2004年9月30日

ロシアの批准で、「京都議定書」発効へ

気候ネットワーク 代表 浅岡 美恵

本日30日(日本時間午後4時頃)、ロシア政府が閣議を開き、京都議定書の批准案を下院に提出することが決定される見通しである。露下院は大統領与党が議席の3分の2を占めることから、批准が承認されることは確実視されている。
 これにより、1997年のCOP3開催から6年10ヶ月という、予想以上の長い年月を要したが、米国の離脱を乗り越えて、京都議定書の発効が現実のものとなってきた。

京都議定書は、地球温暖化防止に取り組む唯一の国際的枠組みであり、今後大きな削減を導くための重要な第一歩である。気候ネットワークは、京都議定書の採択から今日まで、継続してこの実現に向けて取り組んできた。ようやく発効が確実になったことを心から歓迎する。

京都議定書の発効は、日本が約束した「基準年から6%削減」を国際法の下で確実に達成しなければならないことを意味し、2002年に批准を済ませている日本にとっても重要な進展である。
 COP3の議長国として、日本が京都議定書を遵守することは当然のことであり、2013年以降の更なる削減に向けても先導的な役割を果たす必要がある。

おりしも国内では今年、「地球温暖化対策推進大綱」の評価見直し作業が進められている。しかし、現状のままでは6%の目標達成に到底及ばないことは明らかにもかかわらず、対策の先延ばしや、政策強化を回避しようとする動きが産業界から強まっている。
 これ以上の責任の押し付け合いや対策の先延ばしは、日本の目標達成を危うくするだけでなく、温暖化防止型社会の構築を遅らせるだけである。直ちに、地球温暖化対策の抜本的対策強化が不可欠である。実効性の高い政策措置としての炭素税の導入や、効率規制、排出量の把握・公表制度等の導入を急ぐべきである。

また、地球温暖化対策推進法では、京都議定書の発効後に、「京都議定書目標達成計画」が策定されることになっている。同計画は、「地球温暖化対策推進大綱」の密室協議プロセスや対策不十分の問題を引きずることなく、透明なプロセスで、市民・国会の参画を確保したものとするべきである。

 

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