オバマ大統領の気候行動計画に際するコメント
~日本にも温暖化対策強化の政治的イニシアティブが必要~

2013年6月26日
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

6月25日、米国のオバマ大統領は温暖化対策の包括的な政策方針を含む「大統領気候行動計画」を発表した。同計画の中で、オバマ大統領は、新規及び既存の発電所に適用するための炭素汚染基準を設けるよう環境保護庁に指示している。また、2020年までに再生可能エネルギー電力を倍増させるため、電力系統を強化する対策を指示するなど、多様な分野の対策に言及している。再生可能エネルギーの活用や厳しい省エネ基準の採用で、新しい雇用、産業を創出しながらCO2を減らしているとも指摘している。

もちろん、気候変動分野の米国の責任を考えれば、この内容は十分とは言えない。また、米国はこの計画を着実に具体化させ実行に移し、実質的な大幅削減につなげる責任を負っている。

しかし、本計画の発表が意味することの重大さは、国を代表するリーダーが温暖化対策強化への明確な政治的なメッセージを発したことにある。これは、日本と対照的である。

安倍首相は、中期目標の25%削減目標を事実上取り下げたばかりか、新たな目標設定の議論も先送りしている。排出量取引制度などの実効性ある対策の具現化にも意欲を見せず、逆にCO2排出量が多い石炭火力発電を推進する流れを容認している。

しかし、気候変動の危機は、目を背ける余裕のないほど深刻化している。省エネの徹底と石炭の低減によって効率的で低炭素のエネルギー社会に切り替え、再生可能エネルギーを大幅に増やすことに、今すぐ大胆に着手しなくてはならない。それが、脱原発と温暖化対策を両立させ、新たな雇用を生み出し、地域経済の活性化につながる道である。

日本の気候変動問題への危機感の欠如、政治的なイニシアティブの欠如は深刻な状況にある。オバマ大統領のイニシアティブを歓迎しつつ、安倍首相には、同等の強い政治的イニシアティブを求めたい。

参考:ホワイトハウスウェブサイト【http://www.whitehouse.gov/

 

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