2017年10月11日

第48回衆議院議員選挙
各党選挙公約の気候変動エネルギー政策に関する分析

NPO法人気候ネットワーク

 2017年9月28日、衆議院は第194回臨時国会冒頭で解散され、第48回衆議院議員総選挙が実施されることとなった。2017年10月10日に公示され、2017年10月22日に投開票となる。希望の党や立憲民主党などの新党が結成され、政局的な部分にフォーカスされがちである。また、今回、昨年11月4日の「パリ協定発効」後、はじめての国政選挙となるが、選挙の争点として取り上げられるのは、憲法改正、経済政策、脱原発、森友・加計学園問題などで、気候変動政策や環境政策についてはほとんど話題にされていない。気候ネットワークでは、この選挙に先立ち、政党*の選挙公約(マニフェスト・政策)をもとに、各政党の地球温暖化対策に関連した政策を評価分析した。

◆地球温暖化・気候変動問題に関する政策の全体の傾向と各党の方向性

 2016年11月4日、人類にとって最大の脅威となった気候変動問題に対応するため、気温上昇を産業革命前の1.5~2℃の上昇に抑え、温室効果ガスの人為的な排出を実質ゼロとする脱炭素社会の構築を目指す「パリ協定」が発効した。世界各国は再生可能エネルギーへの転換を飛躍的に進め、石炭を中心とする化石燃料からの脱却に向けて動き出している。

 自公政権下では、こうした世界の潮流に逆行する政策をとり、「エネルギー政策」において石炭火力発電所を推進するとともに、こうした政策に基づき国内で46基もの石炭火力発電所の新規建設計画を容認してきた。気候ネットワークでは、こうした現状の政策から、パリ協定を遵守し、脱炭素社会に向けて野心的な目標を掲げるとともに、脱石炭・脱化石燃料の方向性を強く打ち出す政策転換が必要であると考えている。そこで、今回の選挙ではマニフェスト(政党公約)をパリ協定の遵守と法文化、野心的な温室効果ガス削減目標の設定、脱石炭火力発電の推進、再生可能エネルギーの導入と野心的目標の設定、脱原発の実現の5つの点から総合的に判断し、総合得点を出した。

 その結果、40点満点中最高でも10点と全体的に低い点数となった。再エネの導入に野心的目標を掲げるとともに脱原発を示した日本共産党と社会民主党が10点、パリ協定に言及した立憲民主党が10点となった。続いて、希望の党が9点、現状追認であるが原発の新増設を認めず原発ゼロを目指すとした公明党が7点、日本維新の会が6点、自由民主党が3点となった。

注)この分析は気候変動対策・政策に関して評価するものであり、特定の政党・候補者を応援したり支持したりするものではありません。

衆議院議員選挙2017政党公約比較

衆議院議員選挙2017政党公約比較

<記号の読み方>
◎(5点) 具体的な記載があり、なおかつ意欲的な内容・目標となっている政策
○(4点) 記載があるが、現状からの向上はあるが、意欲的とは言いがたい政策
△(3点) 記載があるが、内容・目標は現状追認の政策
×(-1点)記載はあるが、時代に逆行する政策/明らかに前回の公約よりも後退した政策
―(0点)記載がない

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【プレスリリース】第48回衆議院議員選挙 各党選挙公約の気候変動エネルギー政策に関する分析(2017/10/11)

(参考)
第24回参議院議員選挙各党マニフェストの地球温暖化政策に関する分析(2016/06/24)

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