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気候ネットワークCOP4 ニュースレター

 気候ネットワークは、地球温暖化対策に取り組む市民のためのネットワークです。「Kiko」は、温暖化問題の国際交渉の状況を伝えるための会期内、会場からの通信です。今回はCOP4が開催されているブエノスアイレスより、状況紹介を主にお伝えしたものです。

「Kiko(COP4通信)」は、世界の環境NGOの集まりCAN(気候行動ネットワーク)が会議場で発行しているニュースレター「eco」の情報や気候ネットワーク独自の情報を日本人関係者向けに広く発信するために、CANの協力を受けて発行する姉妹紙です。

「Kiko」No.2(1998年11月9日)

 地球温暖化防止京都会議(COP3)では、95年からの国際合意日程に基づいて、京都議定書が採択された。COP4では、京都会議の落とし物である、抜け穴(柔軟性措置)について議論するとともに、今後の新しい国際交渉の枠組みを作ることが求められている。気候ネットワークではCOP3でも発行された「Kiko」通信を発行し、ブエノスアイレスの会議場を取りまく空気を紹介したい。

人工林王国?日本の狙い

 日本政府は10月下旬に、吸収源の定義に新たに加えるべき項目に関する、議定書第3条4項についての提案文書を提出し、2日のSBSTAで紹介した。科学的な議論を求める目配りの効いた装いがなされているが、日本政府が特に望んでいる抜け穴は外していないようだ。 IPCCへの評価依頼提案の最初の2項目を用いて、第一約束期間については育林施業を行っている地域での1990年以前に植林された人工林の成長の内のある程度分を追加させること、そして1990年以降というしばりが第二約束期間以降は取り除かれるはずと解釈することで、第二約束期間に3.7%の目標数値の達成を狙う方針のようだ。木材貿易の影響については態度を決めかねているのか、評価依頼項目には含めているものの、解説は遅れて出すとしている。
 このように、日本に関する項目だけでも森林吸収源に係わる抜け穴の組み合わせの多さからすると、IPCCの特別レポートの後、一気に決めてしまおうとすることは、抜け穴を拡大して非常に危うい。政治が科学を理解するための時間が必要だ。


電力業界はどこへ行く?

 COP4会場で、原子力産業の動きが目立つ。産業NGOの1/3が原子力関係者とも云われ、会場には原発推進の展示やセミナー、若者グループの推進宣言(なんと団体の連絡先は原子力協会)まで花盛り!CDMやJIに生き残りをかけているようだ。
 そんな中の7日、電力中央研究所がワークショップを開き、電気事業連合会などの発言者が日本のCO2削減に原子力が最も重要と強調した。
 曰く、過去25年間に日本の電力供給は1.5倍になったが、原発の建設により単位電力当たりのCO2排出量が20%低下した結果、CO2排出量の増加は 1.2倍に留まった。国民は今後も便利で快適な暮らしを求めており、電力の需要はこれまで通り年2%ずつ増え続け、CO2排出量の90年安定化には原発が不可欠というもの。
 しかし、グラフを見ると別のことが判る。総発電量と原子力は単調に増え続ける一方で、単位電力当たりのCO2 排出量は減少から安定化へと中折れ線を示している。これは特に、1986年の石油価格暴落などの要因を受けた電力会社側の方針転換の影響と考えるべきだろう。過去の、石油からLNG、石炭などへのそれぞれの燃料転換などの実績の影響を伏せて、近年の石炭火発増設計画など温暖化対策に逆行していることこそ問題だ。
 昨年6月の総理府の世論調査では、温暖化対策として、原発を推進するべきと答えたのは6%のみで、国民の9割は現在の暮らしで良いと答え、10年前、20年前の暮らしでも良いとする人も少なくない。
 電力業界が電力需要の増大ではなく、省エネで利益を得られる仕組み作りが必要だろう。


原発の今

 原子力産業は、気候変動の明解な解決策として原発を位置づけようと試みている。しかし、実際には、将来の廃炉対策にかかるエネルギーは、温暖化という重荷をさらに増す、ろばの背の最後の藁ひと束となるものである。原子力は石炭や天然ガスより温室効果ガスの排出量は少ないが、別の同様に長期に及ぶ問題を生み出す。
 原子力は危険であるし、チェルノブイリ、チェリャビンスク、スリーマイル島のような大きな事故は重大な長期にわたる地域へのダメージを与えた。
 核廃棄物は捨てることができない。放射能を永久に貯蔵したり破壊する技術は確立していない。将来世代への遺物となるのである。また原子力の平和利用は核兵器の拡散につながる。
 コスト的には、原発はエネルギーの最小コストプランニングの選択肢にはなりえない。核燃料サイクル全体のコストを入れれば尚更のこと。そして原子力への投資と研究への資金は長期にわたって、再生可能エネルギー資源は勿論、省エネへの投資も妨げてきた。
 公式に脱原発の政策を宣言しているオーストリア、デンマーク、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデンの国々は、省エネと再生可能エネルギーが温暖化の唯一の信頼できる対策であるとはっきり宣言すべきである。(CANのニュースレター「eco」 (11/6)より抜粋)


世界で大災害相次ぐ

 1997・98年はエルニーニョ現象とラニーニャ現象が猛威を振るい、ラテンアメリカと東南アジアに異常な森林火災、洪水、農業被害をもたらした。
 7・8月の間、中国ではここ40年間で最悪の洪水を経験した。長江の氾濫では5000万人以上が家を失い、全被災者は2億3千万人に上る。500万ヘクタール以上の農地も流された。公式発表によると9月の段階ですでに死亡者は3700人、被害額は300億ドルに上る。被害の多くは上流の水源地域と山間部の森林減少によるものであるが、この災害は、気候変動の結果多くの途上国でこのような事態が起こる可能性があることを示している。(CANのニュースレター「eco」(11/4)より抜粋)


「きれいな大気のフォーラム」inCOP4

 COP3京都会議は、日本の市民と地元自治体あげての会議だったが、今回はブエノスアイレスの市民の関心は今一つ。COP4での目標が京都議定書の発効に向けた作業スケジュールを決めようというわかりにくいものであることも原因かもしれない。
 それでも、アルゼンチンのNGOはきれいな大気のフォーラム(Foro Del Buen Ayre)を結成。7日会場で開いたシンポジウムで、国内各地の団体の活動を紹介。
 アルゼンチンのケリー大使からは、COP3での気候フォーラムなど市民の活動を紹介し、市民の役割を説明した。
 アルゼンチン政府は途上国の中で、自主的参加を申し出、CDMに期待するところも大きい。原子力や水力発電など巨大プロジェクトが動き出す可能性がある。国内の温暖化対策に対するNGOの監視が重要との認識も示された。


京都市民からのメッセージ―ブエノスアイレスの市民へ

 地球温暖化防止京都ネットワークから派遣された坂本、畑両氏は、議定書の早期発効を求める京都府・市民の熱意を伝えるため、ブエノスアイレス州政府と同市を訪問。小中学校の環境教育現場にも訪れるなど、市内各地を奔走している。


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