2011年8月30日

地球温暖化対策基本法案は継続審議とし、次の臨時国会で早期成立を!?

特定非営利活動法人気候ネットワーク 代表 浅岡美恵

今年3月11日、多くの犠牲を出した東日本大震災と、そして未だ収束の目途が立たない福島第一原発の事故を経験し、この戦後最大の国難を乗り越えるために、最も政治がリーダーシップを発揮し、未来に向けて大きくエネルギー政策の大転換を具現化すべき時であった。しかし、政策よりも政局に翻弄され、与野党対立構造の中で多くの重要政策がたなざらしにされた。今国会に上程されていた「地球温暖化対策基本法案」についても、審議も行われずに成立が絶望的となり、気候変動政策の実施を求める市民の期待は大きく裏切られることになった。

「地球温暖化対策基本法案」は、2009年に民主党が公約にかかげ政権交代を果たした後、同年12月に開催された「気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)」の前に日本としてのポジションを明確に示したうえで、世界の交渉をリードする切り札として期待されていたものである。ところが、そのときの臨時国会では成立が見送られた。2010年通常国会において提出された同法案は、衆議院を通過し参議院での審議がはじまっていたものの、鳩山由紀夫前総理大臣の突然の辞任によって廃案となった。またその内容も、①中期目標25%に「すべての主要な国の公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組み構築と意欲的な目標について合意をしたと認められる日以後」と条件づけをしていること、②日本経団連や連合などの働きかけを受け、総量によることを基本としつつも、原単位指標についても検討の余地を残していること、③原子力発電拡大を図る内容となったこと、など大きな後退も見られた。

今国会では、原発に依存した気候変動政策を抜本的に見直し、「再生可能エネルギー買取法」とともに、再生可能エネルギーの導入目標を設定した法案として与野党が一致団結して法案を通すべきであった。今回、国会がその役割を果たせなかった責任は重い。

今後、基本法案は継続審議とし、この次の臨時国会では必ず成立させる必要がある。そして、新たな野田政権の下、発送電分離などの電気事業改革や脱原発政策を大胆に進めるとともに、今年11月~12月にかけてダーバンで開催される気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)の前に法案を成立させ、世界に向けて脱原発と温室効果ガス25%削減の両立を目指す方針を示していくべきだ。

以上

 

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