「コペンハーゲン・アコード」
2010年 野心的な法的拘束力ある合意を
日本は国内法の整備を急ぐべき

 

2009年12月19日 コペンハーゲン
気候ネットワーク代表 浅岡美恵

2007年のCOP13で、科学の要請する削減の経路を認識し、COP15での2013年以降の世界の新たな枠組みづくりを確認した。そのCOP15に世界から数万の人々が集まり、地球温暖化を防止するための公正で、野心的で、法的拘束力のあるコペンハーゲン合意を法的文書として採択することを期待し、交渉を見守ってきた。

18日夜、「コペンハーゲン・アコード」と名づけられた文書案が首脳らによって発表され、19日朝、締約国会議で留意(テイクノート)するとされた。一部の国が策定過程の透明性や、手続きをめぐって議長に強く抗議し、議事が混迷した結果の措置である。しかも、「アコード」の内容はこれからの気候変動を防ぐために十分なものではない。

アコードでは、世界の気温上昇を2℃以下にとどめることを認識するとしたが、2050年長期安定化目標やピークの年に関して言及がなく、先進国の中期目標の数字も盛り込まなかった。また、100カ国以上の国から集まった首脳たちは、決着を図るべきであった多くの主要論点についても解決できず、実質合意を先延ばしし、最終決着期限も示せなかった。首脳たちが繰り返し強調したように、もはや議論の時ではない。法的文書に高めるにあたって、気候保護を確実にするものに強化しなければならない。
 また、今回のCOPでは、NGOの参加にも課題を残し、緊急性を増す気候変動への対応として、世界の市民の期待を大きく裏切ることとなったことは残念である。

日本が実効性のある国際合意づくりにリーダーシップを発揮するためには、まず自国の排出削減を確実にすることが不可欠である。鳩山政権は、90年比25%削減を打ち出し、国際合意の機運を高めることに貢献した。今後は、鳩山政権が表明してきた2050年80%削減、2020年25%削減目標を掲げ、その目標達成のための制度として、発電所の排出を直接排出でとらえる事業所に総量で排出上限枠を設けて行う義務参加型国内排出量取引制度、炭素税及びすべての再生可能エネルギーの固定価格買取制度を含む地球温暖化対策基本法を次期通常国会で制定し、わが国の低炭素経済への道を開くとともに、COP16でコペンハーゲン・アコードを強化して国際合意を得ることに貢献すべきである。

 

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