコロを何度も振るといろんな目が出て、たまに6の目も出ます。「異常気象」はふつうのサイコロを振っていても、たまに起こることです。

さて、ここに、6の目が出やすくなるように細工されたイカサマサイコロがあるとします。これが温暖化した気候に対応します(温暖化する前がふつうのサイコロ)。このイカサマサイコロを何度も振るとやはりいろんな目が出て、たまに6の目も出ます。

数回振ったくらいでは、ふつうのサイコロとイカサマサイコロは区別がつきませんが、100回くらい振ると、明らかにイカサマサイコロのほうが6の目が出る回数が多くなることに気が付きます。これが、「温暖化のせいで異常気象が増えているといえるかは長期的に見なければわからない」ということです。

江守正多(2013)『異常気象と人類の選択』P.48-49

このたとえ、わかりやすくないですか?この書籍には、他にも温暖化の科学を考える上で参考になるお話がたくさんありますのでおすすめです。後ろの方の政策に関する話はちょっと違うかも…と思うところもありますが、示唆に富む内容と思います。

因果関係の複雑さを受け止め、乗り越える

こういう、因果関係の複雑さ、説明の難しさは、地球温暖化と異常気象に限った話ではありません。統計的に、たばこを吸う人は肺がんになるリスクが高いことが知られていますが、たばこを吸わない人も肺がんになることがあります。

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私が高校生のとき、ヘビースモーカーな保健体育の先生がいました。保健の授業で「たばこを吸ったらがんになりやすくなるから君たちはたばこはだめだ!」と説明する一方、「でも、俺はがんになってもいいからたばこを吸うんだ!」と言っていて、おいおい…と思った記憶があります。がんになりやすいと知っていながらたばこをやめられないのは、温暖化が進んで異常気象が増えるとわかっていながらCO2を出し続けるのと、少し似ているのかもしれません…。

不確実性がありながらも、リスクがあるのを理解した上でどんな行動を選択するのか?これは、温暖化だけでなく、ありとあらゆる問題につきまとうことです。自分なりに信頼できる科学的知見に学びながら、とるべき選択を考えることが大切なのだと思っています。

 

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