気候ネットワークは、地球温暖化対策に取り組む市民のためのネットワークです。「Kiko」は、温暖化問題の国際交渉の状況を伝えるための会期内、会場からの通信です。今回はCOP4が開催されているブエノスアイレスより、状況紹介を主にお伝えしたものです。
「Kiko(COP4通信)」は、世界の環境NGOの集まりCAN(気候行動ネットワーク)が会議場で発行しているニュースレター「eco」の情報や気候ネットワーク独自の情報を日本人関係者向けに広く発信するために、CANの協力を受けて発行する姉妹紙です。
地球温暖化防止京都会議(COP3)では、95年からの国際合意日程に基づいて、京都議定書が採択された。COP4では、京都会議の落とし物である、抜け穴(柔軟性措置)について議論するとともに、今後の新しい国際交渉の枠組みを作ることが求められている。気候ネットワークではCOP3でも発行された「Kiko」通信を発行し、ブエノスアイレスの会議場を取りまく空気を紹介したい。
COP4会議レポート…第2週目
第2週に入ってこれまで、森林と土地利用に関する決議が採択された他は、相変らず実質的な進展はない。10日(火)は午前4時まで夜通しで排出権取引やCDMなどの柔軟性措置などの協議が続いたが、アメリカ・日本など先進国と途上国の対立はむしろ深まっている。柔軟性措置のメカニズムについて、アメリカなどは決定の時期を決めようとしているが、途上国は議論のはじまりに過ぎないと対立。EUがアメリカと途上国の架け橋になろうとしている。本来ならば日本こそその役割を果たすべきではないか。
11日(水)朝、会議場の空気が少し変わってきた。アルゼンチンのメネム大統領の演説の30分前には傍聴席も含めて満席に。大統領は自主的参加の意思を改めて表明。これがその後の動きにどのような影響を与えるかはまだ判らない。
COP4では議定書を有意義なものとして早期に発効するためのステップとなる合意が必要。今日からの閣僚級会合に期待が高まっている。ロシアのホットエアや南との安価な取引で済ませようとするアメリカ、日本の態度がもっと“柔軟”になることが柔軟性をもたらすだろう。
行く手の見えぬ交渉
柔軟性措置に関する決議案には、今後の方針を定めるべき基本的な原理が一つも含まれていない。しかし全体の目標に関する原理なしでは、交渉はばらばらな方向を向いたままで、前向きには進めないだろう。各柔軟性措置に関する今の「積み上げ」方式はまるで、全体の設計図を作らずに自動車の各部品から作り始めようとするようなものだ。(CANのニュースレター「eco」(11/9)より抜粋)
日本のはなし
日本政府代表団は、議定書の早期批准を求めるCANの声に、アメリカの批准とは関係なく独自に判断する、しかし法的拘束力のある議定書の批准には立法が必要であり、今は批准できる段階にはない、と説明。(しかし政府の意志もあるのでは?)
また、欧米が安全性や廃棄物問題、コストの面から原発をギブアップしているのに、日本はどう解決するつもりか?との質問に「最善を尽くしている」と回答。これで納得したNGOは誰一人いなかっただろう。
G77の関係者も、日本政府の国際交渉に占めている役割はとても少ない、と語っている。日本政府はこの一年、途上国への働き掛けを行ってきたはずなのだが???
南のNGOの声
9日、気候ネットワークの招へい者を含む南のNGO5人が記者会見を行った。各スピーカーから期せずして、日本はアメリカを待つことなく批准し、他国の批准を促すようリーダーシップを発揮すべきだ、との声が続いた。
韓国のSeo Hyung-won氏(KFEM)は、ODAをクリーン開発メカニズム(CDM)に使うべきではないと主張。インドネシアのAgus Sari氏(Pelangi)は、途上国の参加について、世界人口の5分の1に過ぎない先進国が世界の排出量の3分の2を占めており大きな責任があること、ジャカルタでも3人以上乗車していないと車の乗り入れを禁じているなどの例を挙げ、途上国は何もしていないというのは間違いであると指摘。バングラディシュのSaleemul Huq氏(Bangladesh Cetre for Advanced Studies) は、人口の25%が住む国土の20%が洪水の被害にあっており、最善の対策をとっても被害を受け続ける脆弱な国々への支援の考慮も必要だと語った。また CDMへのODAの活用は受け入れられぬと強く主張。フィリピンのSam Ferrer氏(Green Forum Philippines)は、ここまで交渉も批准も進まないことは非常に残念とコメントし、気候変動の問題をもっと認識し、今繰り広げられている危険なゲームを止めなければならないと述べた。インドネシアのSurya Mulandar氏(CANSEA)は、CDMへの森林プロジェクトの利用は、多くの抜け穴の危険性があり問題だと指摘。
途上国は、交渉を先に進め批准を促すために、今こそ日本の強いリーダーシップを期待している。
NGOパフォーマンス
<日本のNGO>
会場の入り口正面で、議定書の目標をサッカーの大小のゴールに見立ててプレー。
<WWF>
首脳の面をつけて取引における札束のやり取りのパフォーマンス。
<地球の友>
世界銀行のプロジェクトでどれが最悪か?の参加者投票。
<韓国のKFEMと学生グループ>
メッセージカードを持ち、無言で会場を練り歩くデモ。
声は確実に届いているはずだが。