コペンハーゲン合意に向けて、今、日本の約束と行動を

 

2008年8月27日 ガーナ・アクラ
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

西アフリカのガーナ・アクラで開催された気候変動枠組条約と京都議定書の特別作業部会が27日に閉幕した。2009年末のコペンハーゲンでの次期枠組みについての包括合意の要素 (先進国の削減の約束と行動、途上国の削減の行動、そのための資金・技術の移転、気候変動の悪影響への適応) について各国の意見がより明確になり、意見交換が進んだ。先行して議論を行っている議定書AWGでは交渉のための論点整理が一歩前進した。また条約AWGでは、途上国の「差異化」に踏み込み、途上国・先進国にとっての問題の性質や相互の関連性、途上国の緩和と適応のために必要な課題が、おぼろげながらであるが見えてきた。

しかし、これらはコペンハーゲンでの包括合意に向けての交渉の準備作業の一部に過ぎない。アクラ会合では、3ヶ月後のポズナンでのCOP14で交渉を加速させていくための緊迫感が圧倒的に欠けていた。議論のスピードアップが何よりの課題だが、そのためには、より一層、論点を絞り、方向性を明確にしていくことが必要である。

残念ながら、日本は途上国の「差異化」の議論を先導したものの、先進国としての日本のさらなる削減を具体的に約束せず、途上国支援のための資金メカニズムについても、世界の動きに対応した提案は何も示さなかった。
 とりわけ、先進国の中期目標設定のためのセクター別積み上げ方式を「世界の共通の方式にする」とした政府の試みには、世界の国々からの厳しい批判が寄せられた。このセクター別積み上げ方式への支持と引き換えで支援するという「クールアース・イニシアティブ」も、世界がダイナミックに低炭素社会に向かう資金の仕組みを構築しようとする苦悩とは外れたものだ。
 日本は97年以降も排出を増加させており、自主行動計画など自主的取組み依存の政策を継続し、電力や鉄鋼など大規模排出源を中心に削減が困難としている。日本政府のセクター別積み上げ方式の提案の意図は、この自ら目標を設定して自主的に取り組む方法をとり続けようとすることにある。
 ポズナン会合に向けて日本政府は、閣議決定で自らを縛り、世界の議論から取り残されていくのではなく、国内制度を整え、バリ合意に沿った中期目標を設定し、資金や技術移転をあわせた提案をすることが必要である。それなくして、交渉の前進に貢献することはできないだろう。

 

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