Hot Talk Now!?(ほっとくの!?)温暖化
気候ネットワーク E-mailニュース 2002年10月25日<第136号>
  私たちはめざします
 1:抜本的な国内政策で京都議定書の6%削減を!
 2:環境重視の社会経済システムを!
 3:市民・地域主導で温暖化防止の促進を!
 4:政策決定プロセスに市民の参加と情報公開を!
 5:南北の公平をめざし、南の人々と連携を!
 
  政府・国会・NGO関連

経産省、将来の温暖化防止の枠組みの議論を開始
 経産省の産業構造審議会環境部会地球環境小委員会は11日の会合から、2013年以降の将来の枠組みに向けた検討を早くも開始した。京都議定書上は次の目標についての検討は2005年から開始することになっているが、経産省は、今後の交渉に相当の時間を要すること、米国の方針転換は容易でないこと、などから日本が率先してイニシアチブを発揮することが重要だとしている。米国・途上国の参加を得るためのプロセスなどが今後の検討事項とされ、来年夏頃まで議論する予定(問合せ:経済産業省地球環境対策室 TEL:03-3501-7830)。こうした動きの背景には、次の目標設定を日本にとって有利なものにしたいという意向や、国内の産業界が強く要望する米国復帰を実現するためには途上国の参加が不可欠だとする考えがある。一方で今も日本のCO2排出は増え続けており、6%削減達成のための国内対策強化を検討することがまず先ではないだろうか。

日本政府、京都メカニズムの申請受付を開始
 政府の「京都メカニズム活用連絡会」は、「共同実施(JI)及びクリーン開発メカニズム(CDM)に係る事業の承認に関する指針(案)」の意見募集を経て、16日に同指針を決定した。これを受け、環境省等関係5省庁は18日から承認申請の受付を開始した。指針・意見募集結果は環境省ホームページ (http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3669)で見られる(問合せ:環境省地球温暖化対策課 TEL:03-5521-8330)。経産省は、受付を開始した18日、既に2件の申請があったことを公表している。これらは日本で初めての承認申請案件となる。案件は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のカザフスタンでの「熱電併給所省エネルギーモデル事業(JI)」(129号(7/10)参照)と豊田通商株式会社のブラジルでの「V&M Tubes do Brazil 燃料転換プロジェクト(バイオマス利用の鉄鋼生産、CDM)」で、政府は約1ヶ月で申請への結論を出すとしている(問合せ:経産省地球環境対策室 TEL:03-3501-7830)。ただカザフスタンは現在、議定書上では途上国に分類されているので、共同実施としての申請は現状からするとおかしい。

産業界のCO2排出、生産量減少で微減
 日本経済団体連合会は17日、環境自主行動計画の温暖化対策編について2001年度のフォローアップを発表した。今回で5回目で、参加業種の出入りや再編があり参加は34業種となった。この34業種のCO2排出量は、1990年度の日本の総排出量の44.7%を占める。これら34業種の2001年度のCO2排出量は4億8370万トン(CO2換算)で、前年度比で2.9%減、90年度比で3.2%減となっている。34業種中CO2排出量が90年度比で減少しているのは21業種であった。エネルギー多消費産業の代表である鉄鋼業の粗鋼生産量は2001年は90年比8.6%・前年比4.5%の減少、セメントも同様に90年・前年より生産減、紙・板紙(製紙業)とエチレン(化学工業)は90年比では生産増だが前年比は減少となっており、CO2排出減も生産減に伴う当然の成り行きと言える。概要は「http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2002/064/index.html」で見られ る。なお今回は概要版のみの発表で、11月下旬に詳細版が出る予定。
 また、経団連が設けた環境自主行動計画第三者評価委員会は8日に初会合を開いた。来年2月にレビュー結果を取りまとめる予定。(問合せ:経団連 TEL:03-3279-1411(代))

