<プレスリリース>

バンコク会議:COP24合意に向けて前進も課題は多く残される

?気候災害の現実を見つめ、脱石炭・再エネ100%へ舵を切ろう?

2018年9月9日・バンコク

特定非営利活動法人気候ネットワーク

 

バンコク時間9月9日夜、タイで開催されていた国連気候変動バンコク会議は、6日間の会期を終えて閉幕した。今会合では、気候変動に関するパリ協定の実施指針(ルールブック)について、議題毎に技術的な交渉が行われた。会議最終日の今日、各国政府は、各議題での作業を取りまとめた非公式文書のセットを「バンコクの成果」とすること、パリ協定作業部会(APA)の共同議長らが各国意見をもとに、作業を促進するため、文言の提案を含む非公式文書を10月中旬までにとりまとめるよう要請することに合意した。

世界の温暖化対策の進捗状況を5年に1度チェックしてさらなる排出削減目標・対策の強化につなげる仕組みである「グローバル・ストックテイク(GST)」をはじめ、作業の進展がみられた議題もいくつかあった。しかし、国別約束に関する情報や気候資金といった議題では各国の隔たりは埋まっておらず、案文には膨大な選択肢が残されたままである。今年12月のCOP24カトヴィツェ会議では、議長国ポーランドの采配のもと、公平で実効性あるルールブックの合意に向けて、大胆かつ繊細な政治的妥協が求められることになる。日本もルールブックの合意に貢献するため、各国の排出削減目標や行動をいかに引き上げるのか、また、途上国が必要とする資金をいかに拠出していくのかという難題に対し、十分に準備しなければならない。

今年は、日本のみならず世界中で気候関連災害が激化しており、米国大統領の放言とは裏腹に、気候行動の強化を求める声はますます大きくなっている。会期中の9月8日を中心に、世界95カ国で900以上のマーチやアクションが行われ、気候危機への対処、石炭からの脱却、再エネ100%への公正な移行(ジャスト・トランジション)を求める声が世界に溢れた。9月12日からは米国カリフォルニアで世界気候行動サミットが開催され、ビジネス、自治体などがその行動を飛躍させることを約束する。10月には気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、パリ協定がめざす「1.5℃未満」の温暖化の影響や排出削減のあり方について最新の科学的知見をまとめて発表する予定だ。

日本も、世界のビジネスリーダーや先行する自治体、市民の声を聞き、最新の科学的知見に学びながら、石炭を始めとする化石燃料からの脱却、加速度的な省エネと再エネ100%への転換に向けて議論し、足元で行動しなければならない。ようやく始まった長期戦略の議論は、脱炭素社会への道筋を描くための一歩だ。COP24で行われる世界の温暖化対策の進捗チェック・タラノア対話を見越して2030年までの排出削減目標を引き上げる検討の準備が必要となる。また、国際社会の信頼を得るためには、丸紅など日本企業による途上国への石炭火力発電の輸出や、これに対する日本政府や国際協力銀行(JBIC)などの支援も止める必要もある。これらの行動こそ、今夏の熱波、豪雨、台風に象徴される深刻な気候危機に立ち向かい、人々を守ることを意味するものだ。

 

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プレスリリース「バンコク会議:COP24合意に向けて前進も課題は多く残される?気候災害の現実を見つめ、脱石炭・再エネ100%へ舵を切ろう?」(2018/9/9)

 

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