<プレスリリース>

バタン石炭火力発電所の中止を

2015年3月19日

 

「バタン石炭火力発電所の中止を」

地元コミュニティー、日本・インドネシアの環境団体が東南アジア最大級の石炭火力発電所計画に抗議

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 ジャカルタ/東京発 ― 本日、日本、および、インドネシアの環境団体は影響を受けるコミュニティーのメンバーと共に、両政府、および、国際協力銀行(JBIC)に対し、インドネシア・バタン県における東南アジアで最大級となる石炭火力発電所の建設計画を中止するよう求めました。

 FoE Japan、気候ネットワーク、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)、グリーンピース・インドネシアは、コミュニティーのメンバーとともに、日本政府、JBIC、伊藤忠商事、および、電源開発(J-Power)に、コミュニティーの懸念を伝えようと声をあげました。「日本の市民社会は、この石炭を利用する汚染エネルギー開発事業により影響を受けるインドネシアの人びとと肩を並べて協力していきます。私たちはどこであっても、人権侵害や公害を引き起こす事業に私たちの公的資金が投じられるのを看過すべきではありません。」と、FoE Japanの波多江秀枝は述べました。

 これまでに、日本政府とJBICは、中ジャワ州バタン県で計画されている同バタン石炭火力発電事業への支援を公約していますが、同事業は漁民や農民の生活の糧、また、環境を破壊するとの懸念がコミュニティーからあげられてきました。

 この巨大なバタン石炭火力発電事業は、建設予定地で様々な問題を引き起こしてきました。脅迫、人権侵害、平和的な反対活動を行なっていた住民への法的措置(犯罪者扱い)、違法な土地収用など、同事業には腐敗が蔓延してきました。グリーンピース・インドネシアは本日の記者会見の場で、こうした人権侵害等の最新情報を報告しました。

 同事業は、脅迫や暴力等にもかかわらず、勇敢にも事業者への土地売却を拒否してきた地元コミュニティー・地権者の強い反対により、2012年から2014年まで融資調達期限の3度の延期を強いられてきました。

 つい最近では、インドネシア電力公社(PLN)のソフィアン・バシル長官が、まだ拒否している地権者に土地を売却するよう求めるため、バタン現地を訪れました。バシル長官はある地権者(反対派の主要リーダーの一人であるチャヤディ氏)の家まで訪れましたが、同リーダーは彼の土地の売却を強く拒みました。

 現在、同石炭火力発電所の建設に必要な土地226ヘクタール中、約10%が未売却のままです。地権者らは生活の糧を失うことを恐れ、土地の売却を拒んでいます。

 「繰り返しになりますが、私たちは自分たちの村でバタン石炭火力発電所が建設されることに強く反対します。ジョコウィ大統領は、大統領選で彼を強く支持した私たちの意見を聞くべきです。100%近くのバタン県の住民が、彼なら私たちの声を聞いてくれるだろうと信じ、彼に票を投じたのです。食料安全保障を優先事項に掲げるジョコウィ大統領が、ジャワ島において最も肥沃で生産力のある私たちの農地や海に配慮してくれると、私たちは信じています。同地は汚染エネルギーのために利用されるべきではなく、食料国家主権というジョコウィ大統領のビジョンを達成するために利用されるべきです。」と、コミュニティーのリーダーであるロイディは述べました。

 バタン石炭火力発電所の予定地は、周辺地域の農民や漁民の肥沃な水田、また、非常に生産力のある漁場のなかにあります。コミュニティーのメンバーは、同発電所が建設されれば、こうした生活の糧が破壊されると懸念しています。

 「インドネシア政府、PLN、そして、企業は、地元コミュニティーに対する脅迫や抑圧的行為を止めるべきです。コミュニティーが、自分たちの土地で汚染を伴うバタン石炭火力発電所を建設することに強く反対しているのは非常に明白です。政府は企業ではなく、住民の声をまず聞く努力をすべきです。」と、グリーンピース・インドネシアの気候・エネルギーキャンペーン・チームリーダーであるアリフ・フィヤントは述べました。

 インドネシア国家人権委員会もバタンの地を訪れ、コミュニティーの声を支持し、彼らの苦情について懸念を表明しました。同委員会は、コミュニティーにおける人権侵害と社会問題を理由に、中ジャワ州知事と中央政府に対し、同事業を中止するよう勧告しました。2015年に入り、環境林業省もバタンを視察し、現状への強い懸念を示すとともに、政府にこの巨大石炭火力発電事業の中止を勧告しています。

 「インドネシアは、地熱から、風力、太陽光、小水力に至るまで、再生可能エネルギーの資源が豊富です。インドネシアは、クリーンな再生可能エネルギーを使った持続可能な開発、つまり、より良く、より賢く、よりグリーンな開発を選択すべきです。石炭は、気候変動に多大な影響を及ぼすというだけでなく、インドネシア国民に恩恵よりも多くの損害をもたらします。インドネシアは汚染を引き起こすこうした石炭への中毒状態から脱するべきです。」とフィヤントは述べました。

参考リンク

No Coal, Go Green!

問い合わせ 

<東京>

●グリーンピース・インドネシア 気候・エネルギーキャンペーン・チームリーダー

アリフ・フィヤント: +62 811-1805373、Email:? arif.fiyanto@greenpeace.org

●FoE Japan 開発金融と環境チーム 波多江秀枝(はたえ・ほづえ):

090 8487 3161 or 03-6907-7217、Email:? hatae@foejapan.org

<ジャカルタ>

グリーンピース・インドネシア コミュニケーション・マネージャー

Hikmat Soeriatanuwijaya:Email:? hikmat.suriatanwijaya@greenpeace.org

<バタン>

コミュニティー・リーダー Roidi:+6281228046640