●経産省、将来の温暖化防止の枠組みの議論を開始
経産省の産業構造審議会環境部会地球環境小委員会は11日の会合から、2013年以降の将来の枠組みに向けた検討を早くも開始した。京都議定書上は次の目標についての検討は2005年から開始することになっているが、経産省は、今後の交渉に相当の時間を要すること、米国の方針転換は容易でないこと、などから日本が率先してイニシアチブを発揮することが重要だとしている。米国・途上国の参加を得るためのプロセスなどが今後の検討事項とされ、来年夏頃まで議論する予定(問合せ:経済産業省地球環境対策室
TEL:03-3501-7830)。こうした動きの背景には、次の目標設定を日本にとって有利なものにしたいという意向や、国内の産業界が強く要望する米国復帰を実現するためには途上国の参加が不可欠だとする考えがある。一方で今も日本のCO2排出は増え続けており、6%削減達成のための国内対策強化を検討することがまず先ではないだろうか。
●日本政府、京都メカニズムの申請受付を開始
政府の「京都メカニズム活用連絡会」は、「共同実施(JI)及びクリーン開発メカニズム(CDM)に係る事業の承認に関する指針(案)」の意見募集を経て、16日に同指針を決定した。これを受け、環境省等関係5省庁は18日から承認申請の受付を開始した。指針・意見募集結果は環境省ホームページ
(http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3669)で見られる(問合せ:環境省地球温暖化対策課
TEL:03-5521-8330)。経産省は、受付を開始した18日、既に2件の申請があったことを公表している。これらは日本で初めての承認申請案件となる。案件は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のカザフスタンでの「熱電併給所省エネルギーモデル事業(JI)」(129号(7/10)参照)と豊田通商株式会社のブラジルでの「V&M
Tubes do Brazil 燃料転換プロジェクト(バイオマス利用の鉄鋼生産、CDM)」で、政府は約1ヶ月で申請への結論を出すとしている(問合せ:経産省地球環境対策室
TEL:03-3501-7830)。ただカザフスタンは現在、議定書上では途上国に分類されているので、共同実施としての申請は現状からするとおかしい。
●産業界のCO2排出、生産量減少で微減
日本経済団体連合会は17日、環境自主行動計画の温暖化対策編について2001年度のフォローアップを発表した。今回で5回目で、参加業種の出入りや再編があり参加は34業種となった。この34業種のCO2排出量は、1990年度の日本の総排出量の44.7%を占める。これら34業種の2001年度のCO2排出量は4億8370万トン(CO2換算)で、前年度比で2.9%減、90年度比で3.2%減となっている。34業種中CO2排出量が90年度比で減少しているのは21業種であった。エネルギー多消費産業の代表である鉄鋼業の粗鋼生産量は2001年は90年比8.6%・前年比4.5%の減少、セメントも同様に90年・前年より生産減、紙・板紙(製紙業)とエチレン(化学工業)は90年比では生産増だが前年比は減少となっており、CO2排出減も生産減に伴う当然の成り行きと言える。概要は「http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2002/064/index.html」で見られ
る。なお今回は概要版のみの発表で、11月下旬に詳細版が出る予定。
また、経団連が設けた環境自主行動計画第三者評価委員会は8日に初会合を開いた。来年2月にレビュー結果を取りまとめる予定。(問合せ:経団連 TEL:03-3279-1411(代))
●どうなるエネ特会見直し、経産省は案の公表を
経済産業省資源エネルギー庁が所管している2つのエネルギー特別会計の見直しの報道が続出している(日経・週刊「エネルギーと環境」10/17、電気新聞11/18など)。報道には齟齬も見られるが総合すると以下の通り。課税面では、現行の石油税の原油への税額を基準に、その3/5をエネルギーセキュリティ分・2/5を環境分と分け、環境分については原油の税額の2/5に見合った額を炭素含有量に比例して各化石燃料に課す。石炭はエネルギーセキュリティ分がゼロとされ、税率は石炭1トン当たり752円とされる。天然ガスの税率も上がるが石油は変わらない。使途面では、環境関連(省エネ・新エネ等)の歳出を石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一本化し、電源開発促進対策特別会計は縮小、同特会の財源である電気料金に課されている電源開発促進税は引き下げる。両特会を合わせた総税収については、変わらないとの報道と500億円程度増えるとの報道があり、はっきりしない。
これに対し日本経済団体連合会は、18日に開いた会合で経産省検討の石炭課税に反対する見解をまとめ近く経産省に伝える、と報道されている(朝日他10/19)。環境NGOはCO2排出への影響を注視しており、懸念していた排出増につながる石油への税の引き下げなしで石炭に税が課されるならその点は評価できるが、見直しの全体像が見えないと総合的な評価はできない。11月初めの経済財政諮問会議に案が示されると報道されているが、経産省は早急に案の全体を公表し、各方面の意見を聞くべきである。
●環境省、温暖化対策モデル事業11件を採択
環境省は21日、地球温暖化対策地域協議会が企画・実施する地域の特性に則した地球温暖化対策を対象に、温暖化対策診断モデル事業・5件と脱温暖化モデルプロジェクト・6件を採択した。(問合せ:環境省地球温暖化対策課
TEL:03-5521-8249、 http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3677)
●事業者からも新エネ特措法に厳しい評価、市民委
「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(GEN)は、「自然エネルギー市民委員会 〜 新エネ利用特措法を検証する〜」の第2回会合を24日に開催した。風力発電事業者懇話会の堀俊夫氏と東京電力の吉田恵一氏がそれぞれの立場から同法についてコメントし、宮城県自然エネルギー等・省エネルギー促進条例について同県議会議員の遊佐雅宣氏が報告し、意見交換を行った。当日資料はGENのホームページ
(http://www.jca.apc.org/~gen)で見られる。第3回は11月28日15時から。(問合せ:GEN TEL:03-5366-1186)
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