温暖化防止の次期枠組交渉に関するボン会議閉幕
交渉のスピードアップを!

 

2008年6月13日
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

6月2日~12日、ドイツのボンにおいて、2013年以降の次期枠組みを交渉する2つの特別作業部会(条約AWG2・議定書AWG5.2)及び気候変動枠組条約締約国会議第28回補助機関会合が開催された。
 今回の会合では、ワークショップで資金に関する新しいアイディアが複数提案されるなど、今後の枠組みを作り上げるいい動きが見られたが、交渉自体は、各国が次期枠組みに入れたいものを全て洗い出したリスト(買い物リスト)作りをしたにすぎない。次期枠組交渉は、2009年末の(COP15)コペンハーゲンまであと18ヶ月しかないことを考えると、あまりに遅々とした交渉ペースである。コペンハーゲンまでには政治的に決着すべきことが山ほどある。8月のガーナ・アクラでの特別作業部会では、実際に次期枠組みに盛り込むものを今のリストから絞り込んだ形で決定しなければならない。そして今年末のCOP14(ポーランド・ポズナン)では、法的文書を仕上げる作業、各国が批准をするために必要なレベルの運用細則の交渉を開始できることが期待される。日本政府は米国待ちをしているきらいがあるが、もっとスピードアップして交渉を進めるよう臨まなければならない。

また“買い物リスト”作りの方向性は少々懸念材料である。各国が今後の交渉で入れ込みたいと思うものがやみくもに列記されているからである。例えば、CDMへの原子力利用、CCS利用、森林減少対策利用などもリストの中に含まれている。そのリストだけをみると、いかにも京都議定書から全く離れた新しい法的文書を一から作り直そうとするかのように見える。しかし、次期枠組みは、今、存在する京都議定書の骨組みが基本であり、何でも組み込めるというものではない。抜け穴だらけの仕組みに作り替えるようなことは決して許されない。

会議期間中に、福田ビジョンが発表された。G8を控えた日本のイニシアチブにはボンでも期待が高かっていたが、発表された内容は中期目標を欠き、基準年を1990年から2005年にずらすことによって、過去の排出増加を帳消しにしようとする数字のごまかしであったため、国際社会からは多くの失望の声があがった。加えてキャップをかけた国内排出量取引の導入を決意しなかったことにも、日本への期待を裏切られたという見方が強い。
 日本は、今後の交渉に向けて、2020年に90年比25~40%削減をする方針を早急に固め、その強い決意をもってG8に臨まなければならない。

現地問合せ:平田仁子(49-173-411-8076)、川阪京子(49-157-759-55764)

 

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