どうなるエネ特会見直し、経産省は案の公表を
 経済産業省資源エネルギー庁が所管している2つのエネルギー特別会計の見直しの報道が続出している(日経・週刊「エネルギーと環境」10/17、電気新聞11/18など)。報道には齟齬も見られるが総合すると以下の通り。課税面では、現行の石油税の原油への税額を基準に、その3/5をエネルギーセキュリティ分・2/5を環境分と分け、環境分については原油の税額の2/5に見合った額を炭素含有量に比例して各化石燃料に課す。石炭はエネルギーセキュリティ分がゼロとされ、税率は石炭1トン当たり752円とされる。天然ガスの税率も上がるが石油は変わらない。使途面では、環境関連(省エネ・新エネ等)の歳出を石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一本化し、電源開発促進対策特別会計は縮小、同特会の財源である電気料金に課されている電源開発促進税は引き下げる。両特会を合わせた総税収については、変わらないとの報道と500億円程度増えるとの報道があり、はっきりしない。
 これに対し日本経済団体連合会は、18日に開いた会合で経産省検討の石炭課税に反対する見解をまとめ近く経産省に伝える、と報道されている(朝日他10/19)。環境NGOはCO2排出への影響を注視しており、懸念していた排出増につながる石油への税の引き下げなしで石炭に税が課されるならその点は評価できるが、見直しの全体像が見えないと総合的な評価はできない。11月初めの経済財政諮問会議に案が示されると報道されているが、経産省は早急に案の全体を公表し、各方面の意見を聞くべきである。

環境省、温暖化対策モデル事業11件を採択
 環境省は21日、地球温暖化対策地域協議会が企画・実施する地域の特性に則した地球温暖化対策を対象に、温暖化対策診断モデル事業・5件と脱温暖化モデルプロジェクト・6件を採択した。(問合せ:環境省地球温暖化対策課 TEL:03-5521-8249、 http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3677)

事業者からも新エネ特措法に厳しい評価、市民委
 「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(GEN)は、「自然エネルギー市民委員会 〜 新エネ利用特措法を検証する〜」の第2回会合を24日に開催した。風力発電事業者懇話会の堀俊夫氏と東京電力の吉田恵一氏がそれぞれの立場から同法についてコメントし、宮城県自然エネルギー等・省エネルギー促進条例について同県議会議員の遊佐雅宣氏が報告し、意見交換を行った。当日資料はGENのホームページ (http://www.jca.apc.org/~gen)で見られる。第3回は11月28日15時から。(問合せ:GEN TEL:03-5366-1186)

  科学・技術関連

キリマンジャロから氷河が消える…
 タンザニアにあるアフリカ大陸最高峰キリマンジャロの山頂の氷河が、20年以内に完全に消滅する恐れがあるとの調査結果を、米オハイオ州立大学の氷河学者ロニー・トンプソン教授らが18日付けの米科学誌サイエンスに発表した。キリマンジャロ山頂の氷河の面積は、1912年の12平方キロメートルから2000年には2.6平方キロメートルと80%も減少、このまま温暖化が進めば2015〜20年に過去1万年間で初めて、完全に消えてしまうという。トンプソン氏は「氷河がなくなると乾期に氷河から流れる水に頼っていた地元の人々に深刻な影響がある」としている。(各紙10/18)

  国際動向関連

COP8、11月1日までニューデリーで開催中
 23日より、インドのニューデリーでCOP8(気候変動枠組条約第8回締約国会議)が始まった。地球産業文化研究所は、会議の日報(Earth Negotiation Bulletin(ENB=英語)、http://www.iisd.ca/linkages/climate/cop8/)の日本語訳を随時ホームページに掲載している(http://www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/copinfo.html)。また全国地球温暖化防止活動推進センターもホームページで会議情報をアップしている (http://www.jccca.org/)。気候ネットワークでは現地から数回のNGOニュース「Kiko」を発信しホームページに掲載する。今回の会議は京都議定書発効前であり、大きな論点は少ないが、最後の2日間の閣僚級ラウンドテーブルで採択される予定の「デリー宣言」にいかなる内容が含まれるかが注目されている。日本の環境NGOからは十数名が参加し交渉をウォッチしている。(問合せ:気候ネットワーク)

