COP16/CMP6、「カンクン合意」を採択
南アフリカCOP17の最終合意へ、道を拓く

 

2010年12月11日 カンクン
気候ネットワーク

【メキシコ・カンクン】11月29日から始まった、気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP6)・京都議定書第6回締約国会議(CMP6)は、11日、それぞれの締約国会議の下で決議を採択し、会場中が拍手で包まれる中、閉幕した。

開幕するとともに会議の空気に大きなダメージを与えたのは、日本政府の、「いかなる条件、状況下でも京都議定書の第2約束期間の下で目標を書き込むことには絶対合意しない」という強い発言だった。交渉の余地なしと思わせた強硬発言に続き、松本龍環境大臣が到着しても、その姿勢に変化は見られなかったため、各国政府やNGOから、日本政府の非建設的な交渉に強い批判が上がった。

京都議定書の第2約束期間の延長をすることは、米国・中国を含む主要経済国の排出をとらえ、法的拘束力ある枠組みを構築していくための、核となるものである。ここカンクンで、最終的な法的形式については決定することにはならなかったが、京都議定書・気候変動枠組条約それぞれの決定で、コペンハーゲン合意で各国が提出した目標や行動が記載され、京都議定書の下では、第2約束期間の間と空白を空けないよう、削減数値目標設定に向けた作業が必要であることを合意した。これで、第2約束期間の合意をしていく道は開かれ、2つの枠組みを作っていく流れは明らかになった。

また同時に、気候変動枠組条約の下では、先進国・途上国の緩和行動、適応、資金、技術移転、森林減少対策等において、これまで対立していた事項にも合意に至った。緩和行動では、途上国のMRV(計測・報告・検証)、ICA(国際協議と分析)という、行動の「見える化」についてもその方法が具体化され、資金では新しい基金の創設を決めた。適応や技術移転にも具体的な前進があった。もちろん重要事項は多く残されており、COP17まで交渉が続けられることになるが、そこに至るステップとして各国から譲歩を引き出し、カンクン合意を作り上げることが出来たことは、これからに大きな希望を与えるものである。

今回の日本政府の交渉姿勢は決して歓迎されるものではなかったが、最後には、交渉成立に向けて建設的な歩み寄りをし、合意に協力した。これは重要な政治判断である。来年のCOP17の成功を実現するため、日本は、国際的な協力姿勢をもって交渉に臨むよう教訓にすべきだろう。

カンクン合意を受け、国連の多数国間枠組みは、危機を脱し、新たな息を吹き返した。多数国間の枠組みは、世界全体の排出を削減するための最適なフォーラムである。これを軸に、気候変動を防ぐために必要な行動を決めていく必要がある。

そして日本政府は国内に戻り、両方の決議に記載された25%削減のための法案の実現と、具体的な政策として実効的な国内排出量取引制度、再生可能エネルギー固定価格買取制度、地球温暖化対策税の導入にすぐとりかからなければならない。世界はまた動き出した。日本も動き出すときだ。

 

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