<プレスリリース>

G20閉幕:安倍総理、気候危機解決へのリーダーシップ果たせず

~日本政府は、温室効果ガス排出削減目標の引き上げ意思を示せ~

2019年6月29日
特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

29日、大阪で開催されていたG20サミットは、首脳宣言に合意して閉幕した。主要議題の一つに位置づけられた気候変動・エネルギーについては、アメリカを除く、パリ協定に署名した国々が、パリ協定を完全に実施し、国別約束(NDCs)を維持または更新するということを約束し、途上国支援のための資金提供の重要性を強調するとの文言が盛り込まれた。一方、アメリカについては別条項でパリ協定から離脱する立場を改めて明確にした。

安倍総理は、日本初のG20サミット議長国として、気候危機の解決に向けたリーダーシップを発揮すると強調していた。ところが、実際は、米トランプ政権に配慮し、内容を骨抜きにして全体合意を図ろうと最初から妥協の姿勢で臨んだ。その結果、会議の途中では、アメリカとEUの文言を巡る対立で合意が危ぶまれる場面もあった。気候変動対策の強化に消極的であった日本の姿勢は、気候変動課題を重視し脱石炭に歩み始めている各国政府のみならず、顕在化する気候危機に苦しむ世界の市民にとっても裏切りというほかない。実際、G20サミットに合わせて世界各国で日本の気候政策、特に石炭推進方針を批判する市民アクションが繰り返し開催され、日本への厳しい批判が顕在化した。今回のサミットにおいて、安倍総理は、気候・エネルギー分野におけるリーダーシップを全く果たせなかったという非難を免れないだろう。

今後、日本政府がすべきことは、世界で広がる気候危機の緊急性を直視し、これに最優先で取り組む政治的意思を示すことである。今年9月には国連事務総長主催の気候サミットが開催される。この機会に、パリ協定の精神を踏まえ、1.5℃目標の達成に貢献するため、日本の2030年に向けた温室効果ガス排出削減目標を含む国別約束(NDCs)を見直し、強化して2020年までに再提出する意思を表明し、その準備に取りかかるべきである。さらに、石炭火力発電所の新設や既存の石炭火力発電所の重用、さらに途上国の石炭事業への公的資金支援といった時代錯誤の方針を撤回し、再エネ100%のビジョンの共有、脱石炭への方針転換や、カーボン・プライシングの導入を進めなければならない。

以上

 

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【プレスリリース】G20閉幕:安倍総理、気候危機解決へのリーダーシップ果たせず~日本政府は、温室効果ガス排出削減目標の引き上げ意思を示せ~(2019/6/29)

 

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