<プレスリリース>

経産大臣、三隅発電所計画に低効率石炭火力の廃止等を要求
~中国電力は三隅発電所計画を中止すべき~

2018年2月9日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡 美恵

 

 7日、経済産業大臣は、中国電力が島根県浜田市で進めている三隅発電所2号機建設変更計画環境影響評価準備書に対して、「石炭火力発電をめぐる環境保全に係る国内外の状況を十分認識し、本事業を検討する」ように求め、所有する低効率火力発電所の休廃止などCO2削減対策の明確化を求める勧告を発表した。パリ協定の遵守をふまえ、CO2削減対策の緊急性の高さや世界的な脱石炭の潮流、および2012年以降に国内で増え続けてきた石炭火力発電所建設計画に対する懸念を背景としたものであり、石炭火力発電所の建設計画中止は社会的な要請でもある。中国電力はこれまで準備書においても、社会的要請に答えず、具体的なCO2削減の方策を示してこなかったが、経産省の勧告を真摯に受け止め計画を中止すべきである。

 同計画は、現在稼働中の三隅発電所1号機(100万kW)に加え、当初40万kWと計画していた2号機を100万kWに変更して新たに建設しようとするものである。しかし、この計画は、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、ばいじんなどの大気汚染物資やCO2の大量排出といった石炭火力発電に顕著な問題がある。これに加え、中国地方の電力需要は2016年から2027年までの平均増減率で-0.026%と減少方向に下方修正され[1]、新たな大規模石炭火力発電所は不要である。さらに、現状の中国電力の温室効果ガス排出係数は0.691kg-CO2/kWh(2016年度実績/2017年12月22日環境省発表)と非常に高く、電力業界が「低炭素社会実行計画」において掲げている0.37kg-CO2/kWhという目標には程遠いという問題を抱えている。2018年1月に発表された同計画の準備書に対する環境大臣意見では、気候変動対策に対する懸念が示され、再検討が要求された。今回の経産大臣意見でも、低効率火力発電所の休廃止や抑制稼働、LNG火力発電所の設備更新などによる2030年度の省エネ法ベンチマーク指標の達成に向けた道筋を明確化することを求め、さらに2030年以降も同様の措置を計画的に実施することを求めている。

 石炭火力発電所の新設は長期間にわたる大量のCO2排出を余儀なくさせる。パリ協定のもと実質排出ゼロをめざすべき時代においては、仮に低効率火力発電所が休廃止され、それらと同等程度のCO2排出が相殺されるとしても、新たな排出源を増やすことは容認されるべきではない。中国電力は今回の経産大臣の勧告を踏まえ、新規建設事業撤退の判断を行うとともに、既存の火力発電所についても早期に廃炉する方向へ舵を切るべきである。また千葉市で計画している蘇我火力発電所計画からも撤退し、将来の持続可能な社会をめざし再生可能エネルギーへとシフトするべきである。

[1]電力広域的運営推進機関「全国および供給区域ごとの需要想定について」2018年1月17日発表

プレスリリース(PDF)

【プレスリリース】経産大臣、三隅発電所計画に低効率石炭火力の廃止等を要求~中国電力は三隅発電所計画を中止すべき~(2018/2/9)

 

関連リンク

【プレスリリース】環境アセスメント準備書で環境大臣が「再検討」を要請~中国電力は三隅の石炭火力発電所計画を中止すべき~(2018/1/12)

 

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