<プレスリリース>

丸川環境大臣も石炭火力発電所建設計画を是認せず

~環境大臣の意見を受け、事業者は計画を中止すべき~

2015年11月13日

特定非営利活動法人気候ネットワーク

代表 浅岡美恵

本日11月13日、環境省は、千葉県市原市で計画されている「市原火力発電所建設計画 計画段階環境配慮書」及び、秋田県秋田市で計画されている「秋田港発電所(仮称)建設計画に係る計画段階環境配慮書」について環境大臣意見を公表し、「是認することはできない」という立場を表明した。気候ネットワークは、望月前環境大臣が今年3件の石炭火力発電所建設計画に異議を唱えたことを継承した丸川新環境大臣の意見に賛意を表明する。

今回、対象となる市原火力発電所は、市原火力発電合同会社が東燃ゼネラル石油株式会社千葉工場構内において、石炭を燃料とする出力約100万kWの火力発電所で、2024年からの運転開始を目指しており、建設・運転されれば年間約600万トンのCO2を排出する(なお、市原市の年間CO2総排出量は約1610万トンである)。

また、秋田港発電所(仮称)は、丸紅株式会社及び株式会社関電エネルギーソリューションが秋田港埋立地において、石炭を燃料とする総出力約130万kW(65万kW?2基)の火力発電所で、2023年の運転開始を目指しており、建設・運転されれば年間約780万トンのCO2を排出する(なお、秋田市の年間CO2総排出量は約340万トンである)。

長期間にわたってCO2の大量排出を固定化するこれらの石炭火力発電所建設は、脱炭素社会の構築をめざす世界の流れに逆行するものであり、気候の安定化に向けて地球平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃未満とするためには地球の石炭埋蔵量の8割を地中に埋めたままにしなければならないという科学者の警告を無視するものである。国が掲げる温室効果ガス排出削減目標「2013年比で2030年までに26%削減」は不十分な目標であるが、今回のような計画が現実のものになれば、この不十分な目標でさえ達成困難になる。さらに、政府の「2050年80%削減」の長期目標にも整合しない。

環境大臣意見では、「石炭火力発電所の新設・増設計画が後を絶たず、石炭火力発電の割合の増加が懸念される」ことにふれ、「平成27年7月17日に電気事業連合会加盟10社、電源開発株式会社、日本原子力発電株式会社及び特定規模電気事業者(新電力)有志23社が策定した電気事業分野の「自主的枠組みの概要」及び「電気事業における低炭素社会実行計画」が公表されたが、現時点では、公表された自主的枠組には課題がある」としている。また「事業者の自主的な取組としての天然ガス火力を超過する分に相当する純増分についての環境保全措置を講じることとしていない」とも述べている。

今回の環境大臣の意見をうけ、経済産業大臣は「個別の事業の実施を否定されたわけではない」とコメントしたとされているが、政府の目標と整合性のとれない事業を野放図に認めることはあってはならない。また、事業者は当該事業を抜本的に見直し、環境負荷の大きい石炭火力発電ではなく、クリーンな再生可能エネルギーの事業計画に切り替えるべきである。また、現在国内で計画されている48以上の石炭火力発電所建設計画についても、次世代に大きな負荷を残さない、持続可能な電気事業へと切り替えることを求める。

 

参考リンク

 

プレスリリース本文(PDF)

プレスリリース「丸川環境大臣も石炭火力発電所建設計画を是認せず ~環境大臣の意見を受け、事業者は計画を中止すべき~」(2015年11月13日)

 

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