<プレスリリース>

石炭火力への投融資方針厳格化を歓迎、ただし更なる強化が必要
~みずほFG新方針に対する声明~

2020年4月15日

特定非営利活動法人気候ネットワーク
代表 浅岡美恵

 本日、みずほフィナンシャル・グループ(以下、みずほFG)が、「サステナビリティへの取り組み強化について ~脱炭素社会実現に向けたアクション強化~」を発表した。その中で、みずほFGは、「環境・気候変動への取り組み強化」 と、「開示・コミュニケーションの強化」について新たな方針を示した(※1)。

新たに策定されたな環境方針では、個別議題への対応として、気候変動への対応を経営戦略における重要課題として位置づけ、2050 年を展望し、脱炭素社会の実現に向けて、総合金融グループとしての役割を積極的に果たすとし、「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」において、石炭火力発電所への新規建設を資金使途とする投融資等は行なわないこと、さらにこの方針に基づき、石炭火力発電所向け与信残高削減目標として 2030 年度までに 2019 年度比 50%に削減し、2050 年度までに残高ゼロとすることを打ち出した。みずほFGは、TCFD 提言への対応高度化の方針も示している。

気候ネットワークは、みずほFGが「気候変動が 金融市場の安定にも影響を及ぼしうる最も重要なグローバル課題の一つであるとの認識」に基づいた検討を行い、今回の方針強化の発表に至ったことを大いに歓迎したい。

今回の方針において、石炭火力発電所の新規建設への投融資を止めることや、与信残高削減目標の設定をはじめとする厳格化や気候リスクのさらなる情報開示への方針表明、そして、それを実施するためのガバナンス体制の強化などへ踏み込んだことは、喫緊な対応が求められる気候変動に対し、脱炭素社会に向けた金融機関としての役割を認識し行動を強化するものであると評価できる。本方針により、国内の金融機関において、みずほFGが最も意欲的な方針を持つことになったことにつき、今後、他の金融機関も少なくとも同様の方針を掲げるよう求めたい。

一方、石炭火力発電については、新規建設への投融資を行わないとしつつも、「運用開始日以前に支援意思表明済みの案件は除外」するという例外が規定され、それだけでなく、「当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠であり、かつ、温室効果ガスの削減を実現するリプレースメント案件については慎重に検討の上、対応する可能性」があることや、「エネルギー転換に向けた革新的、クリーンで効率的な次世代技術の発展等、 脱炭素社会への移行に向けた取り組みについては引き続き支援」するともしている。

これでは、「投融資を行わない」としながらも、現在検討中の案件は、引き続き支援することになる。すでに検討に着手され目下の重大な問題となっているベトナムのブンアン2石炭火力発電事業などが除外されれば、大きな抜け穴と言わざるを得ない。さらに、リプレースメント案件や次世代技術を支援することについても大きな問題がある。IGCC(石炭ガス化複合発電)やIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)などの次世代技術であれ、CO2排出はUSC(超々臨界)の3割減程度しか見込めず、新たな石炭火力発電の建設はパリ協定と整合しない。みずほFGは、投融資を止めると掲げつつ、これらの例外規定を残したことにより、事業者に対し矛盾したメッセージを発することになってしまっている。これらの点については、「投融資しない」とする基本方針に基づき、全ての案件の支援中止を求めたい。

さらに石炭火力発電所への与信残高削減目標が2050年ゼロというのも、OECD諸国は2030年、世界全体で2040年に石炭火力全廃が求められる中では不十分で前倒しが必要であり、その対象は石炭火力を進める企業の融資、引受、投資にも広げる必要があろう。

なお気候ネットワークは、みずほFGに対し3月13日に株主提案を提出し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に従って、パリ協定の気候目標に整合した投資を行うための経営戦略の計画を開示するよう求めているところである。本提案に対する対応については、今回の方針について十分な検討を行った上で決定する予定である。

【参考:みずほFGの新方針の概要(気候ネットワーク整理)】

環境・気候変動への取り組み強化については、

  • 企業行動規範のもと「人権方針」と並ぶ「環境方針」を新たに制定し、気候変動等の課題認識や具体的な行動、脱炭素社会の実現に向けた気候変動への取組姿勢を明確化し、取締役会による監督を明文化などガバナンス体制を規定。
  • サステナブルビジネス推進体制を強化し、サステナブ ルファイナンス・環境ファイナンスの目標( 2019 年度~2030 年度累計 25 兆円(うち環境ファイナンス 12 兆円))を設定
  • ③ 気候変動リスクを、顕在化は中長期的な時間軸であっても数年内に対応が求められる重大なリスクである「エマージングリスク」と位置付け、石炭火力発電所の新規建設を資金使途とするファイナンスを行わないという方針への厳格化や石炭採掘セクターの追加、石油・ガスセクターにおける移行リス ク対応の確認追加等の改定し、石炭火力発電 所向け与信残高を削減する定量目標(「環境・社会に配慮した投融資の取り組み方針」に基づく 石炭火力発電所向け与信残高削減目標 2030 年度までに 2019 年度* 比 50%に削減し、2050 年度までに残高ゼロとする: 2019 年度末残高は約 3,000 億円の見込み)
  • TCFD提言に基づくシナリオ分析の結果を公表

「開示・コミュニケーションの強化」については、

  • 各ステークホルダーとのコミュニケーションを強化・充実
  • TCFD レポート(5 月予定)、ESG データブック(7 月予定)、SASB ス タンダードへの対応状況(9 月予定)、責任銀行原則への対応状況(12 月予定) などを開示予定。

プレスリリース(印刷用PDF)

【プレスリリース】石炭火力への投融資方針厳格化を歓迎、 ただしさらなる強化が必要~みずほFG新方針に対する声明~(2020/04/15)