●エネ特会、石炭課税・共管で経産・環境省合意
経済産業省資源エネルギー庁と環境省は15日、2つのエネルギー特別会計の見直しに合意した。同日の経済財政諮問会議に提出された概要など一般に公表されている資料は、環境省ホームページ
( http://www.env.go.jp/policy/info/energy/index.html)で見られる。ただこれらの一般公表資料には税率・税収額などはないので、報道情報と合わせた見直しの概要は以下の通り。課税面では、石油税について、従来非課税だった石炭に1トン当たり700円を課税、石油は据え置くが天然ガスは若干税率を上げる。一方で電源開発促進税は若干税率を下げる。これにより幅はあるものの2つの特会の税収総額はほぼ現在と同程度となる。使途面では、2つの特会を合わせて見ると大枠はそれ程変わらない。また石油特会を両省の共管化とし、石油税の増税による増収分の半分は環境省が地球温暖化対策に使う。見直しは来年10月から実施するが税率は2007年までに段階的に引き上げる。なお今回の見直しは環境税とは性格を異にするものであり、CO2抑制を主目的とする税は今後引き続き検討することも確認された。
これに対し気候ネットワークも参加する炭素税研究会は23日コメントを発表(気候ネットワークホームページ)、かねてから環境NGOが主張してきた石炭課税が不十分ながらも導入されることは評価しつつも、「長期固定電源への支援の重点化」と称する原発支援に反対を唱え、
CO2抑制を主目的とする炭素税の早期導入を求めている。
●政府税調来年度向け答申、環境税は進歩なし
政府税制調査会は19日、「平成15年度における税制改革についての答申−あるべき税制の構築に向けて−」(財務省ホームページ・ http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/141119a.htm)を小泉首相に提出した。答申には、道路特定財源は一般財源化を含め見直すべき、「環境税」は国民の理解と協力を得て積極的に導入を検討するなどとあり、昨年と余り変わっていない。
●温室効果ガス排出量算定、速報値は翌年夏にも
25日、環境省の温室効果ガス排出量算定方法検討会が開催され、今年5月の地球温暖化対策推進法の改正において国全体の温室効果ガスの排出量(インベントリ)をIPCCガイドラインに基づき算定することになったのを受け、従来の同法施行令の算定方法から一部見直し・変更を行うこととした。また現在、総排出量の確定が翌々年度の7月頃となっており、条約事務局への提出期限には3ヶ月程遅れているため、提出期限の遵守を目指し、算定迅速化と速報値の算出方法について提案された。それによると速報値は翌年の夏頃に発表できることになり、大綱の第1ステップ(〜2004年)の評価見直しについては、2004年の夏頃に発表される2003年の速報値をもとに2004年中に行うスケジュールとなる。(問合せ:環境省地球温暖化対策課
TEL: 03-5521-8249)
●新エネ特措法の利用目標を部会が了承
22日、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会が開かれ、経済産業大臣から諮問された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」の利用目標について、事務局の資源エネルギー庁より前回示された案(2010年度で122億kWh)を了承した。基準利用量の計算方法など細部に関しては複数の委員から異論が残ったが、諮問事項である目標量そのものについては、「小さすぎる」と主張する飯田哲也委員(「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(GEN)代表)以外に異論はなく、部会として了承となってしまった(問合せ:資源エネルギー庁新エネルギー等電気利用推進室
TEL:03-3501-4031)。
なお15日まで行われた2つのパブリックコメントでは、細則の方に226件、利用目標の方に130件の意見が寄せられた。部会で説明はされたものの、提出された意見を受けての修正は皆無であった。なお、GENはパブリックコメントに提出された意見のうちGENに寄せられたものをホームページ上に掲載している
(http://www.jca.apc.org/~gen/)。
またGENが主催する自然エネルギー市民委員会の第3回会合は28日に開催され、事業者からの報告や討論などを行う(傍聴可能)(問合せ:GEN
TEL:03-5366-1186)。
●改正省エネ法の工場・事業場基準でパブコメ中
経済産業省資源エネルギー庁は、5月に成立した改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)の工場・事業場の判断基準についてのパブリックコメントの募集を行っている(http://www.meti.go.jp/feedback/index.html)。オフィスの対
象拡大などの法改正に対応したもので、総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会工場判断基準小委員会の中間とりまとめに対するもの。締め切りは29日。なお別途、同法律施行令の一部改正案に関するパブリックコメントも行われている(http://www.meti.go.jp/feedback/data/i21119aj.html)。こちらは12月3日締め切り。(問合せ:資源エネルギー庁省エネルギー対策課
TEL:03-3501-9726)
●環境省が三重県と排出量取引シミュレーション
環境省は18日、国内の排出量取引制度の実験として、三重県と共同して「排出量取引シミュレーション事業」(三重県事業名:三重県型CO2排出量取引制度提案事業)を実施することを発表した。三重県と事業に賛同する県内立地の複数の企業等(約30事業所)が連携しながら、各参加企業の排出量の把握方法や削減戦略についての検討を行い、参加企業の削減対策による温室効果ガス削減量や森林整備によるCO2吸収量等をクレジットとみなし、それを売買する市場をコンピューター上に仮想的に設置する。各企業はこの仮想市場に参加し、自社の削減コストを勘案しながらクレジットの売買を行う。シミュレーションは1月に行い、2月中に報告を作成する(問合せ:環境省地球温暖化対策課
TEL:03-5521-8249)。森林吸収を対象にすることによって、精度が下がるなどの問題が起こることが予想されそうだ。
●東京都がCO2排出削減義務化を検討
東京都は15日、「温暖化阻止!東京作戦」の第2ステージとして、「都市と地球の温暖化阻止に関する基本方針−“2つの温暖化”の阻止に向けた新たな挑戦−」を発表した。地球温暖化とヒートアイランドの両方を阻止するために、6つの挑戦(挑戦1・オフィスなどの大規模事業所にCO2排出量削減を義務化、挑戦2・新築建築物に対し、より高い省エネルギー性能の達成を義務化、挑戦3・消費者に省エネルギー情報が確実に伝わるしくみづくりを推進、挑戦4・自動車に起因するCO2排出量削減対策を強化、挑戦5・再生可能エネルギーへの利用転換を促進、挑戦6・まちづくりと一体となったヒートアイランド対策を推進)を掲げている。このうち挑戦1〜3は、環境審議会で検討し2003年1月を目途に取組方針を策定するとしている。国の対策が不十分であるのに対して東京都が率先して実効性のある政策を実現することができれば、国全体へ影響を及ぼす可能性があり、行方が注目される。(問合せ:東京都環境局総務課企画課:TEL:03-5388-3517、http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/sgw/index.html) |