議定書発効は来年夏頃か?―ロシアの動向
 ロシアのフリステンコ副首相は14日、モスクワで開かれた日ロ貿易経済政府間委員会の席上で、京都議定書のロシアの批准が早くても来春以降になるとの見通しを示した。副首相はロシアの批准に必要な条件として(1)議定書の内容と国内法との合致、(2)議定書発効による経済効果の分析の2点を挙げ、年末までに国内法の改正案を出し、来春に下院で審議するとの国内手続きを明らかにした(共同 10/14、NHK 10/15)。このペースでいけば発効は来年の夏頃となり、2003年10月のCOP9は、議定書発効後の最初の議定書締約国会議(COP/MOP1)と兼ねることになる。なお議定書の批准は、新たにエストニア(0.3%)を含む96ヶ国に上り、批准した先進国の90年CO2排出総量計に占める割合は37.4%となっている(16日現在)。

ドイツ「EU全体で2020年30%削減」提案へ
 先の総選挙で社会民主党(SPD)と90年連合・緑の党の連立政権の続投が決まったドイツ政府は、EU全体の2020年の温室効果ガスの排出削減目標を90年比30%とすることを提案していく方針であることが報道されている。ドイツは、国内では2020年までに40%削減する目標を掲げている(ENDS 10/11)。

 

  各種お知らせ

第21回エネルギー未来技術フォーラム
   地球温暖化について考える
日時:2002年10月29日(火)13:30〜17:15 入場無料
場所:イイノホール(飯野ビル7F)(東京・千代田区)
発表:科学的にどこまでわかっているか(丸山康樹・我孫子研究所)
   地球にやさしいエネルギーの利用とは(中岡章・参事)
   京都議定書にどう取り組むか(杉山大志・経済社会研究所)
コメンテーター:畑直之(気候ネットワーク)、植田和弘(京都大学)、秋庭悦子 (日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)
申込み(先着順):E-mail:www-pc-ml@criepi.denken.or.jp
(会社・部署・役職・氏名・連絡先記入のこと)
主催:(財)電力中央研究所 TEL:03-3210-6610(代)

COP8報告会(in京都)
日時:11月8日(金)18:30〜20:45
参加費:会員無料、一般500円
場所:ウィングス京都セミナー室B(京都市中京区)
報告者:浅岡美恵(気候ネットワーク代表)ほか
問合せ:京都事務所

地球温暖化を防止する炭素税について考えてみよう!
―ライフスタイル見直しフォーラム 課題別フォーラム―
日時:11月24日(日)13:00〜16:00 参加費:無料
場所:新宿パークタワー16F 202会議室(東京・新宿区)
内容:炭素税は本当に温暖化対策に役にたつ?/こんな仕組みを考えてみました…市民の炭素税提案/市民はこんなふうに感じている…炭素税についてのアンケートの結果
主催:気候ネットワーク/全国消費者団体連絡会/日本生活協同組合連合会
問合せ:東京事務所

予告!『よくわかる地球温暖化問題』全面改訂版もうすぐ発売!
 ご好評を頂いている気候ネットワーク編集の『よくわかる地球温暖化問題』(中央法規出版、税抜き1800円)が、国際的にはボン・マラケシュ合意、国内では新しい地球温暖化対策推進大綱や長期エネルギー需給見通しなどを盛り込み、最新データで全面改訂しました!。しかも15ページも増えたのに値段は据え置き!。旧版を持っている人も持っていない人も、座右に必須です!。11月中〜下旬には店頭に出る予定ですので、お楽しみに!

  お問い合わせはこちらへ
気候ネットワーク(東京事務所)
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-7-3半蔵門ウッドフィールド2階
Tel. 03-3263-9210, FAX. 03-3263-9463 E-mail. tokyo@kikonet.org
URL. http://www.jca.apc.org/kikonet/