<緊急共同声明>

みずほFGが石炭新方針を発表~抜け穴は完全に塞ぐべき

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
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メコン・ウォッチ
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本日、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)が「サステナビリティへの取り組み強化について~脱炭素社会実現に向けたアクション強化~」と題するリリース[1]を発表しました。新方針では、「石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資等は行ないません」と表明し、石炭火力発電所向け与信残高を2030年度までに50%減、2050年度までに残高ゼロとすることを打ち出しました(2019年度末残高は約3,000億円見込み)。例外を残しつつも新規の石炭火力発電事業への融資を行わないという方針に加えて、与信残高ゼロに向けた目標スケジュールの設定は邦銀初の取り組みであり、みずほFGの新方針における一定の前進を歓迎します。

しかし、方針の「運用開始日[2]以前に支援意思表明済みの案件は除く」としていることから、現在、国際協力銀行(JBIC)及びみずほ銀行を含む邦銀4行が融資を検討しているベトナムのブンアン2石炭火力発電事業などに対しては支援の可能性が残されている形となっています。また、「当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠であり、かつ、温室効果ガスの削減を実現するリプレースメント案件」(既存発電所の置き換え)については融資する可能性もあるとしており、これら例外規定を設けることにより生じる抜け穴は完全に塞がっていない状況です。パリ協定の長期目標を達成するためには、先進国では2030年までに、途上国であっても2040年までに石炭火力発電の運転を完全に停止する必要があるため、例え高効率の次世代技術(IGCC等)であっても新規の石炭火力発電所建設はパリ協定との整合性がないことは明らかです。支援意思を表明済みであっても、これから建設する余地は残されていません。

さらに、与信残高の削減目標については、石炭火力発電所向けの与信のみを対象にしており、石炭火力発電所の依存度が高い企業・新規発電所建設を計画中の企業向けの融資、引受、株式・債券投資については削減の対象としていません。石炭採掘や他の化石燃料関連事業についても、融資停止や残高削減の方針は示されていません。この点、海外金融機関の投融資方針の水準と比べると、依然遅れをとっています。

したがって、新規石炭火力発電事業への融資については、例外規定を削除し、早急にすべてを停止する方針を掲げるとともに、石炭火力発電や石炭採掘の依存度が高い企業・新規発電所建設を計画中の企業への投融資(企業融資、株式・債券の引受及び保有)から撤退する方針を掲げるべきです。また、科学的知見及びパリ協定の目標に基づき、石炭のみならず、炭素排出量の多い他の化石燃料産業への投融資の抑制方針を掲げることが重要です。みずほFGには、さらなる方針の強化を求めます。

<脚注>
1.https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20200415release_jp.pdf
2.運用開始日は、2020年6月1日とされている。

プレスリリース本文

NGO緊急共同声明:みずほFGが石炭新方針を発表~抜け穴は完全に塞ぐべき(PDF)

本件に関する問い合わせ先

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝 tanabe@jacses.org