2007年12月15日

バリ・ロードマップに合意
危険な気候変動を回避するために先進国は25~40%削減が必要と明示

 

気候ネットワーク

インドネシア・バリ島で開催されていた第13回気候変動枠組条約締約国会議及び第3回京都議定書締約国会合(COP13/CMP3)は、15日、2013年以降の次期枠組みについて、2009年までの正式な交渉プロセス「バリ・ロードマップ」を開始することに合意した。

日本政府は、「全ての国が参加する枠組み作り」という基本方針の下、ブッシュ政権が合意できるよう中身のないプロセスだけを始めることを志向し、ブッシュ政権に寄り添う立場をとり続けた。これは、日本の産業界の要請に応えるものでもあり、大幅削減への道筋を不確実にし、京都議定書の核である先進国の排出削減目標を深掘りする方向性も危うくするものだった。こうした日本の姿勢は、COPの場で激しい非難の的となった。

結果的に「バリ・ロードマップ」は、条約の下では米国の妨害や日本のこれに同調する動き、一部途上国の反対によって、今後の削減レベルの数字を明示したものとはならなかった。先進国については、数量化された排出削減目標を含む、測定・報告・検証可能な当該国にとって適当な排出削減約束または行動を、途上国には当該国にとって適当な排出削減行動を求めた。1年前にはみられなかった途上国の自ら行動する前向きな姿勢とロードマップを作ることへの強い意欲に対し、米国も最後には合意を受け入れた。

一方、京都議定書の下での特別作業部会(AWG)では明確に、今後10~15年で排出のピークを迎えてその後2050年までに大幅に削減する必要があること、また、締約国に対しては2020年に90年比25~40%削減が必要であることなどをはっきり明示した。

IPCC第4次報告書の知見に応えて、今後、究極の目標にいたる大幅削減が必要であることを確認した「ロードマップ」が走り出すことは重要な一歩だ。この合意を受け、各国政府は、科学が示す緊急性と各国の市民の強い期待とプレッシャーに応え、今後2年の交渉を迅速にまた集中的に進め、先進国の絶対量での削減目標の深掘りを進め、途上国の意味ある行動を促すものとして、2009年までの合意を実現しなければならない。

2年後に合意される日本の排出削減目標は、AWGに明示されたことを受け、排出絶対量で2020年に1990年比で少なくとも30%削減を目指すものであるべきである。昨日、日本では、経済産業省と環境省の審議会合同会議で、京都議定書目標達成計画の見直しの最終報告案が示された。「経団連自主行動計画」をその中核と位置づけ、今後も従来どおり継続し、目標達成の不足分を「国民運動」に求めるというものである。「経団連自主行動計画」は、まさに、最終日前夜に提案された、自国の都合で目標のあり方を自由に決められるという米国提案そのものである。検証できない報告は到底「厳格なレビュー」とはいえない。このような自主的な取組みでは国際社会の新しい潮流に対応できない。

時代は大きく動いている。来年にはアメリカも大きく変わるであろう。

来年のG8サミットは、日本が気候変動問題に対して大きな一歩を踏み出し、それを国際的に示すことのできる重要な機会となる。そこに備えて日本は、日本としての中長期目標を定め、「経団連自主行動計画」のような検証不可能な自主報告制度の継続を改め、キャップ&トレード型排出量取引や炭素税の導入を早急に実現しなくてはならない。

以上

発表資料

 